医療制度カテゴリーの最新情報

 
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 7月25日、厚生労働省で医療と介護が相互に連携し、質の高い医療提供体制と地域包括ケアシステムを構築し、健康で安らかな地域社会を形成することを目的とした医療介護総合確保促進法が先の国会で成立したことを受けて「医療介護総合促進会議」が開かれた。厚生労働省は今後2回の会議を経て総合確保方針を9月にも告示する。
 促進法では健康で安らかな地域社会の形成に向けて医療介護総合確保方針を策定し、基金の使い道、配分の検証を行う。基金は消費税増税分を財源として活用した基金をつくり、件の計画に基づき事業を実施する。医療は平成26年度から、介護は平成27年度から実施する。
 平成26年度の実施については回復期病床への転換など、必要なものを優先し、平成27年度から地域医療構想の策定後に拡充が検討される。対象事業となるのは、①病床の機能分化のために必要とされる医療機関の施設・設備整備事業、②在宅医療・介護サービスの充実のために必要な歯科、薬局を含む在宅医療の推進、介護サービスの施設・設備整備事業、③医療従事者、介護従事者の確保と勤務環境改善のための事業の3項目。
 基金事業に対し委員からは、「医療と介護のバランス」、「官民公平に」と今村聡委員(日本医師会副会長)が見解を示したほか、白川修二委員(健保連副会長)は「介護施設が充実していないために医療にしわ寄せが来ている。基金は介護に着目して施設整備を目指してほしい」としたほか、人材確保に努めるべきと使途に対する要望、診療報酬制度と補完関係にあるものとして認識する必要があるとの声もあがった。
 介護保険施設の充実を図るために民間事業者の参入を位置づけた。特定民間施設の定義としてはアスレチックジムとリハビリテーションを組み合わせた機能訓練施設、認知症対応型デーサービス、認知症対応型グループホーム、有料老人ホームなどを総合的に提供するもの。
 特定民間施設の整備事業は全額基金が負担する仕組みではなく、自己負担を伴うため、地域住民に必要な施設整備を図ろうとする際に、事業者参入の歯止めになるのではと今村委員は特定民間施設整備事業の見直しを求めた。

計画に不可欠のアウトカムの評価項目は?
 総合確保方針に盛り込む事項は、急性期、回復期、慢性期など機能分化した病床と在宅医療・介護までの一連のサービス提供体制の整備に関わる視点、都道府県計画、市町村計画の策定・整合性の確保についての基本的な事項、基金に関することである。
 方針策定にあたって、医療計画は都道府県、介護保険事業計画は市町村が所管することとなっているため、この点に議論が集中した。大西秀人委員(高松市長)は「介護保険事業計画の調整を都道府県は創意工夫を尊重する形で」と要望した。事務局側の渡辺課長(新設ポスト=保険局医療介護連携政策課)は「病院機能の分化の先に介護、地域包括ケアの先には医療がある。医療と介護はたすきがけと考えるのが順当だ。計画レベル、行政レベルでもクロスする。」として現状認識に立った総合確保方針についての審議を求めた。
 総合確保方針に設定される医療介護総合確保区域について、相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は「医療と介護の計画がずれている」との認識を示し、サービスの量、質、人材データを集めて分析し、適切な構想地域の設定してほしいと求めた。
 総合確保方針のもとで策定される計画は現在5年とされている医療計画を見直し、平成30年度以降、介護と揃うように6年とし、中間年(3年)で必要な見直しを行う。
 医療計画には在宅医療の目標等をしるされ、市町村の介護保険事業計画にしるされた在宅医療・介護の連携の推進に係る目標を達成できるよう、医療計画・地域医療構想においても、在宅医療の必要量の推計や、目標達成のための施策等の推進体制についてしるしてある。
 計画自体の効果検証を指摘した白川委員は「医療計画では5年経過後の変化のアウトカムの視点が抜けていたとして「中間年3年後の見直しにははっきりした評価項目を示して確実に把握できるように」と要望した。
 会議は9月に総合確保方針を決定し、医療計画と介護保険事業計画が同時にスタートする平成30年度に向けて各計画の検討を行う。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 

