介護保険制カテゴリーの最新情報

ワタキューメディカルニュースからのお知らせ
ワタキューメディカルニュースの更新は、547号をもってしばらくお休みいたします。今後の更新ですが、2015年2月中旬を目指して、皆様に読みやすく、わかりやすいニュースを提供するべくリニューアルの準備を進めております。リニューアルについての詳しい情報は、こちらのページにて後日発表いたします。今後ともよろしくお願いいたします。

 
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 いわゆる「社会的入院」については、定義が明確でないことから、取り上げ方も様々でマスコミ、医療施設関係者、介護サービス関係者などで内容が異なっていた。はやり言葉のように使われた傾向を、「受け売りしない警戒心は、共有しておく必要」(※1)があると滝脇憲氏(自立支援センターふるさとの会)はその一面を切り取った。
 平成13年当時、社会保障審議会介護給付費分科会が発表した資料を元に、社会的入院の調査で頻繁に使われた「治療が必要」、「退院可能」という用語の分類に明確な基準はなかったと明らかにした。当時の老人保健課長の言葉を借りて、社会的入院の幅は様々であるとし、「白黒と明確にくくれないからこそ、鍵括弧を使う」と明確な定義のないまま用語が使われている点を指摘した。
 医療保険、介護保険の財政面では、長期入院患者の医療費単価と介護施設の費用の格差は縮小傾向で、「ケースによっては逆転する傾向」(※2)にあることから介護療養病床の廃止・転換を進めていく際、医療費適正化には貢献しても介護保険財政には逆効果をもたらす構図が明らかになったが、「一般病床から療養型病床群へシフトすることによる費用削減効果は期待できない」ため、介護病床へさらに在宅医療へ分散することによる効果が期待された。
 社会的入院の定義をめぐって、懐疑的な人々がいるのに対して、機能に着目し、利用者と施設の関係を明らかにした議論もある。介護療養型医療施設の機能が、「療養病床の廃止でも再編成でもなく果たしてきた機能と名前を一致させようとした」(※3)ことを理解すべきだと提言する田中滋氏は、療養病床の機能を否定するのではなく、機能区分を明確にして、「機能にふさわしい名前に転換する」と転換を勧める立場を明らかにした。
 「厚生労働白書に登場する「社会的入院」は、「介護サービスを必要とする高齢者が家庭や福祉施設に受け皿がないことなどで病院の入院を選択した」(平成18年)と「社会的入院」が助長された点を施設、サービスの不足に求めた。
 「療養病床の患者の約半分が医師による指示の変更がほとんど必要ない方たち」(平成19年)と医療必要度を尺度に用いて患者を選別した結果、介護施設への転出が増加した。
 介護療養病床の入所者の状態像は、「医療療養病床の患者よりも「医療区分1」の占める割合が高く、「医療区分2・3」の割合が低い。医療療養病床では医療区分3の患者が増加し、介護療養病床と医療療養病床の機能分担が進んでいる」。ADL区分ではかると、介護療養病棟では「医療区分1かつADL区分3の患者が多い」。介護療養病棟の医療提供は中心静脈栄養、人工呼吸器の使用、気管切開、酸素療法を行う患者の割合が医療療養病棟より低く、病状の見通しについては「不変」とする割合が高くなっている」(※4)と報告している。
 平成26年度調査によれば他の介護保険施設に比べ「経管栄養」、「喀痰吸引」、「摘便・浣腸」等の処置を受ける割合が高く、医療療養病床と競っている(※5)。
 介護療養病床は医療必要度の低い医療区分1が多い。「病状の見通し」について「不変」というのは「医療の必要度が低い」と同義ではないとする医療関係者は多い。医療区分1でも緊急な医療の必要度ではないが医療的観察が必要とされる「重度意識障害、がんターミナル(余命一か月は医療区分1-5、6か月は医療区分1-3)、肝不全」など重症な病態まで含まれているを日本慢性期病床協会が試案(※6)を発表している。
 第113回社会保障審議会介護給付費分科会(平成26年11月6日)の論点に示された「療養機能強化型介護療養型医療施設(仮称)」への転換要望は平成30年3月末までが移行期間となる予想だ。施設要件、運営基準が大きな焦点になる。
※1 (滝脇憲「社会的入院問題から居住支援と地域ケアを考える」季刊「シェルターレス」No.33)
※2 (畑農鋭矢「社会的入院の定量的把握と費用推計」(千葉大学・財務省総合政策研究所)医療経済研究vol.12 2004)
※3 (田中滋「介護保険と介護市場をめぐる政策の展開」(慶応義塾大学名誉教授)医療経済研究vol.19 2007)
※4 「医療施設・介護施設の医療者に関する横断調査」平成22年6月調査

