医療保険カテゴリーの最新情報

 
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 国立病院と労災病院は新法人へ移行し、統合を視野に2月上旬にも担当者の会合をスタートさせる。1月31日、厚労省において開かれた「国立病院と労災病院の在り方検討会(座長相川直樹・慶応大学名誉教授)」は報告書をまとめた。国立病院、労災病院は14年4月に新たな法人として出発する。
 厚労省の「独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」の報告書(08年12月27日)により、11年4月、国立病院機構と労働者健康福祉機構の傘下の病院を再編、整理するための「在り方検討会」が設置された。「合理化委員会」によれば、6つの国立高度専門医療研究センターおよび8つの国立病院は政策医療を担うものとして理解できるが、それ以外は存在理由が理解できないといった評価がくだっていた。したがって、両法人の病院が担当する政策医療、公的病院としての存在理由を見直すよう指示が出された。
 本年1月19日にまとまった「行政刷新会議の独立行政法人改革に関する分科会」の報告書は省庁の付属機関を独立行政法人にしたため、分野の多様さと業務の複雑さを顧みることなく一律の制度にはめ込んだため、期待されていた国の政策を効果的に実施する昨日が発揮できない仕組みになったとの反省から新たな法人制度への移行を提案した。
 さらに両法人には国からの財政支出割合が少なく自律的な経営可能とし、効率的な経営を実現する、固有の根拠法による法人とすべきとしている。さらに国民負担の最小化、政策医療の明確化、国との関係性(今回のような大震災に関わる緊急且つ連続的な救急な医療の役割)、目標管理システム、民間医療機関との役割分担、組織肥大化の防止、医療の質の向上、財務の透明性確保、適正な利益配分などの観点を示した。また、国立病院の新法人移行にあたって職員の非公務員化へむけた課題の解決、調整を行うよう指示した。労災病院については未払い賃金立替払事業は勤労者退職金共済機構に移管すべきとした。

統合に致命的なデメリット
 検討会の課題は政策医療の存続と連携統合にあった。報告書では、結核、重症心身障害、筋ジストロフィー、アスベスト関連疾患など民間では不採算医療になるおそれがある政策医療は引き続き率先して実施するべきとした。一般医療については併せて提供していくよう提言した。
 統合についてはメリットとして医薬品、医療機器の共同購入の実施がある一方、デメリットとして組織の肥大化、陸軍・海軍病院、結核療養所などがもとになる国立病院と労災病院では成り立ち、風土の異なる法人のガバナンスが効くのか。国立病院の黒字経営が労災病院の赤字を補填するといったモラルハザードも考えられる。職員に関しては、賃金の平準化を労働条件の統一という問題も心配だとしている。検討会では高橋信雄委員(JFEスチール株式会社安全衛生部長)が「デメリットは致命的になるおそれがある。統合は困難とすべき」と強調した。
 新谷信幸委員(連合総合労働局長)は「両病院の統合に近いアクションはあるか」と質したのに対し、事務局は「2月上旬に両法人の総務部担当者が集まり共同溝入、共同利用についての打合せを行う」と回答した。加えて新谷委員は「両病院が連携したことの評価はどうする」と続けたのについて、事務局は「評価委員会で診療連携などに突いて対外的にオープンする用意を進めている」と回答した。
 最後に大谷泰夫医政局長は「国立病院と労災病院を所管する両法人をただちに統合するということは困難である」とし、「医薬品等の物品の共同購入の体制を組み、将来の統合を視野にいれ取り組んできたい」と結んだ。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html) 

 
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 この秋、医療保険を巡る議論は迷走を極めた。外来患者の窓口負担に100円上乗せ、低所得者は50円負担に。70歳から74歳の保険料負担を1割から2割の本来の形に戻すことが議論となった。いずれも次年度以降に先送りとなった。TPP(環太平洋連携協定)交渉参加については混合診療を巡り三師会が反対を表明するなど国外からの圧力を心配する傾向が強い。
 11月2日、日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会は、厚労省で記者会見を開き、政府のTPP交渉参加に反対を表明した。会見の資料によると、昨年政府が発表した「新成長戦略」により、医療・介護・健康関連産業は日本の成長産業として位置づけられ、具体策として本年1月には高度先進医療や人間ドック・健康診断が行えるように外国人患者の受け入れに向け「医療滞在ビザ」を創設した。7月には規制緩和の一環で、行政刷新会議の「規制改革第二次報告書」が公的医療保険の適用範囲の再定義を示した。日本がTPPへの参加によって、外国資本を含む企業が医療に参入のきっかけになると懸念する内容になっている。
 医師会の反対するのは混合診療の全面解禁で、窓口での支払いが「保険診療の一部負担に加え、保険外の全額自己負担」が普通になれば高所得者だけが先進医療、新薬にあずかれる不公平感だらけの医療サービスが出現すると懸念する。

