医療施設関カテゴリーの最新情報

 
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 国立病院、労災病院で行なわれている政策医療は5%を下回り、一般医療は95%を超える実態が6月に行なわれた検討会で明らかになった。7月の検討会では政策医療の赤字分を一般医療の黒字分から補填しているという実態が浮かび上がった。本来、国で行なうべき政策医療について国立病院・労災病院が主体的に担う医療機関としてあるならば、国立病院、労災病院の政策医療分野にはインセンティブをつけるべきとの意見が多くを占めた。
 7月5日、都内で開かれた「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」(座長=相川直樹・慶応大学名誉教授)で、新谷信幸委員(連合総合労働局長)は政策医療を一般医療で補填する構造を指摘。国の政策医療への何らかの補填が必要と主張した。医療連携ネットワークにも触れて、地域偏在の問題から在り方を検討すべきと結んだ。
 冒頭、震災支援にいち早く向かった状況が報告されると、夏目誠委員(JR東日本リテールネット社長)は「ある時は独立行政法人、ある時は国の機関として政府の要請で動くことになるのはつらいのではないか」と切り出した。事務局は官邸からのミッションに対しては「条文に従って動くことになっている」「1000年に一度の有事だったので」と弁明を繰り返した。
 夏目委員は大震災後の国立病院機構の震災支援の対応について触れ、「民間でもできるではないか」と言い始めた。国立病院でなければならない理由はないと言うのだ。夏目委員の考えでは国立病院機構が災害の度に派遣要請を受け現地に派遣しているが、国の要請に翻弄されてはいないかというのが本音のようだ。国の要請を受けて災害医療に取り組むなら補助金、助成金は受けて当然だろうという主張である。

労災医療の在院日数は長期に
 労災医療は一般医療よりも平均在院日数が長いことなどにより診療単価も低いため、一般医療よりも収支率が悪い。例えば「じん肺」「せき損」の入院患者について、北海道中央労災病院では1日の平均患者は労災医療で36.3人(うちじん肺32.4人)、診療単価は3万2908円(1日あたり)となっている。平均在院日数は31.4日と長期入院の傾向が見える。医業収支比率は93.5%(31百万円)の赤字になっている。
 これに対し、一般医療では1日平均患者数は223.3人と6倍以上の患者数の差がある。平均在院日数は18.3日、収支率は103.6%となっている。2007年~2009年の3カ年で労災患者は平均4.2%と横ばいである。一般医療の黒字分が政策医療を補填していることがここからも分かる。都道府県別では北海道、香川県の11%超以外は4、5%が労災患者の実態である。
 新谷委員は「「病院等」とは何をさすのか。RFO(*)の病院も含めるのか?」と質した。新谷委員の意図は医療連携のネットワークの在り方。RFOを含めた独立行政法人の病院244施設をネットワークの視点で日本地図にプロットすれば「過疎と集中化が見えてくるのではないか」というのだ。全体像を描く中からネットワークの在り方を考えるべきという中身のある議論をしたかったに相違ない。
 同検討会は昨年12月に「独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」がまとめた報告書に従って発足させた経緯がある。厚労省が所管する244施設(RFOを含む)について、複数のネットワークに分かれていてを効率的、合理的な配置になっていないと指摘。検討会は再編・整理への意見書を年末にはまとめる。
*RFO=独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の略称。独立行政法人 年金・健康保険福祉施設整理機構は社会保険病院、厚生年金病院を運営する機関として組織されたが、11年6月17日に成立した「改正年金・健康保険福祉施設整理機構法」により社会保険病院、厚生年金病院の病院運営を目的とした「地域医療機能推進機構」に改める。新たな機構では病院の譲渡・廃止等を所掌する。
 厚生労働省所管の独立行政法人が運営する病院は、国立病院144、労災病院30、RFOの社会保険病院52、厚生年金病院10のほか、ナショナルセンター8の合わせて244施設
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 3月30日、公立病院の経営改善を進めている総務省は、「公立病院経営改善事例集」を公表し、公立病院の経営改善が進み、6割を超える病院が経営改善していることを明らかにした。総務省は、全国に約1000ある公立病院の経営状況が悪化し、7割以上が赤字経営に陥っているとして、地方自治体の公益企業を管理監督する立場から、公立病院の経営改善に努めるよう07年12月に「公立病院改革ガイドライン」をまとめ、全国の公立病院にガイドラインに沿って経営改善計画を策定するよう求めてきた。
 ガイドラインでは、▽黒字化に向けた改革プランの策定、▽病床利用率が3年連続で70%未満の病院には規模縮小、▽二次医療圏単位での経営主体の統合、医師派遣拠点機能の整備、▽人事・予算などの実質的権限・結果への評価と責任を経営責任者に一体化するため、地方公営企業法全部適用、地方独立行政法人化、指定管理者制度、民間譲渡するなどを含めた経営形態の見直しを求めた。
事例集では09年度までに公立病院の改革プランがまとまったとして、経営改善について調査を行い、結果を公表したもの。「改善事例集」では病床規模によって、100床未満、100床以上300床未満、300床以上に3分類し、地方公営企業法を適用する916病院のうち、前年度より改善した事例が605病院になったことを明らかにした。
改善の見られた病院数は、100床未満では155病院(264病院の58・7%)、100床以上300床未満では230病院(349病院の65・9%)、300床以上では220病院(303病院の72・6%)であった。

