388号 介護報酬地域区分見直しは「その他地域」に不利か

 
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 8月10日都内で開かれた介護給付費分科会は現行で5区分になっている地域区分を7区分に見直すことで合意した。国家公務員の地域区分に準拠して全体を引き下げ、財政的に中立の立場で再配分することを決めた。
 09年度の介護報酬改定で見送った地域区分の導入だが、06年に見直された国家公務員の地域手当の地域区分の導入については、「その他地域」に存する事業所が多いため国家公務員の地域区分を適用することが適切かどうかは議論があるとして、12年度改定の宿題事項とされた。
 「その他地域」1641自治体の介護事業所に国家公務員の地域手当の地域区分を適用することになると「見直し」の基本である財政中立、格差是正の観点から「その他地域」の分を下げて特別区、特甲地の分に上乗せが想定される。介護事業所の大部分をしめる「その他地域」は12年度報酬改定を減額された基準から始めなくてはならない。
 介護報酬では地域ごとの人件費の差を調整するために国家公務員の地域手当の地域区分を基本にして設定している。国家公務員の地域手当については地域区分が06年に見直され、10年に導入された。この方法では-4.8%引き下げてその上で地域調整し1級地(改正前は特別区=東京23区)では18%が上乗せされた。介護分野で適用されれば-4.8%下げられるのではないかと出席委員が色めき立つのは当然といえる。

介護報酬の前提とはいえ報酬とはかかわりなく
 反対論が巻き起こった。事務局は財政中立の観点から「格差をどのように見るか」と原則論を展開。
 左右に揺さぶり、ガス抜きし落ち着かせていく手法はこれまでの分科会、審議会でも定番だ。勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)は、埼玉事業所で-4.8%で試算し、「年間960万円の減収となった」と発言すると、宮島局長が議論に割って入った。「だから4.8%は下がらないといっているでしょ」と怒り気味に訴えた。分科会終了後も食い下がる記者に対し「介護報酬とは関係ないのだから」と声を荒げる始末。

介護人材確保のためにも
 事務局によると「その他地域」に介護事業者が多いから介護報酬は下がらない方針というのが本当のところ。国家公務員の地域区分の例は、「その他地域」には国家公務員が少なく、当然地域手当は少なくなる。従って「その他地域」は格差是正の観点から下がり、下げた分を特別区、特甲地に上乗せしている。
 介護報酬改定の議論を始めようという分科会で国家公務員の例を取り上げたのはふさわしくなかったのだが、介護報酬の改定率議論は東日本大震災の復興支援を優先すべきとの傾向から、分科会出席の委員の間にも介護報酬が上がる要因はないとの空気が流れた。
 「-4.8%が一人歩きをしている感がある」と応えた村川浩一委員(日本社会事業大学教授)は介護報酬分野は「大きく遅れている」として、介護人材の確保のため介護職員の給与ベースを守り、安定化を図るための格差是正だと位置づけを明らかにした。-4.8%ではないが、2~3%は下がる見込みも示した。介護職員の処遇改善交付金で地域差を指摘したのは池田省三委員(龍谷大学教授)。地域差については交付金から支払われた1万5千円は沖縄と東京で価値が異なるはずと強調した。また、1兆円にも及ぶとされる「特養の内部留保」について、介護報酬がどこに使われているのか、秋にも明らかになる介護報酬実態調査で解明してほしいと結んだ。介護報酬がどこにどう使われて、賃金にどう反映しているかの仕組みが知りたいと解明を求めた。
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