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 1月19日、厚労省講堂に全国の自治体から厚生関係の部局長が集まり厚生労働省各局から12年度予算案にそった次年度事業の説明会議があった。冒頭、牧厚生労働副大臣はスピード感を意識しながら、被災地復興を中心に据えて、社会保障・税一体改革素案に則って、医療提供体制の再構築、医療従事者の確保をはじめとする復興支援、地域包括ケアシステムの構築など厚生と労働の事業を行っていくと挨拶した。
 社会保障・税一体改革素案は1月6日に閣議報告された。消費税に関しては、野党が反対の論陣を張り、民主党内部でも反対論がある中、厚労省の全国部局長会議では消費税増税を前提に説明が行われた。
 消費税については香取政策統括官が説明。消費税は2014年4月から8%、2015年10月に10%に増税が予定されている。引き上がった消費税5%の使途について高齢者3経費(基礎年金、老人医療、介護)から社会保障4経費(年金、医療、介護、子育て)に拡大する。
 社会保障分野への財源となる5%の消費税増税分は社会保障の充実に1%、現行の社会保障制度の安定化に4%を充てる社会保障制度の安定化には基礎年金の国庫負担分に1・1%、高齢化に伴う社会保障費の自然増や既存制度の財源確保に2・6%程度、消費税引き上げに伴う社会保障支出の増加に0・3%程度という構成である。
 なお、2012年度税制改正大綱では、従来通り社会保険診療分野は非課税扱いを続け、地域医療を確保する措置を引き続いて検討する。医療法人に対する事業税の軽減税率は、税負担の公平を図り、地域医療を確保するための具体的な措置を見た上で13年度税制改正で検討することとなった。

社会保障番号制も
 消費税引き上げに伴って医療機関が行う社会保険診療の取扱いは、諸外国の例をみても非課税であること、課税した際の患者負担の問題などを踏まえ、非課税の取扱いの予定である。医療機関が高額医療機器の購入、病院の建替えなどの高額の投資に伴う消費税負担については区分けして手当てすることを検討し、仕入に関わる消費税については診療報酬など医療保険制度において手当てする。
 医療機関が得る収入の大部分は診療報酬による公的保険収入で非課税取引が適用されている。医療機関が日常的に使う医薬品、診療材料、検査等の委託費など経常経費、医療機器、大規模な修繕など設備投資分野は課税取引されている。その際、消費税は医療機関が医薬品流通業者に支払い、患者からは消費税分を徴収していない。消費税分は診療報酬で手当てしているのが現状。こうした現状についてもあらためて医療機関の消費税負担については厚労省内で定期的に検討を重ねる。
 診療報酬と消費税の関係は平成元年4月消費税3%の導入時、診療報酬改定で+0・70%(医科本体+0・11%、薬価+0・65%)であり、平成9年4月5%に増税した際は+0・77%(医科本体+0・32%、薬価+0・45%)であった。診療報酬は2年毎に改定を重ね、改定の度に項目が廃止、削除されたうえ、この数年はマイナス改定が続き、消費税分が補填された改定であることは検証されていない。
 12年度改定にあたって医師会をはじめとする医療関係団体の要望は診療報酬の上げ幅が消費税増税分に見合っていないとして、ゼロ税率を適用し、仕入税額を控除し、プラスマイナスゼロとする解決策を求めている。厚労省では税体系の見直しを行う場合、診療報酬に対する仕組みや負担のあり方を速やかに検討すべきと判断している。
 税率が引き上げられた場合、医療機関の税率は5%に抑える軽減税率などの要望もある。その場合の逆進性対策として「納税者番号制度」が一方で進められている。「社会保障・税番号制度」法案が12年度国会提出予定で、15年度には「マイナンバー」の利用が開始される。医療・介護を取り巻く課税対策はハイスピードで進められている 。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html) 

 
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 9月14日、政府の知的財産戦略本部は「クールジャパン」のロゴとメッセージを発表した。同本部は本年6月に「知的財産推進計画2011」を発表し、世界経済、国際政治に中国、インドなどの巨大市場を持つ新興国の影響力が増し、世界のボーダーレス化が進んだため、グローバル・ネットワーク時代が到来したと定義した。
 本年3月の東日本大震災は国難ともいえる状況が生まれたが、グローバル・ネットワーク時代や資源・エネルギー制約の時代に突入したという認識を新たにすることが必要と説く。クールジャパンではわが国のファッション、食、観光などに象徴される価値をグローバルに展開させようとする戦略を立てる。