医師・看護師確保にキャリアアップや研修会開催
100床未満では09年度の経常収益は1393億円で、前年度(1335億円)よりも58億円、4・3%の増加、経常費用は1399億円で、前年度(1419億円)より20億円、1・4%の減少となった。経常損益は前年度の84億円の赤字から78億円減少して6億円の赤字となった。入院収益は前年度比5億円、0・9%増、外来収益は前年度比4億円、0・9%増となった。患者一人1日当たりの収益は入院21・4千円(1・4%)、外来8・0千円(3・9%)の増加。支出では職員給与額が前年度比4億円、0・6%減少、医療材料費は前年度比4億円、1・7%減少し、経費は前年度比1億円、0・4%の減少となった。
100床以上300床未満では、経常損益前年度485億円の赤字から234億円の赤字に減少し、入院収益で前年度比25億円、0・8%増加、外来は前年度比16億円、1・0%増加した。患者1人1日当たりの収益は入院31・0千円(1・6%)、外来9・0千円(3・4%)の増加。支出では職員給与費の前年度比42億円、1・4%の減少、医療材料費が前年度比3億円、0・3%減少し、経費は前年度比21億円、1・4%減少した。
300床以上病院では、経常損益前年度993億円の赤字から324億円の赤字に減少し、入院収益で前年度比432億円、3・6%増加、外来は前年度比216億円、4・3%増加した。患者1人1日当たりの収益は入院44・0千円(4・5%)、外来11・5千円(5・5%)の増加。支出では職員給与費の前年度比170億円、1・7%の増加、医療材料費が前年度比51億円、1・0%増加し、経費は前年度比46億円、1・2%増加した。
経営改善のほか、医師・看護師の人材確保対策が奏を効している。大学の寄附講座の開設により将来の医師の確保への取組、専門医養成協定を結び医師定着化の取組、医師派遣拠点としての機能を発揮するなどが行われた。
看護師確保では、2交代制勤務の定着、短時間勤務、夜間専従など就労形態の多様化、潜在看護師研修、民間賃貸住宅の借り上げなどを図った。
職員の士気、勤労意欲の向上として、学会参加、院内研修会、看護師のキャリアパスとして認定看護師資格取得の促進などに取り組んだほか、各部署でのカンファレンスの定期開催、職員の意識改革などが図られた。
収益改善の取組として、DPC病院の取得、看護配置の改善、休床を新たに回復期リハビリ病棟として再開するなどの事例、外来については診療日、診療時間の延長などの事例も見られた。
さらに、給与水準の引き下げ、医療材料費の削減により収益構造の改善に役立てた事例も見られた。
100床未満の病院、岐阜県郡上市国保白鳥病院では、医療・介護・健診を一体的に提供する地域病院として地域包括ケアの仕組みづくりを行い、院内・院外での健康啓発活動で収益を増加させた。
和歌山県、那智勝浦町立温泉病院では、院内に和歌山県立医科大学スポーツ・温泉医学研究所を誘致。リハビリテーション医療に特色を打ち出し、研究所での研究は大学院の履修単位として認められることから、院内勤務と修士課程が両立できる体制を整え、リハビリテーション施設基準もⅡからⅠにランクアップし、医療提供体制が充実と診療報酬状も収益増に貢献した。
事例を集めた改善事例等実務研究会座長を務めた高倉信行総務省大臣官房審議官は多くの公立病院が様々な制約の下で創意工夫を凝らし、成果を上げていることに感銘を受けたと評価した。
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 6月13日に行われた千葉県松戸市長選挙は松戸市議会議員本郷谷けんじ氏(民主党)が現職川井敏久氏を7千4百票上回る5万5369票で当選しました。市長選は松戸市立病院移転新築計画を争点とした選挙となりました。川井市長が移転新築計画を推進し、本郷谷氏が現地建て替えを主張するという、5人の立候補者が立ったものの、実際には一騎打ちの選挙戦でした。選挙の結果、市民が選んだのは現地建て替えということになりました。これで移転新築計画は宙に浮いた格好になりました。
 1967(昭和42)年に現地で開院した松戸市立病院は、築後40年以上経過し、施設の老朽化が進み、補修を重ねながら運営してきました。建物の耐震性の低さも指摘されていました。これまでに、近隣公園への移転案、現地で病院を運営し建て替える案などが検討されましたが、現地建て替えは工期が8年以上かかる上、その間の診療が制限され、大幅な減収が見込まれることから、移転新築用地を検討していました。病院移転新築の候補地は松戸市の武蔵野線と北総線が交差する東松戸駅に近接する土地区画整理事業地に決定しました。
 松戸市は土地区画整理事業地内の建設候補地に選定したことを急遽、08年12月議会に表明しました。その背景には、区画整理組合側が土地売買について早急に解決すべき事情があり、市側も時間的余裕がなかったというのが真相のようです。現病院跡地は民間医療機関に売却する予定となっていますが、既に基準病床数を超過している東葛北部医療圏では、新たな病床の創設は認められないため、松戸市立福祉医療センター東松戸病院の移転が検討されています。

