医療制度カテゴリーの最新情報

 
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 1月6日に開いた「急性期病床群(仮称)」の内容を検討する「急性期病床に関する作業グループ」会合で委員から急性期病床の機能が明確でないとして、病床の機能区分の明確化を要求する意見、医療提供側からの視点が入っていないとして「白紙に戻すべき」「データを示すように」との提案が集中した。
 精神病床、結核病床など医療法で規制する病床は都道府県知事の許可制だが、急性期病床群(仮称)は認定という仕組みを厚労省が提案。認定は病床の機能分化の1つの推進策として医療法上の従来あるような許可という規制ではなく、病床機能分化を推進を後押しする仕組みとして提出したもの。病床の機能が目に見えるようになり、適切な医療のアクセスにもつながるとしている。従来の人員・構造基準に加え、病床の機能についての評価も導入する。都道府県は地域における急性期医療の状況を把握し、地域の医療計画の策定にもつながる効果があるとされる。許可という仕組みでは、許可が取り消されると医療の提供はできないが、一般病床、療養病床の枠組みは維持するため認定が仮に取り消されても、医療は提供できる。急性期病床群が担う医療は、心筋梗塞の入院患者や手術後の患者のように状態が不安定で病状の観察など、医学的管理あるいは傷の処置などの治療が日常的に必要とする場合を想定した。急性期病床群として想定している急性期医療は、緊急度、手厚さの度合い、重症度も加味し、より高密度な医療を提供する。認定要件は構造基準、人員配置基準、平均在院日数あるいは病態、入院経路、処置といった機能の面も含めて評価する。

急性期の機能にこだわる
 一般病床から急性期病床群の資格要件を満たす病院には、おそらく新たに診療報酬上の特典が用意され、要件を満たさない場合は後方病院として地域医療に貢献するあらたな医療提供体制の姿が描かれると予想される。
 急性期病床群という曖昧なジャンル分けで認定されたとして、その要件を外した場合の経営資源の担保がないままでは将来的な経営戦略が描きづらい。
 平成4年医療法を改正し、その他病床を区分、療養型病床群を創設したが、介護保険が始まり、介護療養病床は平成29年度末までに廃止が決まり、医療療養病床だけが生き残ることになった。急性期病床群も同じ運命を辿るのではないかと医療関係者は恐れを隠さない。加えて病床群で報酬上の優遇策が得られたとしても、その優遇がいつまで継続するか、一度昇った梯子が途中で外されないか、将来の保障があるとは言えない。
 同日、会合では冒頭から病院団体、医師会代表は一般病床の機能区分を明らかにするよう、「データをそろえて」「白紙に戻すべき」とデータによる資格要件にこだわった。「2025年の人口構成、年齢構成は現在とは全く違う姿。若い人1・5人で高齢者1人を支える」(西澤寛俊委員(全日本病院協会会長))。「入院患者の7割は65歳以上高齢者。高齢者は病態の変化がある。人員が少ないところでいいのか」(相澤孝夫委員(日本病院会副会長))と現場感で訴えた。全日本病院協会は、一般病床を高度医療病床、急性期病床、地域一般病床、療養病床にまたがる回復期リハ、療養病床の中に療養病棟を分ける。さらに「亜急性期・回復期」は「地域一般病棟」と定義する。「地域一般病棟」は地域における軽度から中等度の急性疾患患者の受入、急性期病棟からの亜急性期患者の受入、地域の在宅医療・介護保険施設等のネットワーク支援機能を持つ(11年3月9日医療部会・西澤委員)。高齢者の場合、「亜急性期・回復期」といえども急性期のような緊急度が少ないと捉えるのは誤りと、相澤委員も同様に理解を示した。
 このWGのまとめは田中滋座長(慶応大学経営大学院教授)が今後の30年間で増加する高齢者数と急性期病床群の機能に言及。「医療機能を考え、資源を投下しすぎないように」と結んだ言葉に凝縮されている。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html) 

 
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お知らせ
 メディカルニュースは2012年1月3日、10日はお休みさせていただき、2012年1月17日に更新いたします。