米国では国民皆保険が...。
 10年3月米下院で医療保険制度改革法案が可決し、国民皆保険制度の基礎が整った。米国では4600万人が民間の医療保険に加入しないいわゆる無保険者。年間4万人もの患者が医療保険未加入のため死亡するという。医療保険制度改革法の成立により、新たに3200万人が民間医療保険の顧客になる予定だ。
 わが国はTPP交渉に参加を先頃表明した。米国民間保険会社は医療保険制度改革法による被保険者の拡充jに加え、顧客は米国内に止まらず、日本を含む環太平洋地域、グローバルに広がる様相を呈している。
 わが国と同じように医療保険財政が逼迫し、改革を迫られたフランスの医療保険制度は2004年に成立した医療保険改革法により改革を進めている。医療保険者の組織改革と被保険者のコスト意識の覚醒に努めたと言える。制度改革の概要は▽かかりつけ医制度の導入、▽患者カードの導入、▽公的保険の給付の見直しを行った。かかりつけ医の紹介状なしに他の医療サービスを利用した場合、自己負担額が増額されるなど患者のアクセスをある程度セーブすることで医療費対策に効果が見られた。
 患者カードでは患者の診療情報を記録・蓄積することで医療費の無駄を省く効果をもとらした。給付の見直しでは、患者が医療サービスを利用するごとに1ユーロ(日本円で約110円)支払う事が義務づけられた。
 医療保険制度については、職域で加入する公的医療保険と民間の医療保険者が公的医療保険の自己負担分をカバーする補足的な医療保険の二階建て構造になっている。公的医療保険でカバーできない部分は、窓口での自己負担部分と、差額ベッド代、私費で賄った診療費など公的な医療保険の給付を超える部分に対応する補足的保険と捉えられている。
 フランスの医療制度改革はわが国で先送りとなった改革案を実行し、効果を上げた先例と捉えることができる。わが国で混合診療と呼ぶ、差額のある医療に充てられる民間医療保険の導入はわが国の規制緩和の対象であり、TPPの範疇に入るであろう混合診療と民間医療保険のあり方と酷似するため三師会をはじめ医療界は反対の論陣を張っている 。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html) 
 
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 12月5日都内で開かれた介護給付費分科会は「平成24年度介護報酬改定に関する審議報告」をまとめた。介護処遇改善交付金の終了する来年3月以降の対応については介護報酬において対応する事が望ましいとして、加算に積極的であること、訪問介護では45分を区切りとするサービス時間を新設し、利用者の生活機能を向上する自立支援型サービスを実施するよう求めた。
 定期巡回・随時対応サービスについてはオペレーターの任用要件に3年以上の経験など求め、複合型サービスについては医療ニーズの高い利用者へのサービス提供を想定した文言を書き込んだ。

処遇改善では救われない
 報告書案をまとめる予定で臨んだ大森彌座長(東京大学名誉教授)は、これまでの議論で言い残したことに限定してと釘をさした。介護処遇改善について、介護報酬で加算とした場合、使い道について国家の介入があるのではないかと危惧する田中滋委員(慶応義塾大学大学院教授)は「本給、賞与、教育訓練など使い道を縛るような介入はいけない」と訴えた。事務局は分科会の委員が加算に決まったかのように議論が進むのに対して、介護職員処遇改善交付金を「介護報酬本体に組み入れるというやり方もある」というにとどめた。
 池田委員(地域ケア政策ネットワーク研究主幹)は一つだけ抜けていた視点として、介護職員の年収を取り上げた。介護労働安定センターの調査によれば、介護職員の82・5%は時間給で、「ほとんど主婦、夫の配偶者で配偶者控除の年収103万円、社会保険加入者の控除の年収130万円の壁がある」と詳細を述べた。調査では介護職の正社員・非正社員割合は全体として49・5%、非正社員49・5%と同割合だが、ホームヘルパーでは84・4%が非正社員、9割以上が女性だった。処遇改善交付金の使い道については「一時金の支給」50・0%、「諸手当の引き上げ」29・8%、「基本給の引き上げ」15・7%だった。(「平成22年度介護労働実態調査結果」)
 処遇改善のために介護報酬の加算で処遇改善金を投入すると、介護労働者の年収枠のために介護のサービス提供が少なくなるなど、利用者のサービス提供の減少に繋がるとして介護労働市場を見直すべきだと訴えた。