外来患者900人目標
 09年4月に松戸市が委託した新病院建設のための専門委員会が公表した新病院計画によれば、12年度中の開業で、病床数600床、診療科目25科、高度医療と救急総合診療センター、小児医療センター、母子周産期医療センターなどの政策医療を担う急性期病院として地域医療支援病院を目指します。また、災害拠点病院としてヘリポート、トリアージセンター、大規模災害時に対応した機能を持ち、外来では総合診療科、女性外来、心臓血管外科なども設置する予定になっています。平均在院日数は07年度の平均在院日数を参考に14日を計画平均在院日数としています。外来患者数は現松戸市立病院と同等の1100人/日を想定し、病床数の約1.5倍の900人/日を目標としています。
 計画は、建設費・設計費について約206億円、用地購入費約28億円、移転に伴う引っ越し前後の入院調整のための21億円の収益減などを合わせて256億円の予算となっています。
 収支計画では個室の増加、多床室を4床室にするなどにより、病床利用率を90%に増加させます。診療単価については、地域医療支援病院に承認による増収、地域がん診療連携拠点病院の指定を受けることによる増収、DPCの導入、7対1入院基本料の増収、各種加算による増収などを加えた金額を単価もとに算定すると、13年度からの医業収益は07年度に比べ、約20億円の増加が見込まれています。医業費用は、人件費の増加、減価償却費の増加に加え、支払利息の増加などが見込まれ、経常損益を圧迫しますが、減価償却費や支払利息は減少するため、経常収支は好転すると予想しています。
 しかし、完成後の赤字は毎年7~8億円生じ、16年度には累積赤字が120億円を超える予想となっています。
医師・看護師の増員、その見込みは?
 市立病院は医師確保が難しく、看護師不足から稼働できる病床数を減らし運営しているのが現況で、23の診療科、10対1看護体制から新病院では25の診療科、7対1看護体制を確保することになると、50名以上の看護師が必要となる見込みです。現状でも50人以上が不足している状況ですから、合わせて100人以上の確保は全国的な看護師不足の現状から確保は困難を極めるといわざるを得ない状況です。
 収支決算状況についてみると、06年度の医業収益は119億7696万円で、07年度は114億509万円となっていますが、収支の赤字が06年度で、3億4350万円、07年度には2億4848万円となっています。一般会計からの繰り入れは06年度19億9440万円で、07年度は21億91879万円でした(2009年3月松戸市立病院改革プラン報告書)。
 松戸市立病院改革プランによれば、地域支援病院の指定、がん医療の再整備、DPCの算定、7対1入院基本料、医学管理加算など、11年度には8億2203万円の収支改善目標が得られるとしています。ただ、6年後には120億円にふくらむ累積赤字が、病院経営を苦しめる要因にならないとも限りません。
 松戸市のホームページでは新病院建設に関するQ&Aを掲載し、現地建て替えは新築移転よりも経費を要すると訴えていますが、移転新築か、現地建て替えか、両案の行き着く先は公立病院改革のモデルとして注目されています。

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 政府の国立病院機構(理事長=矢崎義雄)事業仕分けが4月23日に行われた。国立病院機構は改革プランを立てて事業仕分けに臨み、評価結果は仕分け人14人中13人が当該法人が診療事業を実施すべきと、ほぼ全員が診療事業の継続を支持した。うち7人は事業規模を縮減すべきだとし、7人がガバナンスの強化を求める評価となった。機構のガバナンスは抜本的見直しが必要だとした。機構のブロック事務所は廃止を含めて検討することを求めた。機構傘下の病院を含めた他の公的病院との再編等について検討するよう指示した。
菊田真紀子衆院議員は経営が効率的に行われているが、公的病院群をどう取り扱う予定か、と仕分け作業の論点を整理した。
「仕分け」に先だって機構が用意した改革案は、①組織をスリム化し、2011(平成23年度)には全職員の非公務員化を達成する。②これまでに廃止した病院の跡地を国庫に納付し、売却する(7病院跡地)。③国からの財政支出を削減する。④契約の適正化と調達コストの削減を盛り込んだ。

病院の地域連携も
枝野幸男行政刷新担当大臣は本部・ブロック事務所の管理経費を取り上げた。ブロック事務所は2004年4月、独立行政法人へ移管する際、旧地方医務局の8か所を6ブロックに再編し、事務所を設置した。この本部・ブロック事務所が地方のブロックに分かれて行うことの合理性や管理経費のあり方を問うものであった。
まず、北海道・東北ブロック事務所が仙台市にあることを取り上げ、「北海道には札幌以外にも病院が点在する。仙台に出張するより、東京へ行く方が時間的に、経費的に効率的ではないか。仙台市にブロック事務所を置くのは合理性がない。」と切り込んだ。この議論は仕分け人によって「本部経費の削減、ブロック事務所の廃止を含めた削減を検討」との評価に落ち着いた。
非公務員化のテーマについて、枝野大臣は「非公務員化は決めていいですね」と確認を取り、「本省採用で、機構に残る人は本省に戻れないですよ。」と念を押した。矢崎理事長は「官僚が役所に止まるより、機構で医療を学ぶ良い機会を与えることは必要だ。どの程度の人数かは判断を任せたい。」と厚労省職員との人事交流を認めるよう求めた。