 12月22日、厚労省で急性期医療に関するワーキンググループ(WG)会合が開かれた。厚労省が11月の医療部会で提案した「急性期病床群」(仮称)の具体的なイメージを固めるのが開催の趣旨。わが国の医療提供体制は一般病床、療養病床と患者の病期にあわせて病床が区分され、病床機能も病期に沿った診療報酬が評価されてきた。医療の高度化、患者の病態像の変化によって必要とされる入院機能が変化し、病床区分も自ずと変容を余儀なくされてきた。
 医療提供体制を決めている医療法では精神病床、感染症病床、結核病床、その他の病床という区分になっている。当初は一般病床、療養病床の区分はされず、「その他病床」に一括していた。患者の病期や高齢化の進展などで病床区分の改正が行われてきた。昭和58(1983)年「その他病床」から長期療養患者の施設として「特例許可老人病棟」が分化、平成4(1992)年には、「療養型病床群」が制度化された。さらに平成12(2000)年には介護保険のスタートと同時に長期にわたる療養を必要とする患者の施設を「療養病床」として制度化し、それ以外を「一般病床」とした。
「療養病床」は、介護保険において医療需要の高い者は介護療養型病床、医療においては医療療養病床が引き継ぐ形で慢性期医療が行われてきた。2006年には医療費適正化計画の一環で介護療養病床は廃止することになった。こうした病床機能の機能分化は医療の効率化につながるものとなっている。
 医療提供体制を審議してきた社会保障審議会医療部会において、急性期医療では、医療資源の集中投入がより必要な重症患者等への急性期医療の機能強化、急性期医療から引き継ぐ病床の確保の必要性などを踏まえた在り方を考える事が必要との議論が出されていた。
 従来より一般病床には、急性期医療、亜急性期医療、回復期のそれぞれの病態の患者が混在し、平均在院日数を押し上げている現状が問題との認識があり、整理すべきという方向性の議論がされてきた。一般病院の「一般病床」がそれぞれの病期を混在して抱えていることが常態化していることについて共通の認識を持つべきだろうと、「急性期病院」というイメージを高智英太郎委員(健康保険組合連合会理事・11年3月9日の医療部会)は提案した。全日本病院協会は数年前から地域の実情を勘案して枠組みに裁量を持たせた「地域一般病棟」の提案を行っていた。11月17日の医療部会で事務局が提出した「急性期病床群」(仮称)はこれらの提案をうまくカバーした形となった。
 「急性期病床群」(仮称)について横倉義武委員(日本医師会副会長)は「診療報酬での区分と医療法で明らかにする事について理解出来ない」と反発。日野頌三委員(日本医療法人協会会長)は「急性期の定義をもたないことには議論は進まない」と定義付けを要求した。事務局は医療法で明確化することについて、「医療提供体制の基本的仕組みを明確化し、その上で診療報酬がついてくるのが筋道」とし、一般と長期療養とを区別し、急性期を機能分化するのは議論の流れと回答した。

急がれる法案、慎重な了解 
 政府与党がまとめた社会保障・税一体改革成案では、「地域の実情に応じてサービスの提供体制を効率化・重点化し、診療報酬・介護報酬の体系的見直しと基盤整備のため一括的法整備を行う」としている。WGのスケジュールでは年明けの早い段階で「急性期病床群」(仮称)の具体案の検討をまとめ、医療部会に報告する。厚労省はこれを受けて、法案を作成、国会提出の予定になっている。
 一般病床に様々な病態の患者が混在すること自体が問題視されているが、地域によって医療提供体制の整備が不十分で、在宅医療の後方機能の受け皿がない等「急性期病床群」(仮称)を投入するとしても機能が果たせないといった地域事情もある。社会保障・税一体改革成案が描く2025年のあるべき姿に照らして、「急性期病床群」(仮称)が整備された将来像では、人的資源が集中的に必要な急性期医療の機能分化が進み、地域の実情に応じて医療連携が完成された形になるはずだ。事務局の示した図では一般病床300床を7対1看護配置の急性期病床群250床と亜急性期50床の病院にするというもの。年明けから始まる国会に法案提出を急ぐ厚労省だが、病院団体、医師会の了解を取り付けるにはいばらの道が待ち受けているようだ。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html)  

 
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 医療計画の見直しを進めている厚生労働省は在宅医療の評価指標について国立長寿医療研究センターがまとめた指針案をもとに作成する方向性を明らかにした。7月13日厚生労働省で開かれた「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長=武藤正樹・国際医療福祉大学大学院教授)で在宅医療の4疾病5事業の枠組みの中での位置づけを巡って議論された。幾人かの委員は5事業に加えて「在宅医療」を6つ目の事業的位置づけをすべきと迫った。事務局は医療法上、在宅医療は4疾病5事業並びの位置づけと応酬した。事業的位置づけをするのであれば法律的には降格的扱いになるとして医療法を改正するまでもないとしたが、法律的位置づけ論は意味をなさないことを印象づけた。
 仮に4疾病5事業に入れ込んで6事業として在宅医療を整理する場合、医療法の改正が必要で、法改正となれば時間がかかるため、厚労省としては避けたいところ。委員からは、(法律的なことはどうでもよく)実を取りたいとの意見が続いた。神野正博委員(全日本病院協会副会長)は「4疾病5事業プラス1在宅」などのキャッチフレーズが必要とし、「評価指標も作るべき」と要請した。「4疾病5事業」の事務局説明は枠組みに過ぎないとして、1事業に加えるべきと訴えたのは鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)で法律より実を取りたいキャッチフレーズにこだわるようだ。