認知症ケアは間もなくまとまる
 認知症対応型共同生活介護に関して、報告書案では介護保険当初から軽度の利用者を受け入れてきたが、平均要介護度が高まったとして看取り介護加算の評価を見直し、認知症対応型共同生活介護事業所の配置看護師と連携する訪問看護事業所による看取りを要望した。
 認知症家族を代表してして活動する勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)は、「グループホームの受け皿が少なく、多く利用者が精神科入院を余儀なくされている」と実態を明かした。
 大島伸一委員(国立長寿医療研究センター総長)は認知症ケアについて「医学会でコンセンサスを得られていない。ケアの標準が出ていない。もうしばらくしたらまとまる。」と理解を求めた。
 認知症ケアが必要と当時の介護界に警鐘を鳴らした「2015年の高齢者介護」(2005年高齢者介護研究会)では、2015年に認知症患者が250万人、2025年には323万人になると推計した。同報告書では認知症の原因別にケアのガイドラインが必要として整備を求めている。同書では戦後のベビーブーム世代が高齢期に達する2015年までに「高齢者の尊厳を支えるケアの確立」の実現としているが、「もうしばらく」は、あと4年後と見ていいのだろうか。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html
 
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12月1日、都内で開いた社会保障審議会の部会で来年度診療報酬の基本方針が示され、医療部会、医療保険部会の両部会で了承された。診療報酬改定には、次年度予算が決定し、国の負担分を決める必要がある。11月25日の記者会見で小宮山厚労相は本体部分の引き上げの考えを明らかにした。11月29日、民主党医療・介護チームは報酬の引き上げを求める報告書を提出し民主党の方針が明らかになった。
 11月28日に開かれた財政制度等審議会の分科会では、据え置きを要望した厚労省に対して、財務省は減額を提示し、対立の構図が鮮明になった。
 10年度の改定では医療費ベースで薬価1・36%(約5000億円)のマイナスにし、医科本体部分を1・55%(約5700億円)プラスとして、全体で0・19%(約700億円)増のプラス改定となった。
 社会経済状態の悪化、市場動向などから薬価は減額されそうだ。同時改定される介護報酬は介護職員処遇改善交付金の終了時期にあたり、報酬加算で対応する等が予想され、増額の方向性は変わらない模様。しかし、診療報酬は民主党自ら増額要望しているところから財務当局を交えた政治決着にゆだねることになる。
 基本方針では重点課題として医療と介護の機能分担が示された。4つの視点では医療機能の分化と連携として、急性期、亜急性期などの病院機能を効率的に提供するなど評価の検討を指示した。
 25日に中央社会保険医療協議会で示した厚労省資料で医療提供体制として新たなイメージが登場した。「急性期病床群」で、一般病床を都道府県知事による認定で設けることができ、認定要件に更新制を導入する。診療側は「急性期医療の定義は定まっていない」、「医療法で規制をかけるのはどうか」など見解は様々だ。急性期医療の強化は必要だが、患者がそれによって流れていくようにするシステムを作らないと画餅に陥る可能性も指摘される。ただ、医療法の改正も伴うため、12年度からの実現は難しく、次期診療報酬改定の実施が有力視されている。