近隣病院と統合できないわけ
 ブロック事務所は2004年、国から独立行政法人に移管した際、8か所の地方医務局が6か所のブロック事務所に移行した。仕分け人はブロック事務所の見直し・廃止を目指して取り上げた。評価者のコメントによれば「本部経費の削減」と評価された。
 仕分け人の一人である東日本税理士法人代表長隆氏は国立病院機構福島病院の現況を取り上げた。「この福島病院と目と鼻の先にある公立岩瀬病院は同規模の350床の新病院が立ち上がる。至近距離500mの両病院が統合できていない」と迫った。「公立病院と協議して統合すればよかったのではないか。機能の役割分担ができていない。」と問いつめた。さらに、医師不足の原因についても触れた。「医師不足の原因のひとつに過大な病床があげられる。統合すれば医師の集約も可能な病院を至近距離に二か所は必要ないだろう」という趣旨である。「舞鶴病院、滋賀病院も統合できていない。力の強い国立病院機構の傘下病院にはこうした事例が他にもあるのではないか」と警告した。
 これに対し、矢崎理事長は「設立母体の異なる病院がコンソーシアムを作って地域医療をどう育てるか、虚心坦懐に議論を」と応じた。「国立病院だからといって吸収合併を進めるようなことはせず、地域医療を支える方針を決めて行きたい」と、これまで国立病院がイニシアティブを取って地域医療連携事業を行ってきたことに触れた。尾立源幸参院議員はコンソーシアムを作っても出口の見出せない議論の積み重ねでは意味がない、機構にはリーダーシップを発揮するようにと依頼した。

築35年以上の病院が旧療養所に集中し・・・。
契約については、独立した契約監視室を設け、年間1万件の契約を1件ずつ洗い出し、随意契約は入札方式に改善し、契約違反に対して指名停止などの対応を取っていることを明らかにした。尾立参院議員は「国会でも指摘された随意契約について改善されなかった。加えて、医療機器については民間より高価格で導入している。」と鋭く切り込んだ。機構側は大型医療機器は共同購入に切り替え、一般市場に比べ40%安く購入している。民間での価格はコンサルを使って市場調査し、全病院に情報を伝えている。」と対応策をとっていることを明らかにした。
 運営交付金については、特定の疾病(不採算部門)について国からの支援を継続して取り扱うよう要求した。診療事業にあてられる交付金は、09年度75億円、10年度49億円のを11年度には30億円を削減し19億円とする計画を予定している。その他交付金でまかなわれている国期間分の退職給付債務347億円の一部を他の独立行政法人と同じ扱いとし、180億円を国からの直接払いに移行するよう求めた。
 
 

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 政府が地域医療を再生するため5年間で2350億円かけて、09年度第1次補正予算に組み込こんだ交付金の計画がこのほど明らかになった。提出された計画は各県から2件ずつ提出され94件、1件あたり25億円の総額で2350億円。各県別では医師確保対策に寄附講座、奨学資金、研修医等への助成などの対策が目立ち、あけてみれば各県横並びの計画に「有識者会議」の意見は「地域で医師が確保でき、住民が地域医療に引きつけられるような魅力ある事業」の実施を求めるものだった。
 1月25日、厚生労働省で地域医療再生計画を検討する会議が開かれた。この日が第1回で、昨年12月交付決定した地域医療再生臨時特例交付金を利用した「地域医療再生計画」を点検、検討した。都市部の病院勤務医の負担感とは質が異なり、地方病院の医師・看護師確保は対策が進まず、小児、産科、救急医療では診療科の体制が不十分という医療の現状を交付金で手当てし、地方は地域医療再生基金として活用する計画である。この日開かれた「有識者会議」では医師確保対策、医療機関の機能分担・連携事業、救急・周産期・小児医療、在宅医療などについて検討した。

地域のウリは何かを見つける
 提出された地域医療再生計画に対する「有識者会議」の意見によれば、医師確保事業については寄附講座、奨学資金、研修医等への助成の3つが主に対策としているが、寄附講座については地域医療を担うための医師の姿を描けていないばかりか、養成のノウハウも定まっていないとし、寄附講座は「置いただけでは医師確保は進まない」と口調は強い。計画が「横並びの事業が多く、地域の売りが何か見えにくい」と分析する。研修で訪れたとしても、魅力がないようではその地域を選ばないと指摘し、地域で求められる医療、地域で必要とされる人材を限られた予算の中で効果が出るような、地域や研修に魅力を持たせるような魅力創造事業を勧める。

 地域医療再生交付金は麻生自民党政権だった09年6月の緊急経済対策の中で登場した。当初から衆院選を見込んだ前政権のバラマキに近い予算との評判もたった。緊急経済対策の発表から10月計画提出までの期間は4ヶ月、政権が変わり、計画提出は11月まで延長したが、それにしても5ヶ月あまりと短期間での計画策定は困難だと見られていた。当初のねらいは医師確保対策の仕組みづくりが主たるものとされていたが、県内各医療圏の意見調整をまとめるにはあまりにも短期間すぎた。計画提出までの期間でまとまったのは基幹病院の新築計画が多くなった。「地域医療再生基金は無駄遣い」と評するのは公認会計士で総務省公立病院改革懇談会の座長を務めた長隆氏だ(m3・com「医療維新」09年9月29日)。長氏は地域医療再生基金に頼らずとも総務省の交付税措置が使えるというのである。公立病院に関する財政措置の改正要綱が昨年12月改正され公立病院に平均で約7億円、957病院あるので、総額6700億円の財政措置がある。さらに今回改正により公立病院と同等の医療機能を有する病院も対象になるため、病院の再編・ネットワーク化に有効な手立てになる。