在宅医療の目標,指標が必要
 事務局は局長通知は在宅医療にふれているが、課長通知にふれていない点を持ち出し、年末までに課長通知に入れ込むか否か、あるいは「在宅医療」は別途、課長通知として出すべきか否かの議論を求めた。鈴木委員は「在宅医療を実質的な形で位置づけられれば良い」として判断を事務局に任せた。事務局側が委員の総意とそぐわない面が露呈した形だ。
 中沢明紀委員(神奈川県保健福祉局保健医療部長)は計画策定する側として「現行計画にも在宅医療に関する記述はある」としながら、「新たな在宅医療の具体的指標、指針は出るのか」と問うた。実施にあたって、総合医的視点を求められる医療スタッフとその育成、訪問看護師の研修教育、後方支援病院など課題が山積していると問題点を指摘した。

在宅を担う医療関係職の育成から 
 委員からは在宅医療の目標及び評価について位置づけをすべきとの声が出された。国立長寿医療研究センターが中心となって組織する「在宅医療推進会議」は日本医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会等の医療界の主要メンバーが参加する団体で在宅医療体制構築に係る指針案をこの日示した。
 指標案はストラクチャー、プロセス、アウトカムの3指標を軸に4疾病5事業の手法に則ったもの。日本看護協会も同様の指標を提出した。指標は▽患者の重症度、要介護度、医療系、介護系サービスの受給状況など患者動向に関する情報、▽在宅医療に携わる施設数、機能、連携する支援施設などの医療資源に関する情報、▽在宅医療を支える医療機関間のネットワーク形成、医療と介護との調整手法の情報を「建物、機能・内容、機関連携」に分けて見ていこうというもの。指標をもとに目標に向かう。

医療計画=医療計画は、地域の体系的な医療提供体制の整備を促進するため、医療資源の効率的活用、医療関係施設間の機能連携等の確保を目的としたもの。医療計画には、医療圏の設定及び基準病床数に関する事項、地域医療支援病院や療養型病床群の整備の目標、医療関係施設相互の機能分担及び業務の連携等に関する事項等を定める。08年4月からの医療計画で4疾病5事業(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病と救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)に関する目標、評価指標が盛り込まれた。(医療介護福祉コンパクト用語集 10年度版)

 

 
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 6月10日、厚生労働省で国立病院・労災病院の検討会が開かれ、9割以上が一般診療で占めていることが分かった。検討会では、09年度の受診患者のうち一般と労災の比率を調査したところ、入院・外来あわせて95・6%であった。委員からは労災病院のあり方を巡って議論が行われた。
 検討会は独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針(10年12月7日閣議決定)に沿って、病院単位で国立病院・労災病院の診療連携の構築、地域の公的病院との再編等についての検討、病院配置の再編をも包含する総合的な検討について早期にまとめるため、設置されたもの。
 4月20日に開催した第1回では、「労災病院を国立病院に再編ありき」の空気が流れたが、渡辺俊介委員(東京女子医科大学医学部客員教授)は労災病院で行われている政策医療13分野については一般医療でも行われている「メンタルヘルス」も含まれているため、「労災病院のミッションが明らかになるような区分けをしてもらいたい」と依頼した。
 検討会資料によれば、労災病院の収支は05年▲73億円、07年▲42億円、09年▲50億円と赤字が常態化している。厚労省労災管理課長は厚生年金基金の目減り分を除いた形で、10年度は黒字転換する予定で、黒字転換の暁には、「350億円の累積赤字を10年度から5年計画での返還をする」心づもりを明らかにした。
 この議論を巡って、労災部門と一般診療部門の割合を明らかにするようにとの意見が委員から出て、同日の資料提供となった。
 労災病院は労働災害が発生する炭坑や工場等がある地域に設置されてきたが、時代の趨勢とともに労働災害自体の変化に伴って、昭和50年頃には「労働者医療」から「勤労者医療」へと転換してきた。労災病院が労働災害を扱う一方で、地域医療の担い手であったことも揺るがせない事実である。労災医療のあり方については行政改革が行われた2001年頃から検討され、「労災病院は廃止」との案も出された。

赤字の状態化と必要な政策医療
 しかしながら、労災13分野にわたる政策医療を行う医療機関としての機能は「何が一般の病院と異なるのかという勤労者そのものの概念が判然としない」と熊本労災病院宮川太平院長(03年5月日本職業・災害医学会会誌51巻3号)は問題提起し、「政策医療である協議の『勤労者医療』だけで病院の経営を運営できる補助を国が十分にやってくれるか」と疑問を投げかけた。労災病院は04年独立行政法人化に移行する際、それまで1兆円近くあった欠損を国が補填した。それ以降、交付金や補助金で04年は440億円、06年は425億円を投入しながら、先にみたように、なお累積赤字が嵩んでいる。こうした事態は労災病院の廃止論を焚き付けるだけだが、一方で「じん肺」をはじめとする政策医療、振り返って今回の大震災支援の担い手として、遊休医療機関との批判を浴びてもなお存在意義が認められよう 。
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6月1日、厚生労働省で「チーム医療推進会議」が開かれ、特定看護師の業務範囲を検討するワーキンググループ(チーム医療推進方策検討ワーキンググループ)が実践事例を報告した。報告書では、多職種が医療にかかわることによる従来の定型化した職種の業務範囲を超越した医療、医師、歯科医師がチームリーダーとなってチームワークを保つことを目指しているとチーム医療を定義した。報告書はチーム医療を行う際には、定型化した業務の範囲を定型化することなく、個々の医療従事者の能力を勘案して、「包括的指示」について「積極的かつ柔軟に活用」し、「指示の要件を定型的にしすぎない」ようにとの注意を指示した。
医療の現場では、「医師の包括的指示」のもとに「一定の医行為」が行われているが、「包括的指示」の確立された要件がなく、「一定の医行為」の範囲についても示されていない。看護師の行う「医行為」は医療技術の進歩、看護教育の水準が向上したことなどから、その範囲は従来に比べ拡大し、10年5月の「チーム医療の推進に関する検討会」の報告書でも「実施可能な行為の範囲の拡大が期待されている」として看護業務の拡大への期待がかかっていた。
 保健師助産師看護師法では、「医師の包括的指示」のもとで行う「医行為」は「診療の補助」として定義されている。厚労省は、02年に「静脈注射」、07年に「薬剤の投与量の調節」が診療の補助の範囲に含まれることを通知で示した。