医療区分3 
【疾患・状態】
 ・スモン ・医師及び看護師による24時間体制での監視・管理を要する状態
【医療処置】
 ・中心静脈栄養 ・24時間持続点滴 ・レスピレーター使用
 ・ドレーン法・胸腹腔洗浄 ・発熱を伴う場合の気管切開、気管内挿管のケア
 ・酸素療法 ・感染隔離室におけるケア
医療区分2 
【疾患・状態】
 ・筋ジストロフィー ・多発性硬化症 ・筋萎縮性側索硬化症
 ・パーキンソン病関連疾患 ・その他神経難病(スモンを除く)
 ・神経難病以外の難病 ・脊髄損傷 ・肺気腫・慢性閉塞性肺疾(COPD)
 ・疼痛コントロールが必要な悪性腫瘍 ・肺炎 ・尿路感染症 ・創感染
 ・リハビリテーションが必要な疾患が発症してから30日以内 ・脱水
 ・体内出血 ・頻回の嘔吐 ・褥瘡 ・うっ血性潰瘍 ・せん妄の兆候
 ・うつ状態 ・暴行が毎日みられる状態
【医療処置】
 ・透析 ・発熱又は嘔吐を伴う場合の経管栄養 ・喀痰吸引
 ・気管切開・気管内挿管のケア ・血糖チェック ・皮膚の潰瘍のケア
 ・手術創のケア ・創傷処置 ・足のケア
医療区分1 医療区分2・3に該当しない者
※5 「平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成26年度調査)『介護サービス事業所における医療職の勤務実態および医療・看護の提供実態に関する横断的な調査研究事業』」
※6 日本慢性期病床協会 平成23年4月調査
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 老人福祉・老人医療で対応してきた対象者のうち、医療の必要性が低く、介護サービスを必要とする高齢者が家庭や福祉施設に受け皿がなく、病院を入院先として選択する、いわゆる「社会的入院」が発生する背景には、老人福祉・老人医療の制度による対応には限界があるといった問題点があったと厚生労働省HPの「介護保険制度の概要について」が指摘する。

療養病床の歴史
 1973(昭和48)年、老人福祉法の改正により、70歳以上の高齢者の老人医療無料化が制度化された。長期にわたる療養や介護が必要な高齢者は、病院が福祉施設の代替機関として高齢者の入院を受け入れ、病院の増床・増設が全国的に広がり、病床数が増大した(昭和50年一般病床72万2千床→平成2年125万4千床、病床数7割増)。
 診療報酬は出来高制を採用、処置、医薬品の処方などすべての医療行為が収入に結びついていた。必要以上の投薬、点滴・検査が行われ、「薬漬け」「検査漬け」が一般的に行われていた。こうした青天井ともいえる高齢者の医療費増に歯止めをかける適正化を図った厚労省は、1986(昭和61)年には出来高制から1日あたりの定額制に移行した。
診療報酬の定額制 特例許可老人病院
 療養病床のもとになる病床の出現は老人医療無料化が施行された時期に見られる。1983(昭和58)年、老人保健法の施行に伴って長期の慢性疾患の多い老人の心身の特性にふさわしい診療報酬を設定するという点から「特例許可老人病院」及び「特例許可外老人病院」という制度が設けられた。
 「特例許可老人病院」は入院患者のうち65歳以上の高齢者の占める割合が60%を超える老人病院で、医師の配置を一般病院よりも少なくし、その代わり介護職員を置くなど一定の基準を満たす病院を特例許可老人病棟とし、診療報酬を定額制にした。
 特例許可老人病棟の人員配置基準は、患者100人に対して医師3人、看護師17人、介護職員13人(一般病棟の場合は、患者100人に対して医師6人、看護師25人)。
 70歳以上の高齢者の比率が60%以上の病院を特例許可外老人病棟とし、さらに診療報酬を減額した。