 
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 政府が今月中旬にも打ち出す今年度の基本方針に非営利型ホールディングカンパニーの設立を盛り込むことが確実な様相を呈してきた。
 厚労省の「医療法人の事業展開等に関する検討会」(座長=田中滋・慶応大学名誉教授)は4月2日の検討会で、非営利型ホールディングカンパニー型法人制度について、年内に結論を出し、来年度以降に政省令の改正を行うことを明らかにした。法律上は医療法人について法人間の合併や権利移転の制度見直しを進めることが決められた。本年1月にまとめた産業競争力会議の検討方針では、グループ全体での資金調達,資金の効率的活用、当該グループとの緊密な連携を可能にするため、医療法人の規制緩和の検討も併せて行うものとしている。社会保障制度改革国民会議では制度見直しの手法として非営利型ホールディングカンパニー型法人制度を強く押し出している。
 米国のヘルスケア市場では約7割がこうしたホールディングカンパニーが占めている。メイヨークリニック、ハーバード大学と組んでいるマサチューセッツ総合病院が形成するパートナーズ、コーネル大学とコロンビア大学の合弁医療事業体などが著名で、日本では長野厚生連、聖隷福祉事業団などがそれに当る。
 非営利型ホールディングカンパニー型法人制度が目指すのは、病床機能の分化、医療・介護などを連携し、地域にいる患者が必要とするサービスを切れ目なく提供できる医療法人や社会福祉法人を親法人でホールディングするような医療・介護システムが出来上がることにある。そのため、複数の医療法人や社会福祉法人を束ねて一体的に経営することを法制上可能とする法人制度を創設する。
 非営利型ホールディングカンパニー型法人はそこに参加する医療法人や社会福祉法人が共通した社会貢献に対する「理念を共有」し、非営利型ホールディングカンパニーが傘下の医療法人、社会福祉法人等をまとめるガバナンス力を発揮するよう「意思決定を共有」する。こうした理念実現を、ヒト・モノ・カネの有効活用、資金の融通できるよう「ヒト・モノ・カネの有効活用」を行う。
 4月の検討会では、税制上の違和感(社会福祉法人は非課税)、会計処理の透明化の徹底(医薬品の共同購入、シーツのクリーニングなどを一括で行うMS法人を非営利型ホールディングカンパニーが出資することで会計処理をを透明化する)、人事交流の難しさ(給与体系の違いが人材活用・交流に壁)などが質疑のテーマにされた。


大規模化は弱肉強食になるか?
 非営利型ホールディングカンパニー型法人制度が大規模化を図って経営効率化を進めるには相当の時間を要するとした上で、新法人の医療資源の適正な配置・効率的な活用を考慮すると強い法人が弱い法人を買い、強い法人が新しいものを作ることになり、非営利型ホールディングカンパニー型法人に金融機関がバックに入ってきたときに法人の非営利性あるいは公益性どう担保するのかと松原由美委員(明治安田生活福祉研究所)は懸念を示した。
 MS法人と医療法人との関係の透明化については、先に大規模法人の傘下法人に不適切な会計があったとして、司直の手に渡ったが、非営利型ホールディングカンパニー型法人制度を創設する際にも透明性の確保がうたわれることとなった。
 医療法人とMS法人との取引について妥当な価格を超えた取引が行われた場合は、医療法上は剰余金の配当の禁止に当るとして指導監督の対象とされている。ただしチェックが甘い部分もあって、見逃されてきた。これに規制をかけて監視しようというもの。
 検討会では透明性の確保やガバナンスの強化についての検討を深めるとしていたが、政府の姿勢が先を急いだ形になった。 (バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html
 

 
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 5月14日、衆院厚生労働委員会で審議中の「医療・介護総合確保推進法案」は与党の強行採決で可決。15日の本会議でも与党の賛成多数で可決、参院へ送られた。
 田村厚労大臣は16日の記者会見で、要支援に対するサービスが地域支援事業に移行する場面では地域にバラツキが出ないよう努力し、地域においては独自のサービス創出の工夫をお願いし、事例についての情報発信もしたいと答えた。
 法案は医療と介護の両制度にまたがる新たな財政支援制度として都道府県に基金を作り、医療提供体制の改革、地域包括ケアシステムの構築、費用負担の公平化などの介護保険制度改革を目指すもの。
 基金の制度では、厚労省が医療・介護制度改革を進めるための総合確保方針を定め、それをもとに都道府県が医療・介護提供体制の整備計画を策定する。
 医療提供体制改革では病床の医療機能を都道府県知事に報告、地域医療構想(ビジョン)を策定し、ビジョン実現に向けた協議会の設置など都道府県の役割を強化する。
 介護提供体制では、地域支援事業に予防給付(訪問介護と通所介護)を移行し、在宅医療・介護連携に加え、特養の入所者を中・重度者に限定し、低所得者の保険料の軽減、高額所得者の自己負担を2割に引上げ、「補足給付」の要件に資産などを追加し、負担の公平化、効率化を目指す。
 介護人材確保に関しては介護福祉士の資格取得方法の見直しの施行時期を一年延期し平成28年度とする。
 看護師の機能・役割を拡大するものとして、診療の補助のうち特定行為を明確化し、手順書により行う看護師の研修制度を新設する。
 医療事故に関して、医療事故にかかる調査の仕組みを位置づける。
 医療法人社団と医療法人財団の合併、持分なし医療法人への移行促進策を措置する。

