340号 75歳以上も現役と同じ医療保険に

 
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 13年度4月に導入予定の新しい高齢者医療制度のあり方を検討している厚労省の「高齢者医療制度改革会議」は8月20日中間取りまとめ案を大筋で了承した。
 中間とりまとめ案によると後期高齢者医療制度を廃止した後、新制度を発足させる。新制度の基本骨格は75歳以上の後期高齢者も現役世代と同じ医療保険への加入である。現行の制度では、高齢者が75歳に達した時点で独立型の保険に加入することになったが、新制度では、75歳を超えたサラリーマン本人やサラリーマンの被扶養者は被用者保険に、それ以外の人は国保に加入する。この二本立ての制度が並立する。
 現行制度の保険料は高齢者の約1割、現役世代からの支援金約4割、公費約5割とすべての高齢者が保険料を納める義務となっているが、新しい制度では、市町村国保と同じように世帯主に納付義務があり、世帯主以外の高齢者は保険料の納付義務がなくなる。高齢者を扶養する世帯で負担が増加しないかとの懸念も生じている。

低くなるか高齢者の保険料
 財政運営の点で変わるのは、後期高齢者医療制度に加入していた1400万人のうち、1200万人が国保に加入することになり、高齢者間の保険料格差が復活することである。国保から高齢者医療制度へ移行したことによって格差は5倍から2倍に縮小したが、今度は逆のことが起き、市町村国保では財政運営が困難になることは明らかである。このため、中間まとめでは、財政影響を検討し、75歳以上とする場合と65歳以上とする場合の検討に入る。また、低所得者の加入率が増加することなどから保険財政の安定化、保険料負担の公平化などの視点から都道府県単位の財政運営を目指す。
 市町村国保は一時的に高齢者が加入することで収納率の悪化が懸念されるところだ。将来的に運営主体となる都道府県は収納状況を勘案し、高齢者の保険料を決める。現役世代と高齢者の保険料率が異なることが従来からの変更点である。こうした徴収の仕組みによって市町村は収納率を高めるほど被保険者の保険料を安く設定できる点を強調し、市町村の日常的努力(営業的)を保険料に反映させる仕組みを導入する。
 高齢者の保険料について、75歳以上と現役世代の保険料は医療リスクの観点から保険料率がことなる点は改革会議で了承されたが、65歳から74歳の保険料率水準をどこに定めるかの検討が続けられる。
 おりしも、8月16日には09年度の医療費が公表された。医療費全体で35兆3千億円と過去最高を更新し、前年度より1兆2千億円の増加となった。70歳以上の医療費が44%をしめた。医療費の伸びは対前年度比で、70歳未満は2.2%であるのに対し、70歳以上は4.6%の伸びを示している。08年度の70歳以上の伸びが2.1%だったのに比べ倍以上である。一人あたり医療費では70歳未満1.0%の伸びで、70歳以上は1.9%とこちらでも若人との間で大きな差が生じている。
 同日、新たな高齢者医療制度について、公聴会での意見聴取の状況が発表された。制度の廃止について、九州ブロックでは、現行制度を継続すべきという意見(9件)があったのに対し、医療保険制度全体の見直し(9件)や将来的な議論をすべき(12件)とする意見も見られた。財政運営は都道府県単位を基本とすることに異論はないものの、現役世代の負担に上限を設け、超える部分を公費によりまかなうべきとする意見もあった。高齢者や障害者の窓口負担は無料化すべき(9件)との訴えもある一方で、北海道・東北ブロックでは高齢者も負担能力に応じた負担をすべき(6件)との意見は高齢者からの反発も予想される。
 改革会議では、中間とりまとめ以降に残された課題(14項目)の検討に入る。運営のあり方として残されているのは、制度移行を全国一律か、順次移行するかという点だ。さらに都道府県単位にする場合の対象年齢を65歳以上か、75歳以上とするかにも注目が集まる。65歳以上では医療リスクが高まることから医療費が高くなりがちで、この財政調整の仕組みをいかに設けるか、収納率低下の防止策となる仕組みをいかにするか、被用者保険者のうちでも財政力の弱い保険者の負担が重いものとならないよう負担能力に応じた公平な仕組みにするか、患者負担は1割と固定して設定していることについても患者負担を見直すことなどだ。
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