急性期要件の規制を強化か?
 一般急性期では規制強化がはかられそうだ。7対1入院基本料、10対1入院基本料では看護必要度や平均在院日数、複雑性指数等の指標で評価するとばらつきが大きいため、患者像に即した適切な評価を求める。
 平均在院日数の短縮のため、金曜入院、月曜退院の患者に着目し、平均在院日数の長い医療機関を調べると金曜入院、月曜退院が多いことに加え、入院日、退院日の入院医療をどう評価するか見直しが図られる。
 亜急性期では、病棟単位と病室単位の評価に着目し、適切な範囲で算定可能な項目の設定によって患者の状態像にあわせた包括範囲、点数を設定する。
 長期療養患者の多い一般病棟では将来的に長期療養病棟へ移行する事が現実的だとし、13対1、15対1病棟で90日超の入院患者を対象に療養病棟入院基本料と同じ報酬体系を導入する。
 長期療養患者が少ない一般病棟は将来、急性期・亜急性期病棟への移行を目指して13対1、15対1病棟で90日超入院患者を平均在院日数の計算対象とし、長期療養患者が入院している事で医療機関が不利益になる提案も示された。
 社会保障・税一体改革案で示された2025年の将来像に向かって医療提供体制は機能分化と連携を強めていく。12年改定では一般病床に変化がもたらせる公算が強い。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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 11月9日、厚労省で開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)(会長=森田朗・東京大学法学政治学研究科教授)で在宅医療を支える在宅療養支援診療所について事務局は要件緩和に関する提案を行った。単独医師など24時間体制が構築できにくい体制の場合、ネットワークを構築する場合にも算定できる案。
 在宅医療については、医療と介護の連携体制が必要とのことから、10月21日、厚労省で中医協と社会保障審議会介護給付費分科会との打ち合わせ会が開かれた。中医協は医療保険の診療報酬を、介護給付費分科会は介護保険の介護報酬を所管する立場から、打合せが必要と判断したもの。
 議題になったのは①医療・介護施設の機能分化、地域連携体制、②在宅医療・介護の充実で、内容は訪問看護、リハビリ、ターミナルケア、認知症ケアなど。打ち合わせ会での議論は、医療と介護のネットワークのシステム化と拠点の構築が必要な点。具体的には拠点となるハブでの運営責任者が地域の医療と介護のコーディネーターを務めるケアマネジャーの質にあった。ケアマネジャーの質にばらつきがあるという指摘だ。
 こうして医療と介護の連携は全く進んでいない実態が明らかになり、長期の工程表が必要との指摘があった。
 在宅医療、訪問看護、リハビリでは、訪問看護が訪問介護と同じようなサービスしか提供できていない現状が報告され、訪問看護の質向上の課題が提出された。中医協側から出たテーマとして、介護の施設類型によって医療が包括化されたり、外付けされたりと統一感のなさが指摘された。
 認知症ケアについては標準化できていない実態が明らかにされ、早期発見、早期対応の取組、鑑別診断ができる医師の養成と個別ケアを実施するべきターミナルケアについて、在宅療養支援診療所で看取りを行っているのは3割に満たない程度。