法人移行にみなし譲渡課税の壁
 医療法人改革については昨年11月から「医療法人の事業展開等に関する検討会」(座長=田中滋・慶応大学名誉教授)で検討・審議が進んでいる。
 医療法人改革は医療経営における非営利性、公益性の観点から検討し、平成18年の医療法改正が行われた。解散時の残余財産の帰属先の制限、医療法人の非営利性の徹底、医療計画に位置づけられたへき地医療、小児救急医療を担う医療法人の類型として社会医療法人制度が創設された。
 今回の検討会では、医療の国際展開、医療機関等による健康増進、予防、生活支援の推進等についてまとめる。次の課題として医療法人等の連携推進のための合併、権利の移転、医療法人のあるべき姿について検討する。
 11月6日の検討会では、法人移行について税法上との絡みが明らかになった。平成18年医療法改正で、医療法人の持分のない方向への誘導が決まり、剰余金を振り替えて基金拠出型の持分のない法人に移行しようとしたところ、相続税法が適用され「みなし譲渡課税」があると分かった。平成18年にできた法人移行のスキームは使われなかった。
 「財務当局との詰めがキチンとついていなかった。」と漏らしたのは山崎學委員(日本精神科病院協会会長)。事務局は持分なし医療法人へ移行の際の税制について、持分を有する者が全員放棄した場合、医療法人だけの特別ルールの適用が難しいとされているため、納税猶予をするなどの税制の特例措置ができないか。財務当局と調整中であることを明らかにした。
 加えて、社会医療法人が取り消されることになった場合、認定前まで遡って一般法人課税をするルールがある。こちらも非課税の公益法人の一般的ルールということで社会医療法人に新規ルールを適用はできないことになっている。
 医療・介護総合確保推進法案の目指す医療法人の合併、持分なし医療法人への移行に税法上の壁が立ちすくむ。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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 2月18日、内閣府で開かれた規制改革会議の健康・医療分野のワーキンググループは医療機関の改革に関し、企業の経営に携わる者が医療法人の理事長に就任する件を認可制から届出制にすべきとの意見をまとめた。年度の半ばにまとめる規制改革の内容に盛り込まれる。
 このほか意見書案では、医療機関のガバナンス及び業務に関する論点案とし、①医療法人の経営の透明性の低さ、経営の私物化等でコンプライアンス低下が見受けられることから医療法人経営の透明性・適正化を高めるべきではないか。②地域医療のニーズに対応し、効率的な医療資源を活用する地域における医療機関のネットワーク化が必要ではないか。③医療法人の収益源を多様化し、医療法人の業務範囲の自由度を高めるべき。等の意見を盛り込んだ。
 医師以外の者が医療法人の理事に就任する件は、昭和61年医療法改正で理事就任が認められたものだが、医師でない企業の経営者の医療法人理事長へ就任する件は、厚労省通知により認可制が求められてきた。一連の改正は1980年のF産婦人科事件の後、医師でない企業経営者が専門家として参画することで、事件の防止策になるとの理解が進んだことが契機。
 1月9日の同ワーキンググループ会合では、医師でない企業経営者の理事長就任に関して、松山幸弘専門委員(キャノングローバル戦略研究所研究主幹)は「現実のニーズがどこまであるか」を検討すべきと投げかけた。法人の理事長就任についての通知は「適正かつ安定的な法人運営を損なうおそれ」があるのか無いのか見極めた上で判断すべきとしている。規制改革会議の意見案に厚労省が拘るのは許可制から届出制にし、要件を狭めないするという点だ。これまでの規制改革会議の動向からして、意見案の方向性は答申に盛り込まれる可能性が強い。
 医療法人経営の透明化・適正化に関しては、一定の事業規模以上の医療機関の場合、外部からの監査が必要ではないかとの議論に対し、厚労省は検討を進めると述べた。医療法人が他府県にまたがる場合は広域の医療法人であり、会計監査が必要との意見も多く。意見書案では一定規模以上の医療法人の外部監査の義務付けをあげている。さらにメディカルサービス(MS)法人と医療法人の関係の明確化も検討すべきとしている。
 地域の医療機関のネットワークが進まないのは、患者の取り合いに繋がるという理由が強く、ネットワークが進んでいる地域は中山間地域といった地域的事情、医療資源の乏しいなど、特殊な事情があるとされている。地域包括ケアシステムの構築の観点から、地域の医療機関の経営統合、社会福祉法人を含めたネットワーク、地域包括ケアシステムへ発展する方向性が見えている。
編集部=注
規制改革会議=内閣総理大臣の諮問機関。経済社会の構造改革を進める上で、必要な規制のあり方の改革について審議する会議。13年1月第2次安倍内閣により復活した。直近では混合診療の拡大、一般医薬品のインターネット販売規制の緩和などの意見がまとめられた。
医療法人=病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所または介護老人保健施設を開設しようとする法人のこと。医療法上、「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」とあり、その非営利性が強く求められている。医療法人は必ず、社団か財団となるが、一定の要件を満たす場合、特定医療法人や特別医療法人になることができた。平成16年には、非営利性の徹底を図るために、出資額限度法人が設けられた。第5次医療法改正により、特定医療法人と特別医療法人は「社会医療法人」へ、社団医療法人は、出資額限度法人へと移行を進めている。(医療・介護・福祉コンパクト用語集改定第3版より)。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 