療養型病床群
 1992年(平成4年)の医療法改正で一般病床とは区別された療養型病床群という制度が導入された。療養型病床群は、病院または診療所の病床で、主として長期にわたり療養を必要とする患者を収容するための病床で、人的・物的に長期療養患者にふさわしい療養環境を有する病床群である。
 2001年(平成13年)に施行された改正医療法により、従来の療養型病床群が療養病床と名称を変更し、新しい制度としてスタートした。同法により、病床区分が見直され、従来の「その他の病床」が、「一般病床」と「療養病床」とに分けられた。
 介護保険がスタートして、当時約20万床あった療養型病床群は老人病院から介護保険施設へと姿を変える予定だった。
 医療施設としての病床から介護保険施設への移行は医療施設側の主体性にまかされたため介護保険施設へと転換したのは約半数だった。
 医療施設における社会的入院の解消という状況を変えるほどの病床転換ではなかった。療養型病床群から介護保険施設への部分的移行は入院医療の費用から介護保険施設へ移行しただけに終わり、介護保険制度の創設が社会的入院を解消する契機とはならなかった。
 介護保険施設は介護認定という繁雑な仕組みがあるが、わが国の医療保険は国民の誰もが、容易に診察を受け、症状によって入院もできる国民皆保険、フリーアクセスに守られてきた。こうした医療保険と違い、手続きの煩雑さが介護保険施設入所を遠ざけてきた要因とも言われる。欧米に比べ「医療資源の投入が極端に低密度で、長期の入院が高齢者のQOLを下げている」と印南一路氏は指摘する(「社会的入院の研究」)。
 介護保険施設では、医療機関以上の参入規制が設けられている。特別養護老人ホームは社会福祉法人、地方自治体、社会医療法人、老人保健施設は社会福祉法人、医療法人、自治体、介護療養型医療施設は医療法人か自治体というように、開設できる法人に規制がかかっている。都道府県は介護保険支援計画、市町村には介護保険計画があって、医療機関の病床規制と同様に、地域内に開設できる施設数を限定する総量規制が行われているため、施設数が限定されたという側面も否定できない。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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 今回は医療の必要性の少ない患者が長期に入院するといわれた、いわゆる「社会的入院」を生じさせた医療政策とりわけ老人医療無料化を開始した医療保険制度のあり方を考える。
 平成17年2月15日、3月25日の経済財政諮問会議の審議が社会保障政策を大きく変えた。医療費適正化という名の下、医療にかかる費用の削減を図る方向性が決まった。政府側は社会保障費の削減策を目標に医療費適正化を進めるにあたって、GDPを経済指標にと提案する。医療費のうち、医療サービス従事者の所得、医療用医薬品、医療材料、どれをとっても医療費の費用構造の相当量が国民所得と連動するというのがその理由である。
 厚生労働省は社会保障の規模は経済の規模から一方的に決められるものでなく、必要な給付水準を考慮すべきと反論したが、医療費の伸びの抑制は経済規模に見合った水準にするという政府側の意見が強く、GDPの伸び率を指標とすることに決定した。
 平均在院日数の短縮と療養病床の削減策は医療費適正化施策の奔流である。介護療養型医療施設の廃止が決まったのは平成17年11月。同年、中央社会保険医療協議会慢性期入院医療専門組織が実施した実態調査によって医師の直接医療提供頻度について、「ほとんど必要なし」とする割合が医療療養病棟で48.8%、介護療養病棟で50.1%と約半分の利用者が占めていることが分かった。
 医療の必要性の高い利用者は医療療養病床で継続して入院し、医療必要度の低い利用者の入所する療養病床は平成23年度末までに老人保健施設等へ転換して対応することになった。(その後、転換が進まない状況から平成30年3月まで延長)
 厚生労働白書は平成18年版で長期入院患者が生じる要因として、自治体が独自に取り組んだ老人医療費無料化政策を上げた。1961(昭和36)年から全国の市町村に設けられた国民健康保険の実施により国民健康保険制度の全国普及が進んだ。被用者保険では被保険者の10割給付を原則としていたが、1984(昭和59)年の改正で定率Ⅰ割負担が導入された。その後、1997(平成9)年には2割負担、2003(平成15)年には3割負担となった。
  高齢者を多く抱える国民健康保険では被用者保険と異なり、所得の少ない高齢者の医療費負担をいかに軽減するか大きな問題となっていた。とりわけ国民健康保険の給付は5割で被用者の健康保険と比べると開きが大きかった。高齢者の多い地域では、その対応を迫られていた。1965(昭和35)年、岩手県沢内村で65歳以上の高齢者を対象に外来の老人医療費の無料化がはじまった。これに続き1969(昭和44)年、秋田県と東京都が老人医療費の無料化に踏み切った。地方自治体がこれに続き、1973(昭和48)年には国の施策として老人医療費支給制度(老人医療費の無料化)が実施された。
 老人医療費無料化によって、高齢者が受診しやすくなった反面、行き過ぎた受診、長期入院を招くことになった。高齢化の進展により、老人医療費は増大し、医療保険の財政を圧迫するに至った。
 1982(昭和57)年には老人保健法を制定し、各医療保険制度から老人医療費を賄うため拠出する老人拠出金制度を創設した。老人医療費の一定額を受給者本人が自己負担し、40歳以上の者を対象とする健康診査等の保健事業が制度化され、成人病対策が展開する。
 人口推計値で65歳以上人口は1970年で7,393千人(全年齢に対する割合7.1%)、1983年で11,672千人(9.8%)と高齢者が増加することで、国民医療費は1970年から1982年にかけて2兆785億円から12兆2982億円へと12年の間に5倍以上に膨れ上がった。
 白書では介護サービスを必要とする高齢者が家庭や福祉施設に受け皿がないことから、病院を入院先として選択する、いわゆる「社会的入院」が助長されたとして、介護サービスを必要とする高齢者が病院に入院し続けていると指摘した。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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介護報酬改定を来年4月に控え、審議会を中心に報酬改定の議論が進んでいる。施設の中で介護療養型医療施設は平成30年3月末が廃止の起源。療養型病床群から転じた介護療養型医療施設のたどった歴史を振り返り、今号を含めて4回病床転換のあり方について考えてみる。