薬局もサポートで相互に連携
 9日の中医協で議論になった在宅療養支援診療所の届け出数は2010年7月現在で1万2487施設、2006年7月の9434施設から1・3倍の伸びだが、伸び悩みの状況となっている。施設要件に緊急時の入院・入所施設の確保、24時間体制に協力可能な医師の存在、24時間態勢の訪問看護の存在があるためとされる。複数医師の常勤の診療所は多くないため、単独医師による小規模な診療所では24時間対応や急変時の対応、看取りを含めたターミナルケアを行うという体制が確保しにくいという実態がある。
 在宅医療を担う医療機関の機能分化と関係機関との連携が不可欠とのことから、厚労省は、①複数の医師が在籍、自院のみで完結する有床の在宅療養支援診療所、②複数の医師が在籍し、ほぼ自院のみで完結するが、緊急時の入院のみ在宅療養支援病院と連携する在宅療養支援診療所、③在宅療養支援病院を含む他の医療機関等と連携・補完し合う在宅療養支援診療所、の3パターンを提案した。
 11月11日、厚労省で開かれた中医協では、在宅医療における薬局の役割でも在宅医療の連携体制構築の必要性が浮き彫りになった。薬剤師の少ない小規模薬局においても在宅医療に取り組める提案があった。保険薬局5万1928件のうち、在宅患者訪問薬剤管理指導の届け出薬局数は3万8736件(74・6%)と在宅訪問可能な薬局は多い。在宅訪問可能なことを医療機関が把握できるような改善を進める方策を進めることとした。
 薬剤師数の少ない薬局の場合は、在宅訪問の可能性はきわめて少ない。このため、沖縄県では、周辺のサポート薬局が患者情報を共有した上で、在宅訪問を実施することが事例として紹介された。
 医療と介護の連携ネットワーク事業は、広島県御調町(現・尾道市)が古くから行っている事で著名だ。その他、北海道道南地域、長野県等の事例がモデル事業として行われている。行政の指導するネットワーク、サポート体制などのプランづくりの策定は可能だが、地域性、医療と介護をどう取り持つのかなどの要因が実行を妨げているのも実態だ。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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 10月26日、都内で開かれた社会保障審議会医療保険部会において、2012年度診療報酬改定の基本的認識、視点、方向性案が示された。新たな視点として、東日本大震災に関連して、災害時における医療提供体制の診療報酬における検討、医療従事者の負担軽減策、リハビリテーションのあり方について議論が及んだ。
 2006年度改定の際、4つの視点として示された①患者から見て分かりやすく、患者の生活の質を高める医療の実現、②医療機能の分化・連携の推進、③産科、小児科、救急医療の重点評価、IT化の集中的推進といった重点的に対応していくべき領域の評価、④効率化余地があると思われる領域の適正化、については2008年度、2010年度に引き続き2012年度改定でも踏襲するとした。
 基本的認識として示したのは、社会保障と税一体改革成案に沿って、①病院、療養機能の分化・強化と連携(急性期医療への医療資源の集中投入)、②在宅医療の充実、重点化・効率化等を着実な実現、③地域包括ケアシステムの構築の推進、④医療関係者や行政・保険者の努力とともに患者、国民の協力と取組、⑤災害時の医療提供体制への取組、⑥医療提供体制の強化は診療報酬に加え法令改正や補助金の予算措置で実現すべきというもの。
 医療と介護の連携と役割分担の取組で議論になったのは維持期リハビリテーション。08年度改定で自宅復帰率60%以上。重症度の高い患者15%以上の線をクリアしないと入院基本料の減算が行われる措置がとられた。医療と介護の間で一番揺れたリハビリテーションは06年度改定で早期のリハビリテーションと回復期のリハビリテーションは医療保険で、維持期のリハビリテーションは介護保険で行うように分けられた。
 維持期であっても医療保険に残る実情があったため厚労省は介護と医療のリハビリテーションの実態を調べ次期診療報酬改定に反映させると答弁した。
 
医療提供が困難地域に配慮
 医療機能の分化で示された、高度急性期、急性期の病院機能の評価と同時に、医療提供が困難な地域に配慮した医療提供体制の評価について、都市部では病床、病棟機能の分化は可能だが、周辺に医療機関がなく人口密度が薄い地方では「1つの病棟に急性期、慢性期が混在する病棟の評価も必要」と鈴木医療課長は全日本病院協会が主張する地域一般病棟に言及した。
 医療と介護の役割分担と連携については高原晶委員(諫早医師会会長)が「具体的にどう支えるのか」と質問したのに対し、事務局は在宅支援診療所で行われている「看取り」が半数である事を明らかにし、在宅支援診療所の活性化の課題に言及した。在宅支援診療所を後方病院がネットワークでいかに支えるか診療報酬で取り組むと明言した。高原委員はこれに対し主治医2人制、3人制を主張した。主治医、副主治医制度は東京大学高齢社会総合研究機構が提案するイメージに近い。
 震災対応では、被災した医療機関について、特例加算として補助金と組み合わせて一般より多く支払う視点、長期の入院を可能とする等、要件の緩和を盛り込む事を明らかにした。

 同時に審議された医療費適正化策について、白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は平均在院日数の削減が進んでいない認識を示し、「介護療養病床の廃止・削減を延長する措置は実態を追認するもの」と指摘した。加えて病床転換の仕組みに触れ、思うように転換が進まなかった原因を病院経営の問題とし、病床の削減で医療費は変わらないと追求し、適正化計画の見直しを迫った。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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 10月5日、厚労省で中央社会保険医療協議会総会(=以下、中医協)が開かれ、診療報酬改定についての本格論議が始まった。この日は入院・外来・在宅医療について審議した。入院医療では、「社会保障・税の一体改革成案」(6月30日政府決定)で示した現在の一般病床107万床を2025年には高度急性期、一般急性期、亜急性期等に機能分化し、103万床に再編する目標に向けて、ステップを踏む。「一体改革成案」では中医協で扱う検討のポイントを次のように整理した。①診療報酬・介護報酬の体系的見直しと基盤整備のための一括的な法整備、②病院・病床機能の分化・強化と連携、地域間・の偏在の是正、在宅医療の充実等、③平均在院日数の減少、外来受診の適正化、重複受診・重複検査・過剰薬剤投与等の削減、④後発医薬品の使用促進などだ。
 事務局の描いたスケジュールでは10月中に救急・周産期、がん医療、感染症対策などを審議し、介護との連携分野を検討する。11月には認知症医療、精神科医療、歯科医療、後発医薬品の使用促進等について検討する。