 
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 自治体病院、公的病院を支援する目的で改正された市町村・都道府県特別交付税制度は制度改正から5年経った今も思ったように利用が進んでいません。
 日頃から公的病院の特別交付税制度による支援策の周知と普及に全国各地でセミナーを開催し、地域医療に触れている東日本税理士法人山本純平氏に制度のあらましをご寄稿いただきました。氏は公認会計士資格を持ちながら、東日本税理士法人、長隆代表のもとで、地域医療、公的病院の支援対策を広めています。総務省の官僚、自治体担当者、病院関係者、時には国会議員と頭を寄せ合い、難問に立ち向かっています。

公的病院等への特別交付税制度による支援
東日本税理士法人
公認会計士協会準会員  山本 純平
 今まで自治体開設の病院・診療所のみ措置されてきた総務省の地方交付税の一つである特別交付税制度が改正され、平成20年12月からは公的病院も助成対象に、さらに平成24年12月の改正で、今までネックであった自治体のお金の先出しがなくなり助成がしやすくなりました。これにより、公的病院等であれば医療機能に応じ、1医療機関あたり数千万円~数億円の助成を毎年受けることが可能となりました。しかし、制度創設から5年が経過した現在、全国で当該制度の活用がほとんど進んでいません。理由は地方自治体の担当者が制度を十分理解していないどころか、制度の存在すら知らないからです。
 そこで、当該制度を活用しようと病院からアプローチしたとしても、自治体担当者に軽くあしらわれ、ほとんどが門税払いされてしまうのが現実のようです。重要なのは病院側が当該制度、すなわち地方交付税制度、特別交付税制度、一般財源と特定財源の違いなどを十分理解して交渉に臨むことである。平成25年度実績でようやく85億円まで活用実績が増えてきましたが、自治体病院には毎年8000億円も税金投入がされており、イコールフッティングまでは程遠いのが現状です。
編集部=注
(*1) 特別交付税制度の改正=公的病院の支援のため、平成24年12月に特別交付税制度の改正があった。
(*2) 自治体のお金の先出し=平成24年度の改正まで、自治体による公的病院の支援は前年度中に助成した、いわゆる先出しの助成金について国からの特別交付税が交付されるる仕組みであった。これを当年度に助成あるいは助成見込の額に対しての交付に改めた。