 医療分野では10年6月に政府は閣議決定した「新成長戦略」で元気な日本・復活のシナリオを掲げる。医療・介護・健康関連サービスはこれから高齢社会を迎えるアジア諸国においても高い成長が見込まれ、医薬品等の海外販売、アジアの富裕層を対象にした健診、治療の医療および関連サービスを観光とも連携して進める。
 医療関連サービスの産業育成と雇用について、新規市場は約50兆円、新規雇用284万人を2020年までの目標とし、観光や医療ツーリズム等の目的を持って訪日する外国人を2500万人、新規雇用56万人、経済波及効果約10兆円と設定した。
 外国からわが国に医療ツーリズムで訪れる医療観光に関する課題を検討する「インバウンド医療観光に関する研究会」を09年から開いている観光庁は、「医療観光は世界的傾向」とし、2012年には1000億ドルの市場規模に達するとしている。アジアは医療観光の主要な受入地域として世界中から医療観光者を集めている。医療ツーリズムの利用者は「最先端の医療技術」「より良い品質の医療」を求める人が約7割を占めている。(10年5月日本政策投資銀行調査部「ヘルスケア産業の新潮流⑧」)

安くて高度な医療を求める
 風俗習慣の異なる外国へ渡航してもなお医療を受けたいとする理由は様々だが、イギリスやカナダは治療を受けるまでの待機時間が掛かりすぎるため、待機時間の解消を目的にあげる。「臓器移植」など自国で受けられない治療を求めての渡航も見られる。諸外国の主な医療コストは、米国を100とした場合、心臓弁置換手術は日本25、韓国21、タイ13、シンガポール8、インド1、心臓バイパス手術では日本22、韓国17、タイ17、シンガポール9、インド6とコストの差異がはっきり出ている。
 世界の医療観光事情は、08年米国には約43万人が訪れ、インド45万人(07年)、シンガポール57万人(07年)、タイ140万人とタイが飛び抜けて多い。タイの医療観光収入は2000億円を占めている。医療観光はタイから始まったとする日本旅行業協会事務局長奥山隆哉氏は、90年代後半のアジアの金融危機で富裕層の医療機関の利用が減り、タイの通貨安から最先端医療を欧米に売り込んだのが元だと話す(ラジオ日経10年6月24日)。
 アラブの富裕層はアメリカで医療を受けることが普通とされていたが、2001年「9・11」以降、反アラブを強めたアメリカから、アジアに軸足を移したとされる。タイ、シンガポール、マレーシア、インド、韓国と先進医療、整形美容を受けようとする患者は世界各国から集まっている。
 日本医師会は医療ツーリズムへの取り組み状況調査を10年11月~12月に行なった。47都道府県中「反対」表明は34か所で、医療ツーリズムが具体的な動きになっているとするのは22か所に上った。「反対」意見の多くは医療機関格差、地域間格差の助長を懸念、混合診療の全面解禁に繋がると慎重な立場を表明した。
 経済産業省は09年度、国際メディカルツーリズム調査事業で11医療機関を対象にメディカルツーリズムの検証を行ない、観光庁は同年度医療観光事業化調査で7医療機関をモデルに実証事業を行った。渡航・受入体制の現状と課題を検証した。
 医療観光の経済効果に疑問符を投げるのは簡単だが、円高ドル安の世界経済状況、アジア諸国の医療観光の進展に鑑み、インバウンド医療観光の産業化は迫っている。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html110920.gif
 
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 来年4月に予定の次期介護報酬改定においては、医療と介護の同時改定、介護分野における医療サービスの提供は地域包括ケアの概念規定に組込まれ、医療提供の在り方が検討されている。介護保険の見直しで、特別養護老人ホームに要介護度の高い高齢者を優先的に入所する措置が法的に認められたため、医療必要度の高い高齢者がこれまでにも増して入所するケースが出てきた。こうした入所者の状況に対して、どう体制を作らなければならないのか、9月5日、都内で開かれた社会保障審議会介護給付費分科会で議論した。
 じょく創の予防・処置は2007年は2001年比較で7・4%増の26・3%、胃ろう、人工肛門等の管理は3・7%増の9・4%と医療処置にかかる看護内容の必要な利用者は増加し、医療ニーズの高い利用者が増加している。

高齢者の救急搬送、この十年で軽症が倍増
 救急搬送される高齢者について重症度別に見ると、重症では1999年は31・7万人が、2009年には37・9万人と6・2万人増となっている。中等症では43・6万人増の108・4万人に達し、軽症では42万人増の84・2万人になっている。