30%の稼働率を上げるには
 各県から提出された計画のうち山梨県は峡南医療圏と富士・東部医療圏の再編計画である。峡南医療圏は社会保険鰍沢病院と市川三郷町立病院の共同経営化が描かれている。富士・東部医療圏のうち東部医療圏は大月市立中央病院、上野原市立病院、都留市立病院の再編計画となっている。昨年9月段階の原案では上野原市立病院ははずれていた。大月市、上野原市、都留市それぞれの思惑があったようだ。大月市立中央病院は243床で病床利用率30%、上野原市立病院は150床、病床利用率35%、都留市立病院は140床で病床利用率68%である。公立病院改革プランによれば病床利用率が70%を下回る場合は病床削減か診療所への転換を図るとされているため、各自治体の病院改善計画は喫緊の課題となっていた。大月市、上野原市、都留市は3市を中心に東部医療圏のネットワークプランの協議に入っていた。昨年10月提出段階で協議はまとまらず上野原市は独自に病院新築プランを先行した。今回提出された計画には上野原市立病院、大月市立中央病院、都留市立病院と再編統合計画となっている。上野原市立病院は指定管理者制度を取り入れ、大月市、都留市に対して地方独立行政法人を視野に入れた経営基盤で再編を呼びかけている。だが、上野原市立病院は新築計画を進め始めた。上野原市立病院新築計画は2年後の2012年4月の開院を目指す。江口秀雄市長は山梨県東部医療圏で住民が安心して出産できる医療施設のバースセンターを目指している。1月23日には看護師確保策として奨学基金の創設を発表した。
 有識者会議の資料によれば、なぜ医師が病院に来なくなったのかの分析が弱く、寄附講座を設けるとしているが、ねらいを定めるよう求め、医師・看護師確保策では医療クラークなどの勤務医負担軽減策と看護師養成力の強化を求めている。
 医療機関間の連携については連携対象を保健・訪問看護領域に広げ、重症化予防、病気予防への傾注を求めている。
 地域医療再生計画が二次医療圏の再編・ネットワークとして実現するには、周辺都市を含めた地域との協議が先決事項だが、地域協議がまとまらないのも現実のようだ。

表1 開設者別に見た病院数(各年10月1日現在)
  平成2年(1990) 平成8年(1996) 平成14年(2002) 平成19年(2007) 平成20年(2008)
病院 10,096 9,490 9,187 8,862 8,794
 国 399 387 336 291 276
 自治体立 864 853 851 888 872
 公的医療機関 292 294 295 304 321
 社会保険関係団体 136 134 130 123 122
 医療法人 4,245 4,873 5,533 5,702 5,728
 個人 3,081 1,875 954 533 476
 その他 864 853 851 888 872
厚生労働省統計情報部:平成20年医療施設(動態)・病院報告の概要より
 
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 1月12日、井戸兵庫県知事、賀屋神戸製鋼副社長、樽本加古川市長、高井神戸大学医学部長が記者会見し、加古川市民病院と神鋼加古川病院が統合すると発表した。専門病院として互いの分野を補い合うことで良質な地域医療の充実を目指し、神戸大学は医師派遣で協力関係を保つ。
 計画は神鋼側が病院を加古川市に売却し、同市が設置する地方独立行政法人が2011年4月から新病院を経営する。17年をめどに新病院が完成するまでの間は既存の2病院のまま診察を続ける。樽本庄一市長は「市民病院の内科医不足と経営難で統合提案に至った」とし、井戸敏三県知事は「県立加古川医療センターにない周産期医療の充実を期待している」と抱負を述べた。新病院は「加古川メディカルセンター(仮称)」病床数は600床。
 同市民病院は、16診療科、405床の大規模病院で、小児、周産期、がん、脳卒中などの分野で地域医療に貢献し、兵庫県における東播磨医療圏(加古川市、高砂市、明石市、加古郡稲美町)における小児医療・周産期医療の中核を担っている。「地域周産期母子医療センター」、「地域小児医療センター」は圏域を超えた広い地域の医療需要を賄っている。
 一方、 神鋼加古川病院は198床、循環器系、急性心筋梗塞に特化した医療機能を持ち、地域連携クリティカルパスが運用されている。
 近年、公立病院の病院経営が悪化、全国の公立病院で赤字となる病院が約7割、一般会計からの繰入を外すと9割の病院が赤字経営とされている。総務省では2007年に「公立病院改革ガイドライン」を公表し、公立病院は08年度内に「改革プラン」を策定することが義務づけられた。市民病院も例外ではなく2009年1月に「市民病院改革プラン」を策定した。