公的病院改革
 7割は赤字を抱えているといわれていた(=平成19年当時。平成24年度は経常収支比率で黒字病院50.4%、赤字病院49.6%)公立病院の改革は、総務省が平成19年12月に発出した「公立病院改革ガイドライン」に始まる。ガイドラインでは、経営の効率化、再編・ネッッとワーク化、経営形態の見直しの3つの視点に立って、平成21年からの5年間で改革に取り組むよう要請した。
 財政措置は平成20年度から特別交付税で対応し、その後の改正を経て平成24年12月改正で特別交付税の算定方法を見直し自治体が当年度中に助成(助成の見込を含む)した額を交付する仕組みとなった。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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 医師確保対策を法律に位置づけ、医師確保の権限を都道府県知事に付与する件を厚生労働省が提案し、10月4日、都内で開かれた医療部会でおおむね了承された。委員からは医師偏在の実態調査、地域での医療の必要度調査が先決と実態把握を求める意見が続いた。
 医師確保対策は、2007年第5次医療法改正で、へき地などの特定地域、小児科、産科などの特定の診療科で医師が不足し、医師を確保を強化するため、都道府県に「地域医療対策協議会」を制度化した。都道府県では地域医療対策協議会で、特定機能病院、地域医療支援病院、公的医療機関、大学その他の医師養成機関に協力を求め、医療従事者の確保策を行って来た。
 11年度からは、地域医療支援センター事業として、医師不足病院への派遣、あっせんを行うシステムを構築するための補助事業を実施した。医師の派遣、あっせんのほか、医師の地域偏在の解消への取り組み、地域医療に取り組む医師のキャリア形成支援を行っている。11年度以降、30都道府県で合計1069名の医師派遣の実績を上げている。
 厚労省の提案によると、補助事業として実施している地域医療支援センターの機能を医療法に位置付け、病院や大学、公益法人へ委託する。都道府県知事は医師不足病院への医師派遣を行うことを医療法上に明記し、医師確保対策への協力義務、または協力の努力義務規程の範囲を拡げるなどだ。
 日本医師会は「大学臨床研修センター(仮称)」、「都道府県医師研修機構(仮称)」、「全国医師研修機構連絡協議会」を提案した。各医師養成大学に「大学臨床研修センター(仮称)」を設け、研修先の相談調整機能を持たせ、「都道府県医師研修機構(仮称)」が研修希望者数と臨床研修医の調整を図る。「全国医師研修機構連絡協議会」は「都道府県医師研修機構(仮称)」全国レベルでの調整を行う組織という。

ナースセンターとハローワークの就業実績に5倍の差
 医師派遣は民間医療機関には恩恵がないとも言われ、地域偏在の実態を把握する方が重要、地域医療の実態把握が先決との意見も聞かれる。医療部会では、公務員の兼業規程に関し、「兼業規程を廃止し、(民間病院への派遣が可能になれば)民間病院の医師の疲弊度は減る」(山崎學委員・社団法人日本精神科病院協会会長)との主張や「職員派遣の禁止の法律など検討が必要だと思う」(荒井正吾委員・全国知事会=奈良県知事)といった公務員規程に触れる意見もあった。
 地域医療支援センターを法律に位置づけるに当り、荒井委員は「医師のニーズと供給側のニーズのマッチングの統括が法改正の要点」とポイントを挙げ、中川俊男委員(日本医師会副会長)は「医師派遣の実態調査をすべき」、相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は「地域の医療必要度を把握すべき」、日野頌三委員(日本医療法人協会会長)は「地域偏在(の要点)は子どもを良い大学に入れたいという願望の現れだ。」とし、地域偏在の論点を明確にするよう要求した。
 看護職員確保対策については、新たな施策として、看護師免許保持者の届出制度、離職者の把握といった離職中の者を含めた看護師免許保持者の状況把握と、ナースセンターが看護師免許保持者の「つながり」を確保し、ライフサイクルを通じて適切なタイミングで復職研修等、必要な支援ニーズを踏まえた研修、情報提供、相談、職業紹介等の支援の仕組み、離職防止の徹底等の取り組み、復職支援の強化を実施。勤務環境の改善を通じた定着・離職防止対策を提案した。
 ナースセンターとハローワーク、年間就業実績の比較では、ナースセンター約1・2万人、ハローワーク約5・1万人でこの差は大きいとして検証するよう厚労省へ要請した。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html)        

 