 死亡場所に関しては、我が国は8割を超え、スウェーデン、オランダが4割前後であることと比較すると圧倒的に多い。同日、分科会では池田省三委員(地域ケア政策ネットワーク研修主幹)が、「病院で死ぬことが悪であるーこれが前提になっていないか」と反論。QOL、コスト等を考えれば、訪問看護の充実に政策転換もあり得ると提案した。
 病院が死亡場所となっている割合が多いのは、在宅で末期を迎えることに家族が不安を持つことが原因であることが多く、国民の意識と重なる。在宅での看取りについて提供者側にインセンティブを付けようとする動きに齊藤秀樹委員(全国老人クラブ連合会理事)は「いかがなものか」と意見を述べた。家族の意向に逆らってまで、病院から追い出される、在宅を進めるのは難しいという立場だ。介護施設での看取りが増加傾向を示している状況では看取りのあり方が問われるべきである。 
 介護保険施設に入所する者が医療サービスを提供するにあたって、医療保険と介護保険の給付をどのように調整するかについてみると、老人保健施設においては一般的な検査・処置等については介護保険の基本施設サービス費に包括されているため、医療保険からは給付されない。意識障害や昏睡、急性及び慢性の呼吸不全、急性心不全などの救命救急医療が必要となった場合、介護保険では緊急時施設療養費を算定できる。「緊急時治療管理」は一日500単位となっている。

介護施設に医療施設が包含も
 介護サービス利用者の医療サービスの提供のあり方で事務局の示した論点は、特養の入所者が必要とする医療サービスについてであった。日常の健康管理、専門的な医療や緊急時の対応等、配置された医師の役割分担などだ。また、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護における介護職員の配置と看護の提供のあり方についても検討課題とした。加えて医療機関以外での看取りの対応についても課題となった。
 山田和彦委員(全国老人保健施設協会会長)は老健で対応できる医療処置があるとして、呼吸器疾患、感染症などは治療できるような報酬上の対応があればとして、急性期疾患の治療が可能になるような「老健の一部を有床診療所と見なす対応を」と提案した。
 委員の一人は利用者の居場所によって医療提供に違いが出るしくみを変えて欲しいとして、介護施設とグループホームの医療提供の違いを事務局に質した。特養の看取りの要件とグループホームではあきらかに違うことについての内容を事務局は特養もグループホームも同様だと回答し、会場に緊張が走った。
 医師の配置を巡って「地域での介護支援は状況に応じて医療連携体制がとれるように、地域の判断でできるような制度設計を」と大西秀人委員(高松市長)は医師の不足が深刻として公的病院に携わる医師の介護保険施設との間で引っ張り合いが始まるのではないかとの危惧もあらわにした。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

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 9月2日、親任式・認証式を経て正式に野田新内閣が発足した。野田新総理は民主党総裁選で勝利した瞬間、すぐに内閣支持率は上がらないだから解散はしないと公言した。今一番求められているのは解散総選挙に打って出て、国民の信にを問うことではないかと言われているのに、解散はしないと公言した。この8月に「子ども手当」を廃止することになり、民主党の掲げるマニフェストが話題になった。選挙戦を戦うにあたって各党がマニフェストを掲げ始めた当時、「実現可能性には遠い」、「政党の見栄」との評が流れた。政界ではマニフェストを掲げ、国民に訴えることで、国民とともに国家、政治が前に進んでいく感を国民に感じてもらう時代になった。そうした姿勢が受け入れられた。民主党の掲げる179の項目のうち4項目は公約通り実現させたが、「子ども手当」はこ今年の8月になって廃止を決めるなどで民主党の吸引力は急激に冷え込んだ。
 野田新内閣ではマニフェストの修正はあり得るのか?民主党の掲げたマニフェストを修正すると命取りになると捉えるのが普通だろう。マニフェストは、そもそも実現可能ラインが半分以下のものを掲げているに過ぎず、それに向かって努力した道筋を国民に訴えるためもの、と理解すべきという識者も多い。

医療・福祉分野のマニフェストは、20項目超
 医療の安心・納得・安全を進めるため「メディエーター(医療対話仲介者)」を一定規模以上の医療機関への配置、医師養成数の1・5倍増加は実現していないが、無過失補償制度は8月に厚労省で検討会が立ち上がったばかり、といった具合だ。
 医師不足をうけて、医療従事者等確保支援センター(仮称)を設置し、医療従事者の確保に努めるか、休職者の復職支援も行なう。