 平成26年11月6日、「介護型療養病床の全廃方針を転換」とマスコミの一部が報道した件で、厚生労働省は社会保障審議会介護給付費分科会で介護療養型医療施設について、厚生労働省の意向と異なるマスコミの報道があったとして説明した。
 「介護療養病床を転換する方針を撤回する新たな決定をしたという事実はない」とし、次期介護報酬改定において事務局案として、介護療養型医療施設について重点的に評価しようとする背景には、介護療養型医療施設の一定の役割.機能の必要性を認識しているからだと加えた。
 介護療養型医療施設は平成30年3月で廃止し、それまでに病床の転換は進めるというスタンスは変わりない。転換にあたって介護療養型医療施設の病床の機能は評価し、施設側の早期病床転換を促す内容が提案された。
 療養病床の必要性は武久洋三委員(日本慢性期病院協会会長)の主張を借りるまでもなく、医療区分1で安定している状態であっても医療行為を必要としていることに変わりない。
 次期介護報酬改定では、必要な医療機能に着目して、医療ニーズの高い中重度要介護者への対応や、看取りやターミナルケアといった長期療養、喀痰吸引、経管栄養等の医療処置の5つの機能に着目する。
 介護療養型医療施設と医療療養施設の利用者の状態を経年的に見ると、平成17年時点では医療区分1で53.0%(医療療養施設)、57.9%(介護療養型医療施設
)、医療区分2・3では47.1%(医療)、42.0%(介護)と大きな差異は認められない。平成22年になると、医療区分1では12.8%(医療・20:1)、72.6%(介護)、医療区分2・3では87.2%(医療.20:1)、27.4%(介護)と介護療養型医療施設の利用者の約4分の3が医療区分1で占められ、医療区分2.3が少なくなっている。
 医療区分別に介護保険3施設の利用者を分けてみると、医療区分1=55.4%(介護老人福祉施設)、61.8%(介護老人保健施設)、60.0%(介護療養型医療施設)と介護療養型医療施設は老健と並んで6割を超え、医療区分2・3は約25%となっている。
 看取り・ターミナルケアは他の介護保険施設に比べ実施件数が多く、医療区分1の割合が多いことから、安定した患者が入院しているが、重度の医療的ケアを必要とし、看取りも他の介護保険施設に比べ多い施設という機能を持っている。
 事務局が提案した療養機能強化型介護療養型医療施設(仮称)は、一定割合以上の認知症高齢者、医療処置、ターミナルケア受療患者と、生活維持機能改善のリハビリを行っているなど5つの要件を満たす施設が該当する。療養機能強化型介護療養型医療施設(仮称)とその他の介護療養型医療施設が併存し、療養機能に特化した医療施設は介護報酬上優遇される設定になる。
 武久委員は厚労省が評価しようとする機能(経管栄養、喀痰吸引など)に着目し、「介護療養病床を廃止する蓋然性はどこにある」と息巻く一面も。東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は「介護療養型医療施設の転換は老健で良いのか」と必要な機能の方向性を示した上で転換を進めるべきと提案した。
 介護療養病床の転換について、どう考えているのか。調査によれば「すべての病床について予定あり」、「一部の病床について予定あり」または「検討中」と回答した施設について見ると、検討している転換先としては医療療養病床が最も多く(約51%)、次いで介護療養型老人保健施設(約15%)、一般病床(約8%)である(平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成26年度調査))。
 但し、介護療養病床の転換についての意向調査によると(平成22年4月調査時)、転換の意向は、「未定」(全体の60%)の施設が多い。これまでに見てきたように病床転換の支援策がないと動かないのも事実だ。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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 11月19日、都内で開かれた社会保障審議会介護給付費分科会(分科会会長=田中滋・慶応義塾大学名誉教授)では、在宅サービスの介護報酬改定について審議が行われ、事務局から介護職員の処遇改善加算については次年度改定でも継続の意向が示されたほか、新サービスの利用促進のため加算を区分支給限度基準額の対象外算定とする旨が示された。
 介護職員処遇改善については平成21年度補正予算で3年間の介護職員処遇改善交付金が創設された。平成24年度からは介護報酬改定により介護職員処遇改善加算を創設した経緯がある。これまでの審議では、「労使間の関係が成熟したとは思えない。加算を継続すべき」、「加算は必要だ。職員定着のために教育、雇用条件、職場環境の整備を」との意見の一方で、「加算は例外かつ経過的な扱い」と処遇改善と基本サービス費との関係性を見直すことが先決で、加算で対応すること反対する立場もあった。
 19日の分科会で、厚労省は①資質向上や雇用管理改善に取り組む事業所に対し、上乗せ評価を新設。②介護福祉士を高い割合で配置する施設要件をサービス提供体制強化加算に新設。③介護老人福祉施設での日常生活継続支援加算とサービス提供体制強化加算について要件が重なることから一元化する。④特定施設入居者生活にサービス提供体制強化加算の新設。以上を論点として示した。賛否両論あるたが、賛成の方向性が強く感じられた。
 大島伸一委員(国立長寿医療研究センター名誉総長)は介護職員のステータスが低すぎるのではないか。介護職員の医療行為への需要は大きいのだが、それにも拘わらず待遇が低すぎる。介護職員団体やリーダーから聞こえてくる声は「国の決定を歓迎していない」ことだ。介護職員が積極的に取り組む姿勢が全く見えないという。「介護職員の権限をどう拡げるか検討して欲しい」と結んだ。
 介護職員は医師、看護職員の下に位置すると見られがちで、全国老人保健施設協会では「同じ目線に立つ場を拡げつつある」と東委員が取り組みの状況を報告した。
 堀田聡子委員(労働政策研究・研修機構研究員)は、介護職員処遇改善加算、サービス提供体制強化加算については経過的扱いの合意が必要とし、ストラクチャーとしてのアウトカムがなければキャリアパスを作っても、処遇改善しても意識は変わらないとして「介護職員の専門特化と多職種協働のチーム形成」の検討を提案した。