 
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 6月20日都内で社会保障審議会医療部会(部会長=永井良三・自治医科大学学長)が開かれ、社会保障制度改革国民会議(会長=清家篤・慶應義塾塾長)が4月にまとめた「議論の整理」について審議した。地域医療ビジョンの策定については2018年度を15年度に前倒すことにし、医療機能の分化については、次期診療報酬改定において診療報酬報酬の特性を活かした機能分化のための取り組みと財源に消費税増税分を活用した基金を創設し、補助金的手法で誘導する方法の組み合わせを引き続き検討すると提案された。それを元に将来の必要量を設定する提案も了承した。
 国民会議がまとめた「議論の整理」では、医療提供体制のあり方については各都道府県が2次医療圏ごとに基準病床数を高度急性期・一般急性期・亜急性期の医療機能別に算定し、地域医療計画に盛り込む。
 医療計画の策定者である都道府県を国保の保険者とし、医療計画の策定者である都道府県に保険医療機関の指定・取消権限を与え、保険者機能を通して受益と負担の牽制を働かせることを期待している。
 同案の実行には医療法改正による地域医療計画の見直しが必要で法改正には、相応の時間が必要との観点から次期診療報酬の改定で機能分化の取り組みの実施及び、診療報酬による取り組み提案と同時に、消費税増税分を活用した基金の創設といった組み合わせを検討すべきとの提案が検討事項として残っている。
 都道府県を国保の保険者にする提案は医療保険部会で了承されたが、保険医療機関の指定・取消権限については医療機関の地域差や病床特性といった事情を無視することはできず医療保険部会の意見は二分された形だった。

医療機能はお墨付きではなく報告
 医療機能の分化について、医療部会の作業グループ「急性期医療に関する作業グループ(座長=田中滋・慶應義塾大学経営大学院教授)」が11年12月から12年6月まで8回に渡って審議経過が参考になる。
 作業グループは、急性期の定義をめぐって定義付けを急いだ節もあったが、地域、医療機関、病床によって各々異なる実態があるということから、最終的に各医療機関が都道府県に報告し、病院データが集まった段階で、急性期ならこんな形、亜急性期はこうといった医療機能が固まってくるということで収束した。
 当初厚労省案では、「法律で類型化できる仕組みを医療法上位置づける」と先に枠組みを決めてから病床を当てはめていく提案に対し、相澤孝夫構成員(日本病院会副会長)からは「求められる機能が分かる仕組みを医療機関が自立的に取り組んで機能分化」していく、緩やかな機能分化が図れる仕組みが提案された(12年5月31日)。
 国民会議の「議論の整理」では、都道府県は基準病床数を医療機能別に算定することとされている。算定に当たって、都道府県が各医療機関からの申請をどう受けるのか。「作業グループ」の議論では登録・認定制度が俎上に上がった。登録と認定について事務局の提案は医療機関からの登録申請を受けて、都道府県が認定する仕組みで、「一種のお墨付きを与える性格」のものと明確にした。委員は登録・認定制度に反発。これを受け事務局は「一定の事実関係を行政に登録し、事実関係を確認する」と内容が軟化した形にまとまった。また、機能の類型化についても具体的に急性期、回復期リハビリテーションなどの記載ではなく、弾力的な仕組みができるよう省令以下で記載するイメージも明かした(12年4月20日)。
 医療部会の提案は6月末に開かれる社会保障制度改革国民会議に回される。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html)  
 
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 11月29日、厚生労働省は社会保険病院など63病院を統括する「年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)」を改組して、14年4月に設立予定の新法人「地域医療機能推進機構」のあり方を議論する検討会を開いた。これまで2回の検討会で出された意見を論点整理する形で審議した。新法人の業績評価についての議論では業務運営の状況評価は厚生労働大臣が直接評価する点は了承され、運営する病院については院長や役員の意見を反映させる評価基準とし、年度の業務報告が上がる仕組みづくりの組み立てに焦点が定まった形だ。検討会は論点整理で出された意見をもとに年明けにとりまとめを行う予定。
 新しい機構が担う総合医の養成、地域医療、地域包括ケアの要となる人材の育成については、「健康づくり事業」にも配慮した役割を担わせてはどうかと冨永芳徳委員(公立甲賀病院長)が提案し、田中滋座長(慶応大学大学院教授)は「地域包括ケアに役立つドクター養成を応援するのはよい」と同じた。事務局は総合医の養成に加えて、地域包括ケアの推進を担う介護職をはじめとする職種の養成も新しい役割として必要との見解を示した。総合医養成と介護関連職種の養成および人材バンクなどの仕組みは今後の議論になりそうだ。
 尾身茂理事長(年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO))は、医療と介護の連携にはギャップがあることを示しつつ、地域医療と地域包括ケアの並列的捉え方が大事とし、「健康づくり事業」も役割に盛り込むことを示唆した。
 社会保険病院などには病床数が500床以上の病院機能も大学病院並みの病院から200床前後の病院まである中で、地域医療、地域包括ケアという役割をひとくくりに与えるのは厳しいというのが検討会での意見となった。人工関節の手術、救急医療、周産期、リハビリテーション等で特化した病院など、地域のニーズに合ったものを続け、機構全体としての使命を果たして行く必要がある。