 医師に関連して臨床研修の後期卒後臨床研修について、層の薄い分野、総合臨床医研修、へき地医療研修、産科・救急・小児・外科医療研修について研修医を集めるため、インセンティブを付与し偏在解消対策をその充実に努める。
 勤務医の就業環境の改善については、勤務医の不払い残業の是正、当直をやめ、夜勤に改める等で医療現場の労働環境を改善する。女性医の雇用を進めるため、院内に保育所の整備、既存保育所への優先入所など、子育てをしながら復職できる仕組みを導入する。
 医薬品に関しては、保険適用の迅速化が言われて久しい。マニフェストでは医薬品等の製造・輸入の承認、保険適用の審議や結果の透明性が求められ、迅速化を求めた。
 チーム医療の拡充にも繋がる項目として、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師などコメディカルスタッフである医療従事者の職能拡大と定員増をはかり、医療提供体制を充実させ、医療事故の防止、患者とのコミュニケーション向上を図る。
 救急分野では救急業務を市町村から原則として都道府県に移管し、救急本部に救急分野の専門的知識を備えた専門医師を配置する。これにより救急本部では、通報内容から患者の緊急度・重症度を判断、軽症の場合は医療機関を紹介し、重症の場合は救急車、ドクラーカー、ドクターヘリなどの搬送手段を選択、医療機関に搬送する。救急救命士の職能拡大を図り、救急鵜搬送時の血糖値の測定可能な体制整備を図る。
 地域医療については、重なる診療報酬のマイナス改定の影響から、地域医療が崩壊している現状から医師確保、看護師確保、医療クラーク、医療ソーシャルワーカー等の増員を確保し、地域医療を守ることに努める。なお、国公立病院、日赤病院、厚生年金病院社会保険病院等の公的病院は政策的に削減しない。
 レセプトオンライン請求については「原則化」とし、オンライン請求の導入にはインセンティブを設ける。また、外来管理加算の5分要件は撤廃し、医療費の内容と単価が分かる領収書が発行されるようにする。
 医療に関するマニフェストのうち、一部は実現されているものもある。オンライン請求のインセンティブや外来管理加算の5分要件の撤廃、医療費の分かる領収書などなどがある。無過失補償制度の創設は検討会がスタートし、医師確保支援センターは地域医療再生の中で予算化されている。国民の生活と健康を守る社会保障分野のマニフェストは実現の迅速化が求められるものばかりだ。新政権にも緊急の対応が求められる。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

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6月15日、参議院で成立し、来年4月から施行される「介護保険法一部改正法」により、「地域包括ケア」の推進、24時間巡回・随時対応サービス、小規模多機能型と訪問看護の複合型サービスが創設される。さらに、介護療養型病床の廃止期限が6年間延長された。高齢者の住まい法の改正により、高齢者円滑入居賃貸住宅、高齢者専用賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅を廃止し、「サービス付高齢者向け住宅(以下高齢者向け集合住宅)」に統一し、都道府県知事への登録制度とすることにした。
介護保険施設の特養への入所待機待ち状態の要介護高齢者が入れる居住系施設として高齢者専用賃貸住宅の整備が進められてきたが、地域包括ケアシステムの推進するにあたって、これまで特定施設に指定されてきたケアハウスや有料老人ホームなどと同じ扱いになるといった枠組みが見えてきたことから、6月16日、社会保障審議会介護給付費分科会では、高齢者向けの集合住宅について施設なのか在宅かが議論された。
その理由は、高齢者向けの集合住宅の規制がハード部分に加え、安否確認、生活相談サービスを行っている実態からだ。特別養護老人ホームは介護保険改正後、より重度な要介護高齢者が優先的に入所する仕組みとなったことから、要介護度の軽い高齢者はケアハウス、有料老人ホームなど特定施設の入所がふさわしいとされたが、国全体としての高齢者向け住宅の整備状況から高齢者向けの賃貸住宅もその対象になった。
同日、都内で開かれた社会保障審議会介護給付費分科会で、高齢者専用の集合住宅、認知症グループホーム、小規模多機能施設のヒアリングが行われた。
先の「介護保険法一部改正法」では特養の整備が進むと期待された社会医療法人の特別養護老人ホームの設立許可は衆議院の議論により削除され、地域包括ケアシステムで中心的な柱を形成する在宅の担い手が見えないなか、「高齢者向け集合住宅」の機能について施設とするのか、在宅とするのかを巡る議論が浮き彫りになった。
短時間介護サービスも認定しては?