区分支給限度基準額の対象外算定は財源を圧迫しないか
 区分支給限度基準額の水準ではサービスが使いにくいという理由でサービスの伸び悩みが見られた平成24年度創設の「定期巡回・随時対応サービス、複合型サービス、小規模多機能型居宅介護」について、事務局は「包括報酬サービス」として利用しやすいよう一括して手当てするよう提案した。
 包括報酬サービスに発生する固有のコストについて、加算を限度額の対象外にし、「総合マネジメント体制強化加算(仮称)」として評価する内容だ。積極的な体制整備に係る加算の位置付けで、基盤整備を進める意向だ。
 小規模多機能型居宅介護では「訪問体制強化加算(仮称)」、「看護体制強化加算(仮称)」を創設し、加算については限度額に含まない方針だ。
 「訪問体制強化加算(仮称)」は訪問担当の常勤職員を2名以上配置、月当たり一定回数以上の訪問回数が要件となる。
 複合型サービスでは、訪問看護を利用していない利用者が一定割合以上の場合は減算し、逆に訪問看護の利用者が一定割合以上の場合は加算する。
 ケアプラン作成に関わる居宅介護支援について、厚労省は福祉用具貸与のみのケアプランが約50%あることから、
① 福祉用具貸与のみのケアプランについて基本報酬の適正化を図る。また報酬基準となっている利用者数を1・5倍を要件とし、基本報酬の評価を適正化する。
② 認知症加算、独居高齢者加算については加算による評価から基本報酬に包括化する。
③特定事業所にサービスが集中する場合、減算は90%以上から引き下げる。
④質の高いケアマネジメントを実施している事業所の評価をする際の算定要件の緩和を行う。
⑤予防訪問看護と予防通所介護が新しい総合事業に移行することに伴い、介護予防支援を適正に評価する。
⑥個別のサービスとケアプランが一致していない場合もあることから、ケアマネジャーは居宅サービス事業者の求めがあった場合は、協力する体制を運営基準に規定する。
 特定事業所集中減算が審議のテーマとなった。賛否ある中、医療系サービスの利用が少ない点から、次年度以降の医療ニーズの高まりを考慮した提案があった。
 医療ニーズという点では区分支給限度基準額も同様で限度額に算定されない利用者本位のサービスの選択ができるという点で使い勝手が良くなると、委員からは賛成の表明があった。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html
 
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 11月13日、都内で介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶応義塾大学名誉教授)が開かれ、通所介護と通所リハビリテーション(以下通所リハ)の報酬と基準のあり方について厚生労働省が提案し、委員からの意見を聴取したが、おおよそ原案で決着しそうだ。通所介護と通所リハの決定的な違いは何か?「介護保険が始まるときに福祉系サービスと医療系サービスに分けた(平成26年8月27日、社会保障審議会介護給付費分科会)」と武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)が発したひとことがそれを解く鍵になる。
 医療系サービス=通所リハ事業所の設置が不十分であったことや福祉系サービス=訪問介護のほうが訪問看護や訪問リハビリに比べてコストが安く、通所介護のほうが通所リハより点数が低かったことが通所介護サービスの増加に繋がったとする見方だ。
 通所介護事業所3万8127か所、通所リハ事業所7047か所(平成25年10月1日現在)通所介護事業所は通所リハ事業所の5・4倍となっている。通所介護事業所は平成12年制度創設時に比べ4・7倍強に膨れ上がった(通所介護事業所8037か所、通所リハ事業所5911か所=平成12年10月1日現在)。
 通所介護の報酬と基準のあり方では11の論点が示された。地域包括ケアシステムの構築を図る観点から、利用者が18人以下の小規模通所介護については地域密着型サービスに位置付け、大規模通所介護のサテライトへの移行、小規模多機能型居宅介護のサテライト事業所に移行することも可能としている(平成28年4月に移行)。
 事業内容の自由度が高く、機能訓練にしては異色のパチンコ、カジノを売り物にする異例の事業所も目立つようだが、次期改定では、機能訓練、レスパイト中心などの機能を類型化し、介護報酬にメリハリをつける。
 認知症対応、重度者対応、心身機能訓練から生活行為力向上訓練の機能と評価軸を設定する。認知症対応を標榜する際はリーダー研修や実践者研修の修了した専従者が要件となる。
 また、地域連携の拠点とする観点から生活相談員には事業所内に限定せず、利用者の家族も含めた相談・援助、地域の町内会、自治会、ボランティアと連携し、利用者の生活支援を担ってもらうなどの取り組みを評価する。
 宿泊サービスを行う事業所には届出制の導入、情報の公表を進める。送迎時に着替え、ベッドへの移乗など介助を必要とする場合は通所介護の介護時間に含め評価する。送迎時の介助評価については保険者からの異論もあったが、送迎のない事業所の減算による影響が心配される。
 通所リハでは10の論点が示された。リハビリテーションマネジメント加算について、利用者の目標設定、多職種協働、プロセスマネジメントの導入、理学療法士による利用者宅への訪問評価を包括化するなど、評価内容を追加し、算定を引き上げる。
 通所リハではリハ終了後の生活イメージを描いていないリハビリ職員が73・9%と利用者が地域で生活する生活機能維持に関する思いがリハビリ計画に反映されていないのが実態のようだ。利用者は新設する生活行為向上リハで実施計画書を作成、カンファレンスを継続的に行い評価を見直していく。
 認知症高齢者に対しては認知症短期集中リハの提供後のカンファレンスにより、新設する生活行為向上リハに移行できるものとする。生活行為向上リハは6か月を限度とし、通所訓練を重点とする前半と、社会参加への移行を前提とした後半からなり、生活行為の達成などによる卒業を目指す。なお、一定の期間内に通所系サービスや地域支援事業に移行した場合の実績についても評価する。
 重度要介護者の受け入れ、通所リハでの医療処置の実施について、要介護4・5の算定要件を要介護3まで拡大する。
 訪問看護ステーションからの訪問看護の一環としてのリハビリと、訪問リハ事業所からの訪問リハについて、基本的な報酬評価を合わせ、訪問看護の理学療法士等の訪問に対しても加算を新設する。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html
 