交付金に代わりに補助制度を活用
 新機構の目標・評価のあり方は国が直接評価を行い、改善を促せる仕組みとしてはどうかとする厚労省案について、厚労大臣の直接評価を認め、基本方針については、国が示し、法人の自主性・自律性を尊重することが了承された。評価結果に基づく改善に従わない場合は命令を課すこととなった。
 「医療事業が著しく適正を欠く場合や不正行為・違法行為がある場合は厚労大臣が是正又は業務運営改善について命令する」。新法人の役員の職務について、「任務を怠ったことによる法人への損害は賠償責任を課す」とする事務局案に対し、冨永委員から「賠償責任が個人に及ぶのは行き過ぎ」との意見があり、小林麻理委員(早稲田大学政治経済学術院教授)は「任務を怠った」が漠然としているとの指摘があった。
 小林委員は「法人内部でコントロールを行い、不正があった場合は内部が責任を負うのが普通」と事務局案の変更を迫った。
 財政措置、利益処分の論点では、運営費交付金が国からは支給されないことから病院等の施設整備、医療機器の購入費用を確保し、効率的な病院経営を実施することが求められてくる。国立病院及び労災病院の新法人制度では民間医療機関に対する補助制度を可能な限り活用する予定としている。
 新法人では、総合医、地域包括ケアのあり方の研究委託事業などを受け入れ、総合医、その他の人材育成に関わる交付金なども積極的に取っていく方向性を示した。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
 
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 11月21日、特定の医行為を行う看護師の能力を認証することについて、チーム医療推進会議で論点が整理され審議が行われた。整理案では特定行為の位置付け、特定行為の実施、指定研修の修了後の登録について示された。医師又は歯科医師の包括的指示の下で看護師が行う医行為はA、B1、B2、Cと新たに分類案が示されている。特定行為については医師又は歯科医師の包括的指示の下で診療の補助を行うという大前提の下で、個別の行為については専門性、技術、患者の様態によって判断せざるを得ない実態がより明確になってきた。
 特定行為の位置付け、特定行為の実施について、日本医師会、在宅医療、日本看護協会のそれぞれの立場から意見が出されたが、相互に折り合わない意見交換が続いた。事務局は包括的指示から診療の補助までの流れを整理し、3段階に分かれる図を示した。図の一番上の部分では包括的指示が行われる場合の流れが示された。事務局によると、「一番上の図は包括的指示を受けて診療補助行為を行う看護師に研修を義務づけるという議論」とした上で、在宅医療の現場の状況から、これまで具体的指示を受けて診療の補助を行ってきたが、包括的指示でできるような議論ではないかと示唆した。
 太田秀樹委員(全国在宅医療支援診療所連絡会事務局長)が「在宅でもっと仕事できるようににしてほしい」と要望したのに対し、事務局は脱水についてとして、具体例を取り上げ説明を加えた。上の段では医師の包括的指示の下で看護師はプロトコールに基づいて脱水の改善を図るための行為を選択している。中段では、医師がその場にいない状況で看護師が脱水の状況を判断し、可能性を医師に報告、個別に指示を受け行為を実施する。「プロトコールに基づいて看護師の能力、患者の様態に応じて医師が判断する」と整理した。藤川謙二委員(日本医師会常任理事)は「それは医療事故を起こすのではないか。命の補償をしないのと同様」と反論した。