アウトカム、プロセス、ストラクチャーで評価
 チーム医療が患者の負担軽減や医療・生活の向上に、医療安全の向上に役立つのかといった疑問に答えるためには、最終的にチーム医療の評価が肝心なところ。同ワーキングでは評価の視点として治療の効果、医療安全の向上のほか、労働生産性、医療スタッフの負担軽減など、▽医療の質、▽患者の視点、▽医療スタッフの視点、▽経済的視点の4点を指標として掲げ、評価の方法には平均在院日数、コスト減少、専門職種の配置、電子カルテの導入といったアウトカム、プロセス、ストラクチャーの評価を提案し、収集した実践事例をこれにより評価した。
 脳血管研究所美原記念病院の褥そう対策チームが急性期病棟で稼動したアウトカムは、BCランク率は61.0%→70.5%、発生率2.1%→0.8%、有病率6.9%→2.2%、治癒率33.4%→52.1%、平均在院日数11.9日→10.9日(04年、10年実績比較)であった。同病院急性期リハビリテーションチームの結果も二次的合併症・廃用症候群の予防、経口摂取開始までの期間の短縮、在院日数の短縮などの成果を上げている。
 長崎大学病院、昭和大学横浜北部病院の周術期(集中治療)のチーム医療では、患者は重症疾患で、多臓器の機能が低下し、各職種が最も注意を払う患者の状態である。薬剤の投与、投与量の調節、医療機器の使用など各職種の度量が試される。このチーム医療で得られる効果は、集中治療室の在室日数、病院在院日数の短縮、これによる医療費の削減など多くの成果が期待される。
 ただ、特定看護師の業務範囲については日本医師会を中心にした反対意見が強く、今後の展開に混乱が予想される。
 同日、推進会議では、来年3月までの「チーム医療の実証事業」案について了承した。実証事業については6月末までの申請期間で、診療所、2百床未満、2百床から4百床未満、4百床以上の4類型でそれぞれ10施設程度。また、急性期、慢性期、在宅医療の取り組みについても各15施設程度を募集する。
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 1月28日、地域医療福祉情報連携推進協議会発足記念シンポジウムが開かれた。記念講演を行った厚生労働省大臣官房審議会唐澤剛氏は、地域医療について、ネットワーク型システムの構築が前提と述べた。
 同協議会会長は東京医科歯科大学大学院教授の田中博氏、名誉会長は日本病院団体協議会議長・全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏、顧問には前厚生労働事務次官水田邦雄氏が就任している。昨年11月に設立した新しい団体で、その趣旨は、地域包括ケア実現には地域の患者・住民の健康医療情報の集積基盤が不可欠として、地域医療情報ネットワークと患者・住民の健康情報の集積を同時に共有する地域EHRの必要性を説く。地域医療福祉の情報連携する際に至適形態を実現させ、循環器・糖尿病などの慢性疾患のクリティカルパスモデルを検討し、日本版EHR(生涯電子カルテ)実現を指向するとしている。
 田中会長は特定健診・保健指導がスタートした08年、日本版EHRについて、国民の一人一人が生涯にわたる健康医療情報の記録管理が可能で、健康記録情報をネットワーク化することで医療情報が確実に提供できるシステムだと述べている。地域医療に限定せず、今まで医療機関間のネットワークに限られていた医療情報が患者個人が見られる情報としての構想が描かれた。
 典型的な医療機関の利用は、病気にかかると医療機関にかかり、治ると健康体になるパターンだった。このため、カルテの保存期間は5年で支障がなかった。しかし、疾病動向を見ると、糖尿病、がん、高血圧など、生活習慣病に代表される疾病は5年以上、場合によっては30年以上の長期にわたって疾病管理をする現状になっている。長寿社会が実現し、慢性期を中心とした疾病の動向が一般的になるとカルテの長期間保存も必要になる。さらに幼児期からの健診データ、学齢期の罹患歴など、健診と医療の情報を一括管理する必要性があるというのだ。
 厚労省で検討している「社会保障カード」は5年以内の実現を目指すとされているが、医療・年金・介護の3制度すべてを一体的に一枚のカードで一括管理する構想だ。情報化や制度横断的な様々な取り組みに対する不安、3制度を一体的に扱う必要性を問うなど反対論も根強くある。