改革プランでは一部適用
 「改革プラン」の中で、2004年に始まる社会保障費2200億円の削減策、医療費適正化といった、医療費抑制により医療機関を取り巻く環境は厳しくなったこと。加えて医師不足による休診や診療科の廃止など、不採算部門を担ってきた公立病院の医療の継続が難しくなり、改革プランに着手したと明らかにしている。
 同市民病院は改革にあたって公務員型の地方独立行政法人を目指していたものの、08年3月に県からの認可が下りず断念した経緯があり、「改革プラン]では地方公営企業法の一部適用を目標としていた。しかしながら、神鋼が病院を加古川市に売却、市は病院を統合する形を取った。経営形態は地方独立行政法人である。民間が自治体へ売却・統合するという全国でも珍しい事例となった。民間との統合では08年4月の愛知県東海市民病院と新日鐵などが出資する医療団の病院が統合した例がある。
 再編に拍車をかけたのが医師不足とされる。09年7月には市民病院の内科医が2人になるという事態を迎え、外来診療を制限し、ベッド数も75床から25床に減らした。内科医は04年の16人をピークに08年には7人に減少、09年6月には5人に減ったうち3人が同時に退職した。
 内科医の減少は急患死亡による敗訴が少なからず影響している。03年3月に起きた心筋梗塞患者の死亡事故は適切な対応に欠け、死亡したことで敗訴したというもの。福島県立大野病院の産婦人科医師逮捕など医療事故の事例が取り上げられるたびに勤務医が減少することもあり、救急患者の受け入れに慎重になる病院が増え、患者が「たらい回し」される事例がたびたびマスコミに取り上げられる。
 公立病院は全国で改革プランを実施しつつある。再編統合の事例としては、山形県置賜広域病院組合が周辺3病院1診療所を3病院2診療所に再編した事例がある。高知県では高知県立中央病院と高知市立市民病院を統合し高知医療センターに移転・統合した事例、山形県立日本海病院と酒田市立酒田病院が経営統合し、地方独立行政法人を設立、県立日本海病院、酒田医療センターへ模様替えした事例がある。直近では国立病院機構高崎病院が高崎総合医療センターと名称変更し、高崎市メディカルサポートセンターを包含する形でオープンさせた。運営は国立病院機構高崎総合医療センターが指定管理者として行う。
 公立病院改革プランの策定状況は09年4月現在で再編ネットワーク化を決めたところが159病院(19・0%)、11年度までにとりまとめる予定が435病院(52・0%)となっている。経営形態の見直しでは地方公営企業法の全部適用が実施済みを含めて378病院、地方独立行政法人化が45病院、指定管理者制度の導入が65病院となっている。また、民間譲渡を決めたのが12病院となっている。
 

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 社会保険病院、厚生年金病院など公立病院の存続については民主党新政権が「存続」をマニュフェストに掲げているところだが、関連法案の臨時国会提出が決まった。
 厚生労働省は10月19日、省内で第2回政策会議を開き、来年9月が売却の期限となっている全国の社会保険病院53か所と厚生年金病院10か所について、公的病院として存続させるための関連法案を10月下旬の臨時国会に提出することを決めた。社保病院と厚年病院は社会保険庁が今年12月に廃止されることに伴って、2005年10月に設立された「年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)」に資産譲渡され、10年9月までに譲渡・廃止が検討されてきた。
 公的病院として存続させるには枠組みが必要として、今夏の総選挙で民主党がマニフェストに掲げた「公的病院の存続」を実現するため関連法案を提出する。
 社保病院、厚年病院をRFOから引き継ぐ組織は「独立行政法人地域医療機能推進機構」で、設立時期は11年4月のため、それまでRFOの存続を半年延長し、船員保険病院の運営にも携わる。すでに売却が決定している社会保険浜松病院などは除くとしている。

優遇税制は検討課題
 社会保険病院のうち受け皿が見つかり、運営をはじめたのは岡谷病院(岡谷市)、紀南病院(公立紀南病院組合)、小倉記念病院(財団法人平成紫川会)、東京北社会保険病院(地域医療振興協会)で、残り49病院(浜松病院は譲渡進行中)の受け皿は見つかっていない。
 09年3月に社保病院のあり方をまとめた報告書では、03年~05年にかけて経営改善の取組を行った結果、52病院すべてが黒字化し経営改善が図られたとしているが、一方で法人税、固定資産税が非課税で、救急医療などの不採算部門を維持するには優遇税制が不可欠だったことを明らかにしている。優遇税制によって経営収支黒字が保たれていた。報告では社保病院等が地域医療を担うには減免税措置などの検討を求めている。

山梨県東部病院新設を断念
 社会保険病院を含んだ地域再生計画を進めている山梨県で、社会保険鰍沢病院を含む医療圏のあり方について、次のような動きが報じられた。
 山梨県は10月14日開いた医療審議会で「地域医療再生計画」を決定した。再生計画は国が09年度補正予算で3100億円の基金を設けることになっていたが、補正予算見直しで、25億円相当(5年間で)を94か所交付することになった。県はこの日、峡南医療圏と富士・東部医療圏を計画の対象に選び、峡南医療圏については市川三郷町立病院と社会保険鰍沢病院の経営部分を一体化し、「一部事務組合」が共同で運営する体制を取る。峡南医療圏では経営統合の後、病院統合も視野に医療計画を作成するとしている。
 富士・東部医療圏では、当初、大月、都留の両市立病院を再編し、新病院建設構想を決めた、厚労省に100億円のプランを提出予定であったが、補正予算の見直しで1件25億円の縮減予算となったことから計画の見直しを余儀なくされた。交付金を使った地域医療再生基金は既存の医療機関の医師確保をはじめ、救急体制の強化、医療機関間のネットワークの推進に利用される。