研修終了を公的資格に?
 特定行為の定義付け、包括的指示の範囲、具体的指示の範囲が明記されることについては患者の様態、看護師の専門性、技術によって出来る行為の範囲が決まってくるため、一様に決められない。推進会議の議論が前に進まない理由はここにある。患者、在宅の現場、医療機関によって対応は異なる。
 在宅の現場では、医師に確認して状況確認後の判断を伝えるが、状況確認すらプロトコールによることで解決しようという試案になっている。医師の確認をあおぐということが現場ではおろそかになっているのではないかという懸念さえ生まれてくる。在宅時の臨機応変にいかに対応するのか。グレーゾンが生まれるところである。片田範子委員(日本看護系大学協議会代表理事)が「医師への相談が前提です」と言い放ったのが印象に残る。
 研修修了後の登録については、藤川委員が「現場で教育すべき」、大久保清子委員(日本看護協会副会長)は「国の認定と登録証が不可欠」、藤本晴枝委員(NPO法人地域医療を育てる会理事長)は「現場の判断力のウエイトは高い。研修の修了後の登録は必要」と意見の相違が際立った。
 小川彰委員(全国医学部長病院長会議顧問)は「教育内容が議論されていない」として具体的な内容の提示を求めたのに対し、事務局は特定の範囲を決定させて「教育内容を決めることになる」と明かした。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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 11月6日、厚労省で看護師の行う医療行為の範囲を検討するワーキンググループ会議が開かれ3分類された医療行為の検討、具体的な指示、包括的な指示の医師の指示のあり方について議論を重ね、医療行為の分類案、医師の指示(包括的指示、具体的指示)のあり方についての議論は次回に引き継がれた。
 厚労省事務局の提出した考え方の整理案ではB行為(特定行為)「難易度は高いが、高度の専門的知識や技能が必要とされ、指定研修を受けた上で実施が求められる」と規定されている。この特定行為の考え方を巡って、神野正博委員(社会医療法人財団菫仙会理事長)は「今やっている仕事を取り上げないでほしい」と訴えた。今医療現場で行われている医療行為が、医療行為の分類案、指定研修という新しい仕組みが出来上がることで、できなくなるのは困るというのだ。
 先進的高度な医療を行っている医療機関では、研修・教育によって特定行為に分類される医療行為であっても、チーム医療で行われているのが現実。かといって、全ての医療機関で行えることにはならない。医療機関の医療機能、医師、看護師、コメディカル部門を総動員して作られたチームが特定の医療行為を請け負うための要件が必要なのである。この日、そうした議論が一進一退を繰り返した。
 在宅においてもカニューレの交換は行われている。医療行為の分類案から在宅でできるものを再整理しなければならないという議論に対して、前原正明委員(防衛医大外科学講座教授)は「今まで行われた在宅の行為をやり直すのではなく、特定行為の教育を受けた人ができる」との考えを示した。
 医療機関によっては指定研修を受けずに特定行為を行い、事故が起こった場合、「責任をどうするのか」と星北斗委員(財団法人星総合病院理事長)は問いかけた。「厚労省は看護師免許の裏書きしようということだから、責任を問われることがないような配慮が必要」と続けた。

塩加減と出来上がり
 医師の包括的指示について、イメージをわかせるため飛び出したのは、棚づくりと鍋料理、棚や鍋を作って出来上がるのは包括的指示で、個別の材料、塩加減などは指示しないというたとえ話。有賀徹座長(昭和大学医学部救急医学講座教授)は「看護師にやっているかどうかを聞くことから出発してはダメ」と断定。「医療行為の1つ1つについて判断するのではなく連続した医療行為」とした上で、包括的指示は医療行為の連続になることを示唆した。
 竹股喜代子委員(前 医療法人鉄蕉会医療管理本部看護管理部長)は「臨床の現場でオーソライズされた教育の担保」が必要とし、小松浩子委員(慶応大学看護医療学部教授)は「高度な理解力と判断力が発揮できるよう指定研修を受けて特定行為ができるように」が前提としながら、看護師の役割拡大を受け入れつつも2年コースの研修について「専門分野が特定されていないため、看護師が連続的に組み合わせて行うことへの理解が得られるような医行為分類にすべき」と語った。
 同日、示された特定行為の注意書きに「看護師一般が具体的指示に基づいて実施する場合の取扱いについては、チーム医療推進会議において検討」と書き改められた点を複数の委員が指摘。「主治医の具体的指示のもとでやってよいとのことではなかったか。」と神野委員が問いただした。
 特定行為を行う責任と安全性について担保したうえで、局面でグレーゾンはあり得るとしながら、有賀座長は「教育を進めながら医行為分類案を進めていく」との了承を取り付けた 。
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