 枡田参考人(全国老人福祉施設協議会中田清会長代理)は「高齢者向け集合住宅」について、「サービス内容がないのに(家賃部分が)高い」。要介護4、5の高齢者が介護を受けながら住み続けた場合、「財政上の限界がやがて来る」と警鐘を鳴らした。高齢者向け集合住宅を説明した橋本俊明氏(高齢者専用賃貸住宅協会会長)は施設を補完・代替する居住施設と応酬した。
 橋本会長は、賃貸住宅よりはやや高く、介護つき有料老人ホームより大幅に安い。サービスは見守りが中心で、生活相談に随時対応し、20分以下の短時間介護サービスが行われ、排泄介助中心で10分程度のサービスが実態であることを明らかにした。
 高専賃は、20分以下の生活支援サービスが施設基準であったが、池田省三委員(龍谷大学教授)はこのサービスについて「介護報酬の対象にならない」理由を糾した。こうした集合住宅を対象に巡回型の訪問介護サービスを行った場合、隣家への移動は1分もかからない。故に、集合住宅を対象とする訪問介護サービスは、従来の移動時間を組み入れた訪問介護サービスとは別類型にし、20分以下のサービス類型を」と次期介護報酬改定を予見したかのように発言した。
 橋本会長は、高齢者向け集合住宅の入居者は「サービスを受けようとしても限度額に納まらない。個々の報酬が高すぎる」とし、「限度額を上げるか、サービス単価を下げ、短時間サービスを認めるべき」と畳み掛けた。村川浩一委員(日本社会事業大学教授)も「生活支援機能は評価されるべき機能だ」として一定の評価を下した。
 ヒアリングでは、適正なアセスメントによるケアプランが実施されていな実態も報告され、包括報酬が予定されている次期報酬改定に向けて、人材の確保と資質など高齢者向け集合住宅の解決すべき問題が浮き彫りになった。
今後、介護保険施設とりわけ、特養の整備は拡大の傾向は薄れる一方で、08年10月現在で、介護保険施設、居住系施設あわせて134万人分が整備されているが、高齢者向け住宅は8万5千戸を超えたところに過ぎず、直接社会保障費を揺るがさない施設として注目されている。
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 5月26日、東京大学高齢社会総合研究機構がジェロントロジー・コンソーシアムの活動報告会を行った。同機構は2030年超高齢未来に向け、産業界および社会が取り組むべき課題について検討を重ねロードマップを完成させている。ジェロントロジーは、人口の高齢化によって起きるさまざまな変化や問題を解決するために、医学・心理学・生物学・経済学・政治学・社会学などの自然科学、社会科学を統合することによって生まれた学問で、老年学とも称される。
 東京大学は産学連携本部で高齢社会総合研究機構を運営し、コンソーシアムには産業界から、日産自動車、ヤマハ発動機、パナソニック、日立製作所など45社の企業が参加。
 4月22日、震災後の復興計画に提言を行った(前号掲載=373号)。高齢化率が30%を超え、復興計画は高齢者が孤立しないコミュニティ形成であるとの位置づけ、高齢者がコミュニティ内で役割を持ち続けられるような試みを実現するというコンセプトがケアタウン構想の中心。

新・在宅医療システムは商機に繋がる
 報告会で、同機構長の鎌田実氏は、震災後の被災地視察を交えた報告の中で、岩手県住田町の事例を紹介した。森林・林業のまちづくりを行っている住田町は、大船渡市の西隣、地場産業である木材を使った仮設住宅を建設した。「仮設住宅についての独自の構想があり、震災以前に大まかな設計が完成」していた。町独自で決断し仮設住宅の建設を約2億5千万円の予算で町有地に110棟の予定で建設をはじめたと報告した。復興計画の様々な知恵が結集した形だ。
 コンソーシアムの仮設住宅への提案は、現行のものとは異なり、震災で破壊されたコミュニティが、復興とともに従来のコミュニティを取り戻し、仮設住宅から復興後の住宅への連続性が確保されるといったコミュニティの確保・醸成を前提にしたものとなっている。
 従来型がプライバシーを守るあまり、コミュニティづくりへの視点がかけているのに対し、対面型の住戸棟構成が外に出れば必然的に顔をあわせる構成となっている。住戸棟の間には縁側デッキが設置され、イス、テーブルを出して井戸端会議の場が発生する素地を備える。縁側デッキ、住戸間隔のバリアフリーは、知らない者同士のバリアフリーにも繋がるとみている。
 前厚生労働事務次官で同機構教授辻哲夫氏は「超高齢未来に向けた社会保障の方向性」と題して総括した。医療が高度に進んだ社会では突然亡くなる「ぴんぴんころり」という亡くなりかたは少なくなった。大部分は虚弱な期間を経て終末へ向かっていく。虚弱な期間は避けられない。この期間をできる限り自分の住み慣れた生活環境で生き続けるシステムを計画することが正解だ。虚弱な期間に、医療が必要として入院すると、ほとんど戻って来られない。だからこそ、「在宅ケアに取り組む必要がある」と強調した。
 ?高齢者の特徴について、同大学大学院医学系研究科甲斐一郎教授によれば、「最近の傾向として、患者に強い侵襲を伴う手術が行えるようになり、延命技術も進歩し、疾病は治るようになったが、障害を残すことも多くなった。」と医療技術の進歩が引き起こす傾向を明らかにした。?