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 11月6日、都内で開かれた社会保障審議会介護給付費分科会で、厚生労働省は老人保健施設の機能のうち、次年度介護報酬改定で在宅強化型を評価し在宅復帰支援機能を進める方向を示した。在宅強化型の施設ではリハ専門職が多く従事し、在宅復帰率が高い施設ではベッドの稼働率が低い傾向にある。
 老健施設は在宅強化型施設(強化型)(=報酬算定施設の割合8・7%=以下同様)、在宅復帰・在宅療養支援機能加算算定施設(加算型)(16・9%)、それ以外(通常型)(74・4%)の3類型あり、いずれの施設も入所者の要介護度に大きな差がみられない。厚労省は強化型を採用することでベッドの稼働率が低くなり、空床が増加するリスクが生じるため、加算して評価することによってインセンティブを付けて機能転換する施設を増やそうという趣旨を説明した。
 改定の論点は、在宅強化型として在宅強化基本施設サービス費及び在宅復帰・在宅療養支援機能加算についてリハ専門職の配置を要件に加える。同時に在宅復帰支援機能を高めるため、入所前後訪問指導加算の評価充実も提案した。
 退所後の計画策定には施設ケアマネジャーと在宅ケアマネジャーの連携を必要とし、在宅復帰にあたって、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)からは本人と家族の意向が食い違う場合も想定して、双方のバランスをとる調整機能の必要性が指摘された。
 退所が困難であると判断された入所者の中には、本人が自宅への退所を希望しても家族が退所を希望する割合が少ないという複雑な構造が浮き彫りになっており、ケアマネジャー同士の連携もさることながら、入所者家族の問題に直接係る施設側の専門職への負担が大きいと言える。
 老健の3つ目の論点は、退所者の在宅生活支援のため、看護・介護職員の専従常勤要件の緩和策については、併設する事業所に従事する場合を想定して非常勤職員を充てることも可能とする提案だった。論点は概ね委員の賛同を得た。

医療処置を伴う長期療養は介護療養型の機能
 介護療養型病床は医療ニーズの高い重度の介護者に対応する機能を高く評価する議論が前回までにまとまっていた。看取りやターミナルケアを中心に長期の療養とともに喀痰吸引、経管栄養、24時間持続点滴の実施などの医療的処置が医療療養病床についで高い頻度で実施されている。
 介護療養型病床の論点は医療ニーズや看取り機能などの要件を満たす施設を重点的に評価する方向だ。
 マスコミが一斉に報じた介護療養型病床の記事をめぐって武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)が猛反発。介護療養型病床の辿った経緯を説明し、介護療養型病床への理解を求めた。
 事務局は介護療養型病床の持つ機能についての必要性はすでに了承され、次年度の改定で重点的に評価する。介護療養型病床は適切な機能に転換する。という趣旨の説明を加えた。
 介護療養型病床の廃止については、平成30年3月31日が期限になっており、それまでに病床の転換を進めていく。この方向性は変わらないと事務局は念を押した。



食べる楽しみの支援の充実
 経口維持加算については、口から食べる楽しみを支援する他職種の取り組みプロセスを評価する論点、経管栄養の入所者の経口移行した際の加算を評価する論点、経口移行、経口維持の取り組みを併せて行えるよう見直す論点の3つを事務局が示した。
 堀田聡子委員(労働政策研究・研修気候研究員)は食べる楽しみを検討する際、他職種による取り組みについて、専門性を持った職種に限定するのではなく、プロセスをカバーできるような算定要件を組み込むよう要望した。
 算定要件に言語聴覚士(ST)の嚥下改善能力が高いとして評価に入れるべきとの意見が集中した。摂食・嚥下訓練の能力をめぐり歯科衛生士の能力について事務局に質す場面もあったが、後日回答することでその場は収まった。