情報化の取り組みは経済産業省が先行
 経済産業省は、昨年末、12月17日に地域医療の実現に向けた医療情報化促進のためのモデル事業の募集を行った。「どこでもMY病院」構想及びシームレスな地域連携医療の実現に向けた実証事業が内容で、「どこでもMY病院」とは、内閣府のIT戦略本部が進めている「医療情報化に関するタスクフォース」でテーマになったタイトル。昨年5月にIT戦略本部が公表した「新たな情報通信技術戦略」の医療分野の計画の一つである。
 「どこでもMY病院」は健康医療サービスが選択し、受けやすくするための電子的な記録および意思決定支援システムのことで、単なる「個人の健康情報を管理する仕組み」ではないとしている。イメージとしては、日常生活での健康管理(健診情報や健康情報)がしやすくなるよう、携帯電話などが個人の運動量や体重管理を行い、食べ過ぎてもメッセージを発する。医療機関の受診の際の検査データや投薬管理を行う。処方箋薬局では重複投薬の防止、患者の投薬歴から相応しい投薬が処置できる。あるいは、急病で救急搬送された際に救急措置に必要なデータが把握できるなど、などの機能が搭載されているもの。
 タスクフォースでは具体的なイメージとして、携帯電話の、リリカ(マイカルテカード)といったカード形式が示された。カード形式の場合は、読み取り装置にカードをかざすとカード内容がディスプレーに表示されるもの。いずれも社会保障カードをより進めたものと考えられる。
 カード、携帯端末のいずれにしても紛失、パスワードの喪失や、データ漏洩、改ざんといったリスクはつきものであるが、それにも増して医療情報の共有による患者・市民の病気、健康に役立つシステムが何にも増して勝ると考えられる。
 個人の医療情報は患者の手元から離れ、医療機関に隔離されてきた。それを当然としてきた医療の歴史がある。インフォームドコンセント、カルテ開示といった医療機関に隔離されていた医療情報が患者個人が望めば、患者の元へと返ってくることも可能になった。
 地域医療情報の連携組織の発足、患者個人の医療情報の運用など医療情報は患者個人の所有物から離れ、情報の価値を発揮しはじめた。
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 1月13日に開かれたDPC評価分科会(西岡清分科会長・横浜市立みなと赤十字病院名誉院長)において、DPC病院に課せられている調整係数は12年度診療報酬改定で廃止し、新たに基礎係数を設け、DPC制度への参加のインセンティブである機能評価係数は今年度の診療報酬で新設した機能評価係数Ⅱに引き継ぐとする見直し案を了承した。
 DPC制度は医療の標準化が進み、高度で質の高い医療を提供することを目的として、03年度特定機能病院の急性期入院医療について包括評価を実施することから始まった。病院毎に前年度の収入を担保するため、医療機関毎に調整係数を設定し、DPC制度の円滑導入がはかられた。

機能評価係数の落着
 その後、06年度診療報酬改定時には、調整係数は維持することとしたが、係数の引き下げが行われた。10年度には機能評価係数Ⅱが導入され、12年度には調整係数の廃止と機能評価係数の見直しが予定されている。見直し後の(新)機能評価係数Ⅰは、医療機関の人員配置や医療機関全体の機能、医療機関単位での構造的因子を係数として評価している。
 出来高評価で入院患者に対して算定される加算、診療録管理体制加算・医療安全対策加算などが評価対象として設定されている。
 調整係数は、平均在院日数等のバラツキといった特定機能病院の診療内容の実態を踏まえて、制度導入時の激変緩和のための措置として医療機関ごとの包括評価の補正のため前年度の診療報酬実績を補正する係数として導入された。
 機能評価係数Ⅱは10年度診療報酬改定時に設けられた係数で、重症患者への対応、高度医療の提供などが含まれる調整係数を細分化し、急性期入院医療の評価、医療全体の質の向上、社会的に求められている機能・役割の重視を機能評価係数Ⅱの項目として提示した。
 診療データの提出指数、平均在院日数の相対値を評価した効率性指数、診療の複雑さを相対化した指数など6項目にわたる。

暗闇の基礎係数
 13日の同分科会では、調整係数に変わる基礎係数は内容が明かされないままだった。事務局が明かしたのは、「特定機能病院群」といった医療機能に着目した係数であるようだ。6月30日の同分科会資料では、高度・先進医療、総合医療、重症者診療、4疾病、5事業などに特化した病院群が示されていた。調整係数に変わる基礎係数は病院を機能別に分類するものだとの意見が強い。
 DPC制度は98年から04年まで国立病院などでモデル事業が実施された。その結果、同じ疾患でも入院期間にバラツキが大きく、1入院あたりの包括評価制度と比較して1日あたりの包括評価制度のほうが、在院日数がばらついていても包括範囲点数と実際に治療に係った点数との差が小さく、1日単価を下げるインセンティブが働くとの根拠を得たとある。