 辻氏は、虚弱な期間に必要な交通手段、情報システム、住宅、まちづくりと、企業にとっては商機に繋がると説明した。
 このために、介護保険への財源投入が必要と説き、国家財政が厳しい中にあっては財源投入イコール国民負担にゆだねることになる。財源投入を「安心への投資」と読み替えて「新・在宅ケアシステム」につなげると結んだ。
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保険者による健診・保健指導の円滑な実施に関する検討会
 4月25日、厚労省は08年度から実施されている特定健診・保健指導の状況を把握し、見直しを行うための検討会を開いた。自治体や健康保険の保険者が実施した特定健診・保健指導が目標値に達せず、検討会では来年夏頃までに見直しを行い、13年度から始まる第2期5カ年計画に反映させたいとしている。
 医療費適正化計画は、第1期が08年度から12年度までの5年間で、医療費の伸びを適正化するのが目的。生活習慣病の予防と平均在院日数の短縮を進める。国民の健康保持の推進の政策目標には、特定健診の実施率が70%、特定保健指導の実施率が45%である。これにメタボ該当者および予備群を08年度から10%以上減少させることも加わる。
 平均在院日数は、全国平均が32・2日であるが、最短の長野県(25日)との差を9分の3(29・3日)に縮小することが目標。

特定健診受診率が目標を下回り
 検討会では、医療費適正化計画の中間評価を示した。08年度、09年度の実施率をみると特定健診ではそれぞれ38・9%、40・5%で、特定保健指導の終了率は7・7%、13・0%にとどまった。実施率を向上させる方策として、がん検診との同時受診や未受診者への受診勧奨、電話や戸別訪問など、平均在院日数の縮減策としては、地域連携パスの普及、在宅医療の推進などが実施された。
 がん検診の同時受診を実施している上位保険者(健診実施率=健保組合・80%以上、市町村国保・50%以上)は、健保組合では75・6%、市町村国保では72・6%であった。結果から、健保組合、市町村国保とも受診率が高い傾向になった。
 医療機関との個別契約の締結では、健保組合の上位保険者では83・9%で市町村国保では5・8%に止まった。パンフレットや広報を通じての受診勧奨を行っている健保組合は、上位保険者38・3%で、4割に見たないことが分かった。市町村国保は集団健診が中心になっていることが分かる。
 中間評価をもとに特定健診・保健指導の検討課題は次の項目が提示された。▽75歳以上の後期高齢者への対応について、▽検査項目について、▽被扶養者に対する受診促進(市町村への委託等)、▽支援金の加算・減算制度について、▽補助金の基準単価について・・・など。

健診事業における75歳位以上高齢者の取扱は?
 後期高齢者への健診実施については、広域連合の努力義務となった08年度以降、受診率が低下し、75歳未満の者よりも疾病の予防効果が大きくなく、生活習慣の改善が困難な場合も多く、むしろQOLの確保、介護予防が重要である点が指摘されていた。
 介護予防事業では、特定高齢者施策への参加率が低く、ハイリスク者の把握が不十分などから、10年8月に対象者の選定のための生活機能評価を市町村の任意事業とするなど、一次予防事業、二次予防事業の組み替えを行った。
 新たな高齢者医療制度のもとでは、医療保険者の実施義務となる方針が固まっているため、75歳未満と75歳以上の健診事業の対応について技術的側面、プログラムの開発等検討を要する。75歳以上を対象とした場合、減量を伴う腹囲の計測や生活習慣の行動変容を目指した保健指導から、QOLの確保へといった変更である。
 治療中の者に対する保健指導については、医学的管理、専門性を持った治療中の者への保健指導の担当者、開演効果の判定等検討課題が山積している。
 自治体で実施した未受診者のアンケート結果によれば、未受診者の多くは40・50歳代の現役世代が多く、未受診の理由も「面倒」「健康」「必要なら病院へ行く」など日頃の健康管理の大切さを説く特定健診の趣旨が周知されていない傾向が強い。健診の方法では、市町村国保は集団健診を主としているが、アンケート調査結果では、健診の時間帯が自己都合で決められる個別健診への希望も多い。個別健診・集団健診の実施は特定健診の補助金基準単価の動向に関係し、補助金縮小では、受診率を上がらないとの保険者の思いも錯綜している。
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 4月22日、東京大学高齢社会総合研究機構は「エイジング イン コミュニティケアタウン構想」をテーマとする東日本大震災復興まちづくりを提言した。
 提言では被災地の復興について、高齢化率が30%を超える地域も多く、生活はもとより、高齢者が孤立することなくコミュニティで暮らし続けることを実現することにあり、「超高齢社会のコミュニティづくり」の第一歩と位置づけた。
実証実験でケアタウン構想
 同機構は高齢社会の課題解決をテーマにし、研究、教育、連携を行い、エイジング イン プレースをテーマに千葉県柏市の住宅団地、福井県をフィールドとして活動している。09年4月からは千葉県柏市豊四季台地区の住宅団地で、建替え需要を巡り、柏市、UR都市機構と協働で講演会、研究会などの「長寿社会のまちづくり」活動を行ってきた。