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10月29日、都内で開かれた社会保障審議会介護給付費分科会では介護老人福祉施設の介護報酬について審議され、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の相部屋の室料を徴収する案がまとまりそうだ。
改定の論点は9項目。看取り介護加算の引き上げ、日常生活継続支援加算、在宅・入所相互利用加算、相部屋の居住費負担、基本報酬の見直し、サテライト型と供養の充実、相部屋からも光熱水費を徴収する案だ。なかでも相部屋で室料徴収の提案は、予想されたこととはいえ、介護老人施設関係者の落胆の様子は一様ではなかった。会議の終了間際に「特養をつぶさないでほしい」という一言に会場も静まり返った。
介護老人福祉施設の介護報酬については、看取り介護加算の単位は算定期間によって分けられ、「死亡日」=1280単位、「死亡前日~前々日」=680単位、「死亡4日~30日前」=80単位となっている。介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設(特養等)の介護報酬・平成26年4月審査分の請求状況は「死亡4日~30日前」が0・23%、「死亡前日~前々日」が0・39%、「死亡日」が0・41%と算定が極端に少ないことが目立つ。近年の給付費の伸び率をみると「死亡日」、「死亡前日~前々日」は横ばいを示し、「死亡4日~30日前」が上昇傾向にある。
第104回介護給付費分科会(7月23日開催)では看取り介護体制について議論された。看取り介護加算の請求状況から「入所者の『死亡日』は医療機関で看取りを迎えているのではないか」と委員から質問を受けた事務局は資料を持ち合わせていないとして詳細な回答を避けた。
7月の時点で介護加算の状況分析が要望されていたが、10月の分科会ではその分析も示されないまま要望だけが提案された。
特養からの死亡退所(看取り対象)63.7%の中身について、急変して医療機関へ移ったのか、ターミナルだったのか、詳細ははっきりしない。「死亡日」、「死亡前日~前々日」に看取り介護加算が算定できない状態になっている特養は医師の配置、看取りケアの指針の整備が進めば算定可能となる。
入所者のうち中重度者が増加し、医療的ケアを必要とする体制整備が日常的に求められる。こうした背景から、今回の改定案の理念は、時宜にかなうものだが、看取り介護体制の加算を厚くし、誘導することで介護老人福祉施設が次年度以降取り組みがことになれば望ましい形となる。

相部屋の室料負担も
相部屋の室料を自己負担にする論点については、相部屋だけは食費、光熱水費だけにとどまって室料を徴収してこなかった経緯を振り返りながら、齊藤秀樹委員(全国老人クラブ連合会常任理事)は「光熱水費は所得段階第2段階から、室料は第4段階からです。公平性の観点から光熱水費も第4段階からになる案だ」と反論した。
低所得者の自己負担には補足給付の制度が使われている。負担を軽減する補足給付にも言及し、「補足給付を介護財源でカバーする点については意見があるだろう」と補足給付の財源にも言及した。
特養の相部屋のカーテンを仕切りに代え、プライバシーに配慮した相部屋に変えて室料を徴収するのは「本末転倒」、「姑息な手段」、「料金が上がれば低所得者から縁の遠い施設になる」など反対意見は絶えなかった。
低所得者を支える多床室は事実上生活の場として選択され、「在宅で生活する者との負担の均衡を図る」とする厚労省の提案に「やむを得ない」とする委員も多かった。
地域福祉の拠点としての役割を課せられた特養の社会資源としての役割は大きいとしながら村上勝彦委員(全国老人福祉施設協議会副会長)は「報酬を下げられたら特養はやっていけない、特養の役割を大事にしてほしい」という悲痛な訴えだけが議場に残った。
特養の入所者は低所得者第1~3段階で全体の約80%を締めており低所得の高齢者の入所が大半を占めている。低所得者第1~3段階での室料徴収の取り扱いは補足給付になるので、大半の入所者の自己負担感はどこに行くのだろう。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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 10月22日、都内で社会保障審議会介護給付費分科会が開かれ、来年度からの介護報酬改定・在宅サービスについて審議した。訪問介護では20分未満のサービスの利用にあたり要件が厳しくなる案、サービス提供責任者の配置を利用者50人に一人以上、サービス提供責任者の資格要件から2級ヘルパー要件を段階的に廃止する案などが示された。
 20分未満の身体介護の見直しについては、要介護4から5の重度者の利用割合が高いが、夜間帯に算定が認められている要介護1、要介護2の利用増加が近年目立っている。有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など集合住宅での利用が高く、それ以外では進んでいない。
 これにより事務局は、夜間・深夜・早朝時間帯について、日中時間帯と同じく要介護3以上で一定の要件を満たす者、利用者に係る1月当たりの訪問介護費は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護における当該利用者の要介護度に対応する単位数の範囲内とする。同一建物居住者へのサービス提供に係る減算割合を引き上げると提案した。
 加算・減算の仕組みが複雑すぎると委員からの声も出たが、事務局案に収まりそうな様子だ。
 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のオペレーターの業務で、利用者からの電話の受け付けについて、資源の有効活用の観点から兼務要件や勤務体制を見直す案が示された。夜間オペレーター職員を充当できる施設では併設施設に限られていた要件を緩和し、同一敷地内、または道路を隔てて隣接する同じ法人の経営する他の施設事業所等の職員を充てる。また、オペレーター機能については心身の状況に応じた対応が必要なことから、複数の事業所の機能集約、通報受付を認めることとしている。
 実質的には9割以上の事業所がオペレーターの兼務を行い、兼務としては「地域展開」、「事業所内の他職種」、「併設の訪問介護事業所の職員」とする事業所が約7割にも上っている。