病院機構が指定管理者に
 公的病院が指定管理者となった事例として高崎総合医療センターと滋賀病院の事例がある。
 9月に国立病院機構高崎病院の新病棟として「メディカルサポートセンター」を完成させ、10月には名称を「国立病院機構高崎総合医療センター」に改め、新病棟で診療を開始した。高崎市は同病院内の3分の1に当たる部分を市の施設として「高崎市メディカルサポートセンター」を設置し、同機構を指定管理者として運営している。
 東近江市の医療体制検討会が9月にまとめた報告書では、国立病院機構滋賀病院が東近江市の公立病院の再編に関わり、指定管理者として同機構に委託することが含まれている。指定管理者制度を使って公的病院の医療を担うのは高崎市メディカルセンターについで全国でも珍しく2例目となる。報告書によれば、救急医療体制、周産期、小児科の体制充実には滋賀病院の病棟増築と市立能登川病院、市立蒲生病院の改修工事が必要としており、国庫補助・交付金・合併特例債の財源活用を要望している。

 

大学法人が指定管理者に
 大学法人が指定管理者になった事例は高知大学と金沢医科大学である。高知大学は土佐山へき地診療所の指定管理者として08年7月に協定書を交わし、運営を開始した。地域医療の講座を持つ高知大学医学部は「人材育成の場として活用」するとし、地域医療額の実習の場として利用し、初期医療の患者とかかわる。
 金沢医科大学は氷見市民病院を08年4月から運営している。氷見市民病院は医師確保に当たって周辺3大学(富山大学、金沢大学)から医師派遣を受けていたが、金沢医科大学を指定管理者にしたため、他大学からの派遣医師の取り扱いが注目されている。

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 銚子市立総合病院の休止・再開問題で揺れる千葉県は医療審議会を9月30日に開き、地域医療再生基金の対象として香取海匝、山武長生夷隅の2つの医療圏の再生プログラムを承認した。香取海匝医療圏の案では国保旭中央病院を高度・救急医療の拠点として機能強化し、周辺の病院を役割分担、機能強化、ネットワーク化する。
 香取海匝医療圏には休止中の銚子市立総合病院が含まれている。銚子市の岡野前市長は08年7月に医師確保が不十分なこと、市からの追加支援が困難になったことなどを理由に市民に対して休止を知らせた。岡野前市長は市長選の際、市立病院存続を公約にしていたが、一転、病院休止を決定したことから、市民の怒りをかい、リコール、市長選に発展した。代わった野平市長は病院再生機構を設置し、10年度中に一部再開を目指している。
 地域医療再生交付金は09年度補正予算で創設され、13年度までの複数年度にわたる計画の支援が原則。銚子市立総合病院を含む香取海匝医療圏は三次救急医療体制が旭中央病院のみに任され、同時に山武長生夷隅医療圏の三次救急も請け負っているため負担が増している。同医療圏の管外搬送率は4割を超えている。9月2日、千葉県医療審議会に出席した委員は「二つの医療圏をベースに地域医療再生を考える時だ」と語った。

成東病院、山武市の独法に
 国保成東病院に代わる「九十九里地域医療センター」の構想がたち切れになった山武長生夷隅医療圏では、9月30日に成東病院の独法移行協議会が開かれ、10年4月から山武市単独の地方独立行政法人で運営することに合意した。周辺の東金市、九十九里町、芝山町は10月中旬に臨時議会の議決を経て正式決定する。東金市、九十九里町、芝山町が構成する一部事務組合を解散して独法化するケースは極めて稀と関係者は語る。九十九里地域医療センターが実現するまでの間成東病院は地域医療を担う。

94か所に25億円ずつ
 長妻厚労相は地域医療再生臨時特例交付金について、9日の記者会見で47都道府県に2か所ずつ、1か所あたり25億円を配分と明らかにした。交付金は地域医療再生基金としてストックする。8日に足立政務官は地域を限定して補助する方法について「医師不足などの解決にはつながらない」と難色を示し、「診療報酬か税金を投入して全体のベースを上げる」ことを図るべきだと主張した。「94か所だけに交付金を出すと外れた地域から反発がある」と牽制した。
 厚労省は15日に09年度補正予算の執行停止を示し、地域医療再生臨時特例交付金3100億円は750億円が停止されるため、実質2350億円の執行となる。新政権で表舞台に立つようになった民主党議員は地域医療再生に向ける予算より診療報酬に重きを置くと牽制気味だ。

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  厚生労働省は8月27日付で地域医療再生臨時特例交付金に関する事務連絡を都道府県に宛てて発出した。同交付金は今年4月に閣議決定した「経済危機対策」の一環。
  地域医療の課題を解決する「地域医療再生計画」に基づいて行う医療機能の強化、医師等の確保の取組を支援するものとして、今年の補正予算で地域医療再生臨時特例交付金として確保し、都道府県に交付することになった。都道府県は地域医療再生計画を作成し、来月16日までに申請することが条件。各都道府県が提出した計画は有識者会議に諮り、検討する。? 特例交付金は、地域医療が疲弊している要因となっている医師確保、救急医療の確保など緊急医療対策に対する計画を作成し、同交付金を地域医療再生基金を造成し、施策の実施を行うもの。もともと同計画については、「地域医療再生計画について」(2009年6月5日付通知)、「全国地域医療再生担当課長会議」(同6月16日実施)「地域医療再生臨時特例交付金に関するQ&A」で都道府県に説明し、周知してきたところ。

