490号 医師確保対策、医療法改正で位置付けへ社会保障審議会医療部会

 
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 医師確保対策を法律に位置づけ、医師確保の権限を都道府県知事に付与する件を厚生労働省が提案し、10月4日、都内で開かれた医療部会でおおむね了承された。委員からは医師偏在の実態調査、地域での医療の必要度調査が先決と実態把握を求める意見が続いた。
 医師確保対策は、2007年第5次医療法改正で、へき地などの特定地域、小児科、産科などの特定の診療科で医師が不足し、医師を確保を強化するため、都道府県に「地域医療対策協議会」を制度化した。都道府県では地域医療対策協議会で、特定機能病院、地域医療支援病院、公的医療機関、大学その他の医師養成機関に協力を求め、医療従事者の確保策を行って来た。
 11年度からは、地域医療支援センター事業として、医師不足病院への派遣、あっせんを行うシステムを構築するための補助事業を実施した。医師の派遣、あっせんのほか、医師の地域偏在の解消への取り組み、地域医療に取り組む医師のキャリア形成支援を行っている。11年度以降、30都道府県で合計1069名の医師派遣の実績を上げている。
 厚労省の提案によると、補助事業として実施している地域医療支援センターの機能を医療法に位置付け、病院や大学、公益法人へ委託する。都道府県知事は医師不足病院への医師派遣を行うことを医療法上に明記し、医師確保対策への協力義務、または協力の努力義務規程の範囲を拡げるなどだ。
 日本医師会は「大学臨床研修センター(仮称)」、「都道府県医師研修機構(仮称)」、「全国医師研修機構連絡協議会」を提案した。各医師養成大学に「大学臨床研修センター(仮称)」を設け、研修先の相談調整機能を持たせ、「都道府県医師研修機構(仮称)」が研修希望者数と臨床研修医の調整を図る。「全国医師研修機構連絡協議会」は「都道府県医師研修機構(仮称)」全国レベルでの調整を行う組織という。

ナースセンターとハローワークの就業実績に5倍の差
 医師派遣は民間医療機関には恩恵がないとも言われ、地域偏在の実態を把握する方が重要、地域医療の実態把握が先決との意見も聞かれる。医療部会では、公務員の兼業規程に関し、「兼業規程を廃止し、(民間病院への派遣が可能になれば)民間病院の医師の疲弊度は減る」(山崎學委員・社団法人日本精神科病院協会会長)との主張や「職員派遣の禁止の法律など検討が必要だと思う」(荒井正吾委員・全国知事会=奈良県知事)といった公務員規程に触れる意見もあった。
 地域医療支援センターを法律に位置づけるに当り、荒井委員は「医師のニーズと供給側のニーズのマッチングの統括が法改正の要点」とポイントを挙げ、中川俊男委員(日本医師会副会長)は「医師派遣の実態調査をすべき」、相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は「地域の医療必要度を把握すべき」、日野頌三委員(日本医療法人協会会長)は「地域偏在(の要点)は子どもを良い大学に入れたいという願望の現れだ。」とし、地域偏在の論点を明確にするよう要求した。
 看護職員確保対策については、新たな施策として、看護師免許保持者の届出制度、離職者の把握といった離職中の者を含めた看護師免許保持者の状況把握と、ナースセンターが看護師免許保持者の「つながり」を確保し、ライフサイクルを通じて適切なタイミングで復職研修等、必要な支援ニーズを踏まえた研修、情報提供、相談、職業紹介等の支援の仕組み、離職防止の徹底等の取り組み、復職支援の強化を実施。勤務環境の改善を通じた定着・離職防止対策を提案した。
 ナースセンターとハローワーク、年間就業実績の比較では、ナースセンター約1・2万人、ハローワーク約5・1万人でこの差は大きいとして検証するよう厚労省へ要請した。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html)