都市部と地方部のサービス格差の広がりは?
 「集合住宅」では、「事業者内の他職種」とする事業所が68・0%と高いことがわかっている。そうしたことから参入事業所からはオペレーターの資格要件、配置要件の見直しや弾力的な運用を認めるよう要望が出ていた。夜間オペレーターについてはほとんどコールがない状況下で待機する非効率的側面があることから、オペレーターの自宅待機の要望も出されていた。事務局案はこれらを盛り込んだ形だ。
 事務局はコールセンターの様なところで全国からのコールに対応するオペレーターがいるということもある。支援ソフトも加味しながら対応できるようにすると応じた。
 訪問介護と総合事業を同一事業所で一体的に運営する場合の取り扱いについては現行の介護予防訪問介護に準じて評価し、訪問介護と訪問型サービスAを一体的に運営する場合は現行の訪問介護の人員基準を満たす要件を課す予定だ。
 定期巡回・随時対応型訪問介護看護において同一建物に居住する利用者にサービスを提供した場合は減算項目を設け対応する。サービスエリアの規模で示したのは「5キロ平米未満」、「50キロ平米以上」で、移動距離を要件とする単位の可能性も見えてきた。
 内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)は「電話の状況によって判断すべきことがでてくる。兼務要件を緩和していいものか」と疑問の声をあげた。齊藤秀樹委員(全国老人クラブ連合常務理事)は複数の定期巡回・随時対応サービス事業所の機能集約の要件として「利用者の心身の状況に応じて必要な対応を行う観点から支障がない場合」の「支障がない場合」が不明確だと指摘、今回の集約化、基準緩和は逆行する見直しだと反論した。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html
 
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 10月15日、都内で社会保障審議会介護給付費分科会が開かれ、介護報酬の改定の基本的考え方をめぐり審議した。
 分科会では、事務局が介護報酬改定に向けた基本的な視点を示し、全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会が意見書を提出した。
 分科会に先立つ10月8日、財政制度等審議会が先頃厚労省から発表された「平成26年介護事業経営実態調査結果」を基に、介護サービスの全体の平均収支差率が+8%程度で一般中小企業の水準を大幅に上回るため、介護報酬改定にあたって▲6%程度の適正化が必要と指摘した。
 介護給付費分科会事務局は、△在宅中重度者や認知症高齢者への支援を強化することが必要、△介護人材確保対策の推進、△サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築とそれに伴う規制緩和が必要。以上の三つの視点を示した。
 全国老人福祉施設協議会(老施協)は「中小規模事業所や収益率の低い事業所、地域格差に配慮した改定でなければ危険」とし、全国老人保健施設協会(老健協)は平成24年度創設の在宅強化型老健のベッド稼働率の落ち込みを取り上げ、在宅強化した施設では人件費は上昇するが稼働率が減少した。総収入の減少と給与比率の上昇の相反する関係を説明し、在宅強化型ほかの機能に沿った改定を要望した。
 介護サービス関係者からは「2025年には100万人の介護人材が必要とされるという状況と財政制度等審議会が要望した▲6%の相関はどうなる」、「質の高い人材を確保をするという強いスタンスが必要」と国税での確保策を求める声が上がった。
 経済団体は「介護人材の処遇改善は経営者が考えるべき」とし、健保連は「他産業との比較でも収支差率は高い。賃金動向から見れば良好と言える。介護全体でマイナス改定でも良いという結論は仕方がない」とし、処遇改善策については国税での対応を訴えた。
介護サービスは5%以上の収支差で黒字経営も
 介護サービス事業所の収支差率5%以上の結果を出した「平成26年介護事業経営実態調査結果」については、前回と比べ調査対象が同一施設・事業所ではないこと、在宅系のサービスの値はバラツキがあることなど取り扱いの注意事項を示しているが、財政制度等審議会が同調査をもとに▲6%改定率を要望したため、調査結果が一人歩きをしている面は逃れられない。
 実態調査では多くのサービスで収支差率が5%以上となっており、10%を超す事業所もあった。介護サービスの収入に対する給与費の割合は前回の調査と比べ、概ね同程度の水準を維持していることがわかる。
 施設系(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設)の収支差率ではいずれも5%以上で施設サービスの収入に対する給与費の割合は老健で上回ったこと。訪問系サービスのうち訪問介護、訪問入浴介護、訪問リハビリテーション、訪問看護ステーションの収支差率は5%以上となった。
 委員からは「人件費比率が比重の大きい介護事業と他産業との比較は妥当でない」とする意見。収支差率が「マイナスになっている事業所を無視してマイナス改定すると事業所は立ち行かなくなる」、「長期借入金の返済に内部留保を取り崩して充てている。マイナス改定では施設が維持できない」との訴えがあった。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html