病院の外来機能縮小へ
 この日、事務局は医療提供体制について「入院医療の機能分化に向けた課題と今後の方向性」としてまとめた資料を提出した。高度急性期や一般急性期を含めた医療を行なう病院では勤務医の負担が大きいことから、病院医療従事者の負担を軽減させ、急性期の患者の平均在院日数を減少させるため、急性期へ医療資源の集中投入を行ない、急性期以外の患者を亜急性期等や長期療養等に移行させることが必要と問題点を明確にした。
 現行の診療報酬体系は高度急性期、一般急性期、亜急性期などの実態に応じた評価体系となっておらず、機能による必要病床数の明確化も指摘した。
 長期入院患者は医療療養病棟のほかに一般病棟(看護配置13対1または15対1)において在院日数90日を超える長期入院患者があることから、診療報酬の差異に着目した。一般病棟で在院日数90日を超える入院患者は48・2%(13対1)、61・5%(15対1)で、医療療養病棟では94・3%(20対1)、93・1%(25対1)(「医療施設介護施設の利用者に関する横断調査」)である。長期入院患者の大部分は特定除外患者(出来高払い)で、医療療養病棟の長期入院患者(包括払い)と報酬上の評価が異なる。このため、慢性期の入院患者の診療報酬体系の整理を提案した。
 医療提供の困難地域においては地域の医療機関が高度急性期医療、一般急性期医療、亜急性期医療等を一体として提供する必要があると提案した。医療資源の限られた地域では、13対1から15対1の看護配置の病院の割合が高い。15対1看護配置病院では平均在院日数が短く、24日以内に退院する患者の割合が高い。15対1病院では様々な状態の患者がいるという実態が明らかだ。都市部ではない郡部、中山間地域、へき地に存する病院の場合は様々な状態の患者を抱える地域の一般病院が必要という事務局の認識が現れた形だ。
 外来医療の役割分担では、病院では専門外来、セカンド・オピニオンなどに特化した分野を扱い、一般外来の縮小を図り、診療所で一般外来の受入の拡大を図る。
 在宅医療については、高齢者の単独世帯の増加により、在宅医療の需要が高まったとして、在宅医療を行なう診療所で複数の医師や24時間連絡体制をとる場合の診療報酬上の評価、在宅医療支援病院の評価の検討、在宅患者の状態に応じた医療必要度により報酬上の仕組みを考える事も提案した。
 2025年に向けた地域システムが重要として、中医協と介護給付費分科会は合同の打合会を10月21日に行なう。地域包括ケアシステムの構築には医療との連携が欠かせないとの判断が働いたとの見方を介護給付費分科会の大森会長は暗に漏らした。これまで同時改定にあたって医療と介護の顔合わせは皆無だったことから政治の力を感じるのかもしれない。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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「問題は医師の参加」と辻哲夫氏(東京大学高齢社会総合研究機構教授、元厚生労働省事務次官)は9月27日、都内で開かれたシンポジウムで訴えた。辻氏は介護保険制度発足当時、厚生省、政府を奔走し成立にこぎ着けた立役者の一人。医療と介護の連携では多職種の関わりが必要だが、連携に参加する医師は少ない。在宅介護分野は当初から多職種(ホームヘルパー、リハビリテーションスタッフ、訪問看護、ケアマネジャーなど)が連携して成り立つ制度で、各々のサービスはケアマネジャーによってコーディネートされプランニングされる。医療は医師に始まり、看護職、薬剤師、PT、OT、放射線技師等と職階制で成り立っているのは周知の事実。医療と介護の連携が進まない原因のひとつはここに根元があるようだ。
 同シンポのパネルディスカッションで座長を務めた宮武剛氏(目白大学障害福祉研究科教授)が連携の進まない理由を尋ね、野中博氏(東京都医師会会長)は、医師の中に末期患者、ターミナルケアを必要とする患者を診ることを避ける傾向があること、在宅医療に進むことを怖がり、避けたがるかかりつけ医が多いことを上げた。