1日当たり包括評価に限定
 厚労省事務局によれば、DPC制度はDPC/PDPSの名称に変更する。現行のDPC制度では算定に最適点があり、一定日数以上入院しないと採算が合わないとの理由で、在院日数が長期化するのではないかとの意見からDRG/PPSに移行すべきではないかと議論が行われてきた。
 DRG/PPSを導入した場合、米国と異なる皆保険である医療保険制度を持つ我が国では問題ではないかと同分科会で指摘された。
 11月24日のDPC評価分科会で、松田晋哉委員(産業医科大学教授)は、入院期間Ⅰ、入院期間Ⅱといった入院期間の長さによって報酬を逓減する制度があるがゆえに1件当たり包括、あるいは療養病床のように1日当たり包括評価ができる点を評価した。
 仮に、1件あたり包括評価では在院日数の長期化につながるリスクを負うことになり、DPC病院の平均在院日数は減少している事実が確認されたなどから、DPCはDPC/PDPSの名称に変更することになったもの。
 ブラックボックスとなった基礎係数は病院群で分けて共通の係数にするか、個別医療機関で基礎係数を設定するかの検討は今後の議論に任された格好だ。
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松戸市立病院改築計画
 松戸市は市立病院(613床)の移転計画を進めていたが、'10年6月13日の市長選挙の結果を受けて、本郷谷新市長のマニフェストに従い、同年10月から現地建て替え案について検討、3月には市としての方針を決める予定だ。松戸市立病院は1号館が1967年建設で、築後43年を経過し、2号館から4号館は80年代に完成し、築後20年から30年経っている。1号館は経年劣化も激しく、建て替え要望が市民・患者から上がっていた。改築計画は川井敏久前市長(4期16年)時代に計画され、市は武蔵野線東松戸駅近くの土地を購入する予算案を議会に提出し、移転新築計画を全面に打ち出した。これに対抗した本郷谷新市長は現地建て替え計画で真っ向から勝負をかけ市長選を戦った。結果は現地建て替え計画をマニフェストに掲げた新市長が勝利を飾った。
 昨年10月に設けられた病院建替え計画検討委員会は委員長に山浦晶氏(千葉県立保健医療大学学長)を据え、副委員長には伊関友伸氏(城西大学経営学部准教授)ほか、千葉県医療整備課長、松戸市立病院から3名が委員に就任した。現地建替えを軸に選定した委託業者からは、A案、B案、C案が提出された。建替え計画には、既存の病院運営、医療・看護への影響を最小限とすること、工事資材の搬入ルートと病院動線が交錯しないことなどが前提となる。

現地建替えの主張も...。
 3案を比較するとB案は現敷地の医師用住宅や駐車場を病院の施設とし、結果的に長い廊下を必要とするなど動線を使う患者の負担が大きくなっている。完成後は540床でA案に比べると20床は増床しているが、C案の610床には及ばない。C案でも医師用住宅や駐車場を建物とするため、新たな駐車場確保、車での通院に対応した大規模駐車場が不可欠となってくる。コストはB案を基準にA案が1割減、C案が1割増となる予定だ。C案は新築移転計画の完成後病床数とも一致し、新しい市立病院は600床以上必要としている松戸医師会の主張と合致する。このためか、C案を軸に計画検討委員会での議論が進んでいる印象が強い。

県内で千葉大病院に匹敵する
 松戸市立病院は千葉県にあって救命救急センター、地域がん連携拠点病院、小児医療連携拠点病院の指定を受け、県内では千葉大学医学部付属病院と旭中央病院の合計3か所のみである。野田市、柏市流山市、鎌ヶ谷市などが含まれる東葛飾北部医療圏にあって、唯一の救命救急センターとなっている。同じ松戸市内の医療機関である新東京病院、千葉西病院の2次救急医療機関から年間100件を超える重症患者も受けている。医療経営の視点から、現地建替え後の病床数は急性期医療の点からは450床、小児周産期医療センターの点から150床は必要と、松戸市医師会は一貫して主張を崩していない。病院経営的には550床が損益分岐点と黒字化を前提にすべきと迫る。
 同医師会は新築移転を支持し、現地建替えを実施する場合は、市立病院が6年にわたって450床に減床し、病院機能の縮小するため、反対する。松戸市では病院事業について、経営改革評価委員会を設け、経営改革に取り組んでいる。市立病院の09年度病院事業会計決算では、収入138億5千730万円、支出は138億755万円で収支差は約4千万円だった。ただし、収支差の補填分6億円の繰り入れがあるため、収支は5億5千24万円の赤字であった。08年度は収入137億268万円で、支出は138億7千188万円、約1億7千万円の赤字で、補填分を加味すると赤字は6億6千万円になる。こうした現状に経営改革評価委員会は経営改善に乗り出し、委員に正木義博氏(済生会横浜東部病院)を招聘し、窮状回復を求めた。昨年6月の委員会では、市立病院で未取得のDPCや地域医療支援病院を取得することで年間5億から10億円が改善できると、今にも収支改善したかのような雰囲気が伝わった。