 国の地域医療再生計画で、千葉県から申請したもののうち、在宅医療・ケアの推進については千葉大学、県内医療機関の連携をとり、東京大学同機構が10年度から4年計画で同機構の寄付プロジェクトとして担い、在宅医療の研修プログラムの整備、医師の研修、柏市豊四季地区の医療拠点を中心に在宅医療・ケアの実践と教育を行っている。
 東京大学は柏市にキャンパスがあり、ここを拠点とするジェロントロジー研究教育センター(仮称)がこの春に竣工した。同センターでは、MRI・CT等の検査、健康管理やケアができる看護介護相談室、人間行動や脳活動の計測室研究室等の研究施設を配置する。ジェロントロジーの学際的研究施設としては唯一のものになる。
 柏市豊四季台団地は入居以来40年を経て、建替え需要が発生、同時に在宅医療・ケアに配慮したまちづくりの実証実験として構想された。福井県での実証実験は医療費などの分析、高齢者の運転・公共交通のあり方に関する研究、限界集落の研究等を実施している。
復興の計画もコミュニティづくりで
 4月23日に第2回を開いた東日本大震災復興構想会議(五百旗頭 真・防衛大学校長、神戸大学名誉教授)は、復興計画について超高齢社会のあるべき姿を検討した。超高齢社会では、必要なときに医療・介護サービスが受けられるモデルを示す必要性が強調された。復興構想会議は復興に向けた指針策定のための復興構想を議論するための会議で6月末までには提言をまとめる予定だ。2回まで開催したところで復興構想にあたるものは出ていない。
 一方、東京大学同機構の案ではコミュニティ復興の際に連続性の確保を重視している点が重視され、仮設期から復興期にいたる際にもコミュニティの連続性が強調される。仮設住宅についてもコミュニティ重視の住宅建設を提言する。
 ケアタウンのイメージは、ケア拠点としてユニット化された高齢者向け住宅、小規模多機能型サービス。訪問医療と開業医、拠点診療所との連携。コメディカル、介護スタッフとの連携がそれぞれネットワークされている事が理想である。
 厚生労働省は11年度第一次補正予算案、総額1兆8千4百億円を公表した。医療施設、介護施設等の復旧に906億円を当てた。災害復旧の施設整備について国庫補助率を引き上げ、復興計画を後押しする。公的医療機関については2分の1から3分の2にあがる。岩手県、宮城県と福島県については10年度補正予算で設けた「地域医療再生基金」120億円の確保を予定。認知症高齢者グループホーム等介護施設に係る施設整備、障害者支援施設等は2分の1から3分の2に上がる。介護老人保健施設については3分の1から2分の1にとどまる。
 事業者への融資措置として121億円も用意する予定である。福祉医療機構による医療施設・福祉施設に対する優遇措置は貸付利率を一定期間無利子とし、融資率を100%とする。総額は財政投融資追加分として1700億円となっている。
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 3月25日、細川律夫厚生労働大臣は記者会見で震災発生から2週間を経て、これまでは緊急的、応急的医療を優先的に行ってきたが、今後は避難所で生活する方に対しての支援が中心とになると示唆した。なかでも心のケアが大事で心のケアを中心としたチームの活動も力を入れて行きたいと語った。
 3月26日、日本病院会(堺常雄会長)は総会で、震災で被災した患者を被災地以外の病院会に加盟する病院が受け入れ可能かなども情報を集約する仕組みづくりを始めること示唆した。
 日本病院会は被災地にある会員病院の被害状況をホームページ上で公開し、政府による支援を促している。四病院団体協議会(四病協)では、各団体の会員病院の機能や地震による被害などの状況を一元管理することにしており、残り3団体の情報も順次掲載する方針。堺会長は代議員会・総会で、四病協以外の他団体にも働き掛け、大学病院などの情報も含めて集約を目指す考えを示した。(医療介護CBニュース3/27)
 医療関係団体の震災後の支援は、医師会、病院会、看護協会、医療関係者、これに加え介護福祉関係者なども人的派遣による支援を行っている。物理的な支援として、厚生労働省は、保険証なしでも保険適用ができるよう通知を発出した。国民健康保険関係では保険者の判断で保険料の徴収を猶予、納付期限の延長等の事務連絡を発出した。介護分野では、被保険者証がなくても介護保険事業者からサービス受けられるよう事業者に協力を依頼した。

専門学会 心のケア支援
 心のケア支援については日本トラウマティック・ストレス学会が、ホームページ上で「大規模災害後の心理的支援について」(平成13年度厚生労働科学研究事業)を公開し、東北関東大震災は、心理的支援(こころのケア)が重要な長期的支援の一つだとし、支援の方針・方向性を定めないままに複数のチームが現地に向かうと、被災地をかえって混乱させてしまうことになりかねず、被災地での受け入れ態勢や、計画や情報が不十分な状態での活動は被災地に障害に成らないとも限らないと強調した。災害の影響は、混乱期を過ぎてからも長く続くことを念頭に置くべきであるとし、心理社会的な支援活動は、地域社会に根ざした、持続可能なものであることが望ましいとして「対応の基本」、「支援」が示されている。