ハード整備に100億円
  交付金は1医療圏あたりハード整備100億円で採択が10件、ソフト整備30億円が70件の総計3100億円規模の事業。通常の補助金と違うのは5年計画であることだ。
  Q&Aでは新型インフルエンザ対策の対象についても可能とし、補助率については設定していないとしている。県や事業者の負担が全くゼロということもあり得るとしており、自治体に余裕がなくとも受けられるのが特徴。計画終了後の基金についての配慮をするよう求めている。

医師の県職員採用も
  同計画について、厚労省は地域医療再生計画モデル例を示した。地域の医療資源が不足し、施設間の機能分化や連携ができていないといった典型的な例を現状として上げ、計画終了時には、大学との連携により、寄付口座を設置し、医学生に対する奨学金の設置、産科・小児科の後期研修医に支援する大学と連携した医師確保システムが構築され、もう一つの医師確保システムでは医師を県職員として採用し指定地域へ派遣する。二次医療圏の中核には地域医療支援センターを保健所に設置し、医療資源の役割分担を進める連携協議会を運営する。
  福島県は会津・南会津医療圏、相双医療圏が申請する。南会津病院の機能充実と医師確保が必要とされる。相双医療圏では救急患者をいわき医療圏へ搬送するなど圏域を越えた計画を組み込む。
  島根県は卒後3年目以降の後期研修医を正職員化する案や大学医局へ地域医療研究費を助成する案などを県地域医療支援会議に提示した。
  高知県の地域医療再生計画案は、行政、大学病院、中核病院などからなる「高知医療再生機構」を組織、再生基金の補助で「地域医療研修拠点病院」を新設し、医師派遣、指導医への奨励金支援などを行う予定。
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 6月16日、全国ではじめて民間資金を使って公共施設を建設、運営する「PFI方式」を採用した高知医療センター(高知市)が経営難となり、運営を委託していた特別目的会社(SPC)と運営主体である高知県・高知市病院企業団(山崎隆章企業長)がPFI契約の解消を前提に協議することを明らかにした。同センターは2005年に開院して以来、病院建築にかかった費用が経営を圧迫し、厳しい経営環境が続いていた。
 同センターは、高知県立中央病院と高知市立市民病院を統合し、新病院として建設することを決め、高知県・高知市病院企業団を設立し、病院建設と運営をPFI事業方式で行ったもの。高知県は人口あたりの病院数は全国一であるが、高度な医療については県外の医療機関に流れる傾向があった。新病院は高度な医療「がんセンター」、「循環器センター」、「地域医療センター」、「救命救急センター」、「総合周産期医療センター」の5つの機能を併せ持つ病院として運営されている。

累積欠損は約70億円に
 同センターの2007年度決算では、入院患者が17万5、775人(480・3人/日)、外来患者数は延べ16万6、682人(680・3人/日)で、経常収支は収益158億1、453万円に対し、医業費用176億8、851万円で18億7、398万円の損失となった。18年度赤字は20億7,580億円、17年度赤字は17億7、920億円で、07年度の特別収益を加えた経常収支で累積欠損は58億982万円となった。加えて、2008年度病院事業会計の決算見込みが約21億1、200万円になると、16日の病院企業団協議会で明らかになり、累積欠損は約70億円になる見込みとなった。
 自治体が地方債を起債して長期資金を調達することはこれまで皆無だったが、PFI方式を使えば民間金融機関から長期の資金調達ができるため、社会的資本である病院やその他の公共物がPFI方式で建設され、事業運営されている。ところが、高知医療センターの場合は、これまでの自治体病院建設がそうであったように、採算を考えずに病院建築を行ってしまったため、高額な建築費が病院経営を圧迫し、累積赤字が継続することになった。
PFI事業で建築した自治体病院は結局高い建築費になると指摘したのは城西大学経営学部准教授伊関友伸氏で、著書の中で「行政はキャッシュフローを考えた建築を考えない」うえに、「起債制度と交付税措置」がPFIでも変わらない点を上げる。そして、病院を利用する市民には病院の経営が厳しくなるまでは病院のキャッシュフローに関心がないことも上げる。また、「設計事務所が病院経営について知らない」点については、PFI事業での設計、建設、管理運営が一体となった性能発注では建築経費が期待できるが、経費をできるだけ削減した病院建築へのインセンティブは少ないと指摘する。
 だが、同医療センターのふくれあがった病院建設費は、PFIの問題ではなく発注側が過大な設計をしたことに基づいていること、自治体側も過大な発注を抑えきれないと問題点を挙げる。
 高知医療センターと同じくPFI方式で新病院を建設し、運営を行ってきた近江八幡市立総合医療センターは昨年12月にPFIの契約を解除し、市直営の病院として再スタートした。PFI方式で経費削減やサービス向上が見込まれたが、SPCへの支払いが逆に病院経営を圧迫し、赤字に追い込まれた。近江八幡市は、SPCへ20億円の解決金を支払い、PFI事業を解約した。
 新築で、吹き抜けのある病院、アメニティーにも優れた病院には医師も喜んできてくれるだろうといった甘い期待は、医師の確保対策にならないばかりか、巨大な建築費だけが残ってしまう。PFI方式が陥りがちな先例である高知医療センターと近江八幡市立総合医療センターが相次いで契約解除に至ったことからPFI方式の評価が低まる可能性も懸念される。 090623_1.gif