市民感情は如何に?
 一方、昨年の12月に行われた病院建替え計画に対する市民からのヒアリングでは、現地建替え案を支持するものは少数で、移転新築案を支持するものが多数を占めた。移転新築が250億円で現地建替え計画は159億円としている市の試算を疑問視する意見、市立病院医師によれば、現地建て替え案では限られたスペースに無理矢理詰め込んで病院機能を考慮していないとの意見、工事中の6年間、工事用車両と通院車両が交錯する点に不安との意見、また、市立病院の看護職員は、医療水準の低下を免れないとして、現地建替え案を受け入れがたいとして、看護職員が離れていくことも示唆した。
 市立病院小児科医師からは小児救急医療センターを担う点から、新しい病院には小児のICU、PICUを新設を希望するが、現地建替え案では不可能と反対の意見が述べられた。市立病院の医師に対するアンケートによると、現地建替え案に反対するものが7割、賛成は2人、3割は保留と新築移転派が圧倒的であることが分かる。市長マニフェストと病院医師の意見が食い違いを見せている。1月18日には病院建替計画検討委員会が開催予定だが、3月は結論を導くとの予定から、市長の判断が迫られるのは必至の情勢だ。
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11年度厚労省予算
 年末に政府案が閣議決定した11年度予算案では、「元気な日本復活特別枠」として見込んでいた地域医療確保対策は大幅減額し、特別枠として「地域医療確保推進事業」19億円が計上された。特別枠の内容は、「地域医療支援センター」の整備5・5億円、医師不足地域における臨床研修10億円、チーム医療の総合的な推進3・6億円が盛り込まれた。「地域医療支援センター」は、地域医療に従事する医師のキャリア形成の支援と一体的に医師不足病院への医師の配置を行う「地域医療支援センター」の運営に財政支援を行うとされている。11年度は先行的に偏在する地域、へき地、無医地区の多い15都道府県で実施予定とされる。
 「地域医療支援センター」目的は、医師の地域偏在解消に取り組み医療格差のない仕組みを目指すことである。若手の医師を地域医療支援センターを設置する地域の中核病院にプールし、キャリア形成を支援し地域の医療機関へ医師を配置する。この体制構築によって医師確保対策をしようとするもの。プールされた若手医師は地域医療機関と県内の中核病院を循環する。最新の医療技術研修や地域医療体験事業への参加によりキャリア形成する。同センターの役割は、受け入れる医療機関と若手医師とのマッチング機能を果たす。

地域医療対策協議会との役割分担
 医師派遣機能は従来、都道府県に置かれた地域医療対策協議会が行っているが、協議会と地域医療支援センターとの違いをどう整理するのかと、11月11日開催の社会保障審議会医療部会(部会長=齋藤英彦・名古屋セントラル病院長)で小島茂委員(連合総合政策局長)が事務局に問いただした。事務局側は同センターと協議会の違いについて、専門スタッフの設置と県立病院や大学病院など地域の中核的病院に設置すると説明、地域の実情に応じてセンターと協議会が補完的に取り組む説明を繰り返した。
 相澤委員(日本病院会副会長)は「今現在の困った状況を改善するためか、それとも長期的ビジョンに基づいたものか」と質問したのに対し、大谷泰夫医政局長は「短期的にも長期的にも考えている」とする一方、専門部隊を置いて県と県との情報交換できるようになるとよい」と強調した。
 医師確保対策については医療機関の機能分化によって必要医師数が算出されるのではないかという論点が示されたのは12月2日の同審議会医療部会で、横倉義武委員(日本医師会副会長)の発言。40対1の医師配置基準が設定されているのは病院の外来だけとして、40人の根拠が不明とする意見書を提出した。これに対し、高智英太郎委員(健保連理事)は、都道府県の行う立ち入り検査によると、標準人員を確保していない医療機関があることから、40対1について、「医療安全確保の観点から、撤廃は時期尚早」と慎重な対応を要望した。
 人員配置に関連して、相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は一般病床の中にも様々な病床が一緒になっているとして、整合性がとれない面を強調した。一般病床には回復期リハ、亜急性期、障害者施設、特殊疾患病棟、緩和ケア病棟など病態に応じた病床が含まれ、人員配置基準、設備基準も異なっている。これらの病床の基準の整合性を取る作業は検討課題である。さらに、医療法による区分と診療報酬上の区分は必ずしも整合性がとれていない点も課題の一つとしてあげられた。