 災害発生から4週間後までの災害発生早期の段階に推奨されている支援は「サイコロジカル・ファーストエイド」と呼ばれ、対応の基本で基本的姿勢からはじまって、支援の実際まで詳細に開設されている。
 国立精神・神経医療研究センターはメンタル情報サイトを立ち上げ、「災害精神保健医療マニュアル」(10年度厚生労働科学研究)を「東北関東大震災対応版」とし、改訂版を作成、
災害救援に備えた。その他、「原子力災害の心のケア」「災害時医療活動のガイドライン』など災害救援活動に利用されるようマニュアル、ガイドラインを提供している。
 ストレス学会のマニュアル、「災害精神保健医療マニュアル」ともに阪神・路大震災(1995年)以降、心のケアに注目が集まった事を受けて、「災害時地域精神保健医療活動ガイドライン」を作成することになり、その後の新潟中越地震(2004年)、能登半島地震(2007年)、新潟県中越地震(2007年)では、これが生かされた。今回の大震災では津波による被害の大きさ、原子力発電所の事故といった想定外の出来事もあり、新たな災害対策が求められている。
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厚労省は3月17日、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を公表した。保育所における乳幼児の食物アレルギーは年々増加する傾向にあり、アレルギーの発生原因である食物を誤って摂食したことにより、危険な状態に陥ったとの報告もある。
同ガイドラインは、食物アレルギーへの取り組みの強化、専門家である嘱託医、主治医の研修、保護者への周知、給食管理についても一層の強化を図るよう求めている。食物アレルギーを原因とするアナフィラキシー等の反応が起きた場合、緊急避難的に保育士がエピペンを注射することも想定されるとしている。
1998年の厚生省調査によると、乳幼児のぜん息は4.2%、小児では4.0%であったが、09年東京都内の3歳児健診受診対象者調査では、ぜん息が9.3%に増加した。
食物アレルギーに関する誤食事故は、こども未来財団の調査によれば、08年度一年間に29%の保育所で発生し、食物アレルギーの10%程度がアナフィラキシーショックを引き起こす危険性があったとの報告がある。こうした事態の対応策としてアレルギー対応ガイドラインを策定したもの。

嘱託医が食物アレルギーに不馴れ
文部科学省の04年度調査によると、小学生の食物アレルギー有病率は2.6%であり、09年日本保育園保健協議会が953保育所に実施した食物アレルギー調査によると、アレルギー有病率は保育所4.9%、3歳以下では小学生の2倍、1歳では3倍以上との結果がある。
保育所は全国に2万3000か所、215万人を超える乳幼児が生活する。一人ひとりの異なった心身の状態に寄り添った保育環境を整えるため、08年度には保育所保育指針が改正された。07年12月に指針改正のためにまとめられた報告書(「保育所保育指針改定に関する検討会」(座長=大場幸夫・大妻女子大学副学長))では、保育所の機能の強化として、食を営む力の育成すなわち、「体調不良、食物アレルギー、障害のある子どもの心身の状態等に応じ、嘱託医、かかりつけ医等の支持や協力」による対応が要望されている。
アレルギーに関しては、医療現場での理解度に差があるのも事実で、医師による診断、指導方法が異なり、全ての嘱託医がアレルギー疾患に詳しくないことも事実で、保育現場を混乱させている原因になっている。
ガイドラインでは、アレルギーに対応するため、市町村における保育所での健康安全に関わる協議会を設置し、協議会内にアレルギー専門委員会を設けるよう求める。専門委員会は、嘱託医、主治医を対象とする研修会の開催や保護者に対する啓発を検討する。
 また、食物アレルギーによるアナフィラキシー等の重篤な反応が起きた場合に速やかに医療機関に救急搬送することが基本とされているが、緊急避難的に保育士のエピペン注射の行為が想定されている。これについて、同ガイドラインQ&Aでは、保育士のエピペン注射の行為については緊急避難行為として医師法には問われないとの解釈を示した。
こうしたことから、保育士の資質は一層の向上が問われることになる。1997年の児童福祉法の改正により保育所は措置制度から利用者が選択する契約方式に変わり、保育所保育指針の改定により、入所乳幼児の保育機能だけでなく、保護者の支援、地域における子育て支援を行うことがさらに児童福祉法で努力義務として位置づけられた。
厚労省で公表された保育士養成課程等検討会の中間まとめ(検討会座長=汐見稔幸白梅学園大学学長)では、保育士の専門性の構築、質の向上のためには養成課程のあり方の見直しが必要で「4年制課程、大学院での学びなど専門性の更なる向上を視野に入れた養成年限、国家試験の実施の要否」の検討が必要としている。介護現場における介護職員の専門性の向上が介護福祉士専任資格とされた点と近似している。社会保障分野における専門資格は専門特化した分野の機能分化と専任資格へ道を広げつつある。
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