一般病床の人員配置もさまざま
 10年6月に行った必要医師数の調査によれば、全国の病院及び分娩取扱い診療所1万262施設が対象となった。現在従事している医師数16万7063人に対して、求人医師数は1万8288人で、求人していないが必要とされる医師数は2万4033人となっている。最も求人倍率が高い県は島根県の1・24倍、次いで岩手県の1・23倍だった。また、必要医師数が最も高いのは岩手県の1・40倍、次いで青森県の1・32倍だった。求人の倍率が高い科目は求人医師数でリハビリ科の1・23倍、救急科の1・21倍であった。
 厚労省の資料によれば医師不足の背景に4点あげている。大学医学部の医師派遣機能の低下、病院勤務医の過重労働、女性医師の増加、医療にかかる紛争の増加に対する懸念だ。
 守らなければならないのは患者の命だ。患者の命を守るために医師が必要とされ、医師のよりどころとして医療機関が整備されている。医療技術が進歩し、医療関係訴訟の件数も増加している(平成8年575件→平成20年877件)。潜在的女性医師の活用、病院勤務医の加重勤務の軽減緩和策など政策は揃ってきた。
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 病床区分の病院の機能に応じた診療報酬の分類では療養病床と一般病床というくくりで、その他病床が一緒になっている。医療法では、一般病床の医師の人員配置基準が、外来は40対1、入院は16対1とひとつの基準になっている。12月2日の社会保障審議会医療部会(部会長=齋藤英彦・名古屋セントラル病院長)では、この部分にメスを入れるべきとして、相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は一般病床の中に亜急性期、回復期、特殊疾患など様々な病床があるのに、全部を一緒にして平均在院日数を比較すること自体が問題だと訴えた。
 医療提供体制の見直しに大きな影を落としているのが、今年の6月に政府が閣議決定した「新成長戦略」では、高い成長と雇用創出が見込める医療・介護・健康関連産業を「日本の成長牽引産業」として明確に位置付いた。一方法として「メディカル・ツーリズム」が登場した。さらに「地域主権戦略大綱」だが、大綱では国が定めている基準は地方自治体の条例に委任すると6月22日の閣議で決定し、来年通常国会で関連法案が提出の見込みだ。
 具体的には病院・診療所の人員配置基準、施設基準について省令通りに条例化し、基準病床数関係では病院の病床数算定に当たっての補正の基準などを条例に委任するというもの。この大綱に加えて、条例制定にあたって、国の基準の類型を定めることとしているため、基準病床数自体をいかに見直すかが検討課題となった。同部会で西澤寛俊(全日本病院協会会長)は基準病床数をどう定めるかについて当局に強く迫った。

二次医療圏も検討 
 病床区分や基準病床数など医療機能分化の現状を見直す視点を検討する医療部会は来年には医療提供体制のグランドデザインを成案とする予定だ。主な骨格は、急性期から療養、介護といった医療連携をもとに、病院、診療所、薬局などが患者のニーズに合わせて果たせる役割の検討、一般病床、療養病床の病床区分、介護保険の施設・在宅サービスを含めたの機能分化の視点、さらに、特定機能病院、地域医療支援病院の役割の検討することになりそうだ。
 同医療部会では、一般病床の内容が様ざまであると議論されたが、少ない医師人材を医療機能に合わせてメリハリを付けて配置する事になれば医師不足が解消されるという議論の方向性が見えた。また、医療圏については、一次医療圏は市町村、三次医療圏は都道府県と管理主体となる地方自治体が明確になっているが、二次医療圏は複数の自治体にまたがるために予算や医療機能などの調整が複雑になってしまう。結果として二次医療圏の医師需給のアンバランスが生じているのが実態だ。

「ヘルスケア・ボード」
 最近の医療経営ガバナンスの研究では、「ヘルスケア・ボード(仮称)」が提案されている(「まちなか集積医療」総合研究開発機構 2010.03)。先進諸国の医療を紹介する松山幸弘氏(キャノングローバル戦略研究所主席研究員)は、急性期ケア、予防、リハビリ、介護、在宅などの地域のケアを提供する医療事業体が縦に統合(垂直統合)した組織が、統合ネットワークを形成するが、小峰孝夫氏(日本経済研究センター研究顧問)が提唱する「ボード」は緩やかな経営統合しない事業体が目指すところである。
 さらに、医師確保において「ボード」のもとで医師の一元的マネジメントにより補充や配置換えが可能な環境が形成され、医師人材がプールされる。
 診療に関しては医療の標準化が図られ、クリティカルパスの導入も行われる。もちろん医局や病院同士での異なる診療内容や看護の方法についても統一化される。こうして、各医療機関が連携し、同一のマネジメント機関のもとで運営が行われる。
 「まちなか集積医療」では、商店街がシャッターが閉まったまま町並みが空洞化した状態が地方都市に多く散見されるが、こうした地方都市の中心街に医療資源を投入することで必然的に人が集められるというもの。商店街の空洞化現象は首都圏でも見られるが、小峰孝夫氏によると人が集められる力が低下したため、商業施設の隆盛を回復することは困難として、空洞化した商店街に医療施設をまちづくりの一環として整備するというもの。すでに東北4県では医療施設、介護施設が誘致されているという。地域医療再生交付金、次年度予算要求の地域医療支援センターとのからみが注目される。

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