急性期が招く介護の重度化
 病院で亡くなることが一般化して、病院でなければ死ねないと思っている人が多く、中には医療者も同様の考えを持っている。高齢者が急性増悪によって急性期病院に入院すると点滴がそうであるようにベッドに縛り付けられ、寝たきりになって在宅に戻る事すらある。結果、廃用症候群を併発する可能性も大きくなる。
 在宅に居る高齢者は発熱、誤嚥、急性腹症、転倒、骨折などで急性期病院は救急搬送されることが多い。緊急入院から退院まで緊急的処置が施されるため、廃用症候群を発症し、結果的に介護度の重度化が生じる。

連携には生活構造の変化を理解
 かつて病院が普及していなかった時代には、家庭で看取られることが多く、当たり前だった。ところが、1973年の老人医療の無料化をきっかけに虚弱な高齢者が入院する福祉施設の肩代わりをする病院(特例許可老人病院、介護力強化病院、療養型医療施設)が登場し、福祉施設代わりの病院が看取りを担う現象が一般化した。
 病院は本来の機能を取り戻し、高齢者の看取りは在宅でという地域のケアシステムができないのか。2025年には高齢者が人口が3500万人を超え、地域では介護保険、医療保険のサービス、住民主体のサービスを有機的に連動させるシステムが必要になる。そのため、2006年の医療改革は、地域ケアシステムを構築し、高齢者を在宅に戻す政策へと転換した。
 東大が柏市で行なっている実証実験では、主治医と副主治医が医師のグループを組み、できないときにできるような仕組みが整ったと報告。診療所のなかでも複数の医師が在籍する場合は連携への事業化は可能だが一人医師の診療所では不可能。こうした場合、地域の主治医同士が地域の診療所を指定し、副主治医機能集中診療所を決め、主治医・副主治医が役割分担し訪問診療を行なう。これにより主治医が役割分担できない状況になった場合でも副主治医が代替できるシステム。辻氏は2006年に新設した在宅支援診療所が地域の医師会から浮き上がっている実態を明らかにしながら、診療報酬に繋がる「主治医のグループ化の体系を開発したい」と意欲を新たにした。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

 
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 厚労省では12年度診療報酬改定が動き出す頃だが、8月25日ともなれば毎年各省庁の概算要求が出そろい、道府県の知事の皆さんが霞ヶ関詣でを始める時期に当たる、今年は例年と異なり、震災復興に予算をあてる必要があること、民主党の党首選がこの時期に重なったためなのか、予算概算要求は一月遅れて公表予定となった。先の10年度診療報酬改定は10年ぶりにネットでプラスになった改定(別表掲載)だった。全体改定率はプラス0・19%、医科本体部分でプラス1・74%(入院でプラス3・03%、外来でプラス0・31%)となった。

5年かかる基本診療料の中身
 10年度改定の焦点となったのは再診料、診療所と病院の再診料を69点に統一した。診療所71点、病院60点と11点の開きを撤廃した。また、外来管理加算の算定要件である「5分ルール」を廃止した。
 10年度改定の答申で中医協の付帯意見では、「再診料や外来管理加算、入院基本料等の基本診療料の在り方について検討し、見直した結果の影響を検証し、12年度改定に反映させる」こととなっている。
 基本診療料については中医協5月18日に行われた中医協総会で「診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会ワーキンググループが報告書を提出した。それによれば「個々のサービス内容の評価ではなく、病院の機能や体制等の評価をめぐる医療上の必要性、あるいは保険財政の状況や保険医療機関の経営状況を踏まえ、これまでの診療報酬改定において分割・統合され、設定・改定が行われてきた」と分析し、基本診療料の性格として個々のサービス内容についての評価でないこと、診療報酬の改定の度に分割・統合を繰り返したことが明確になっている。
 同日、入院基本料に関するコスト計算実施上の検討課題として、入院基本料が想定するサービス内容が明確に定義されたとしても、コスト計算を実施する場合には、・入院環境に関する費用が、入院基本料の対象となる費用だけではなく、他の収益も入院環境に相対する点の評価。・入院環境に要する費用、具体的には病室の減価償却費や清掃費等を、診療報酬によって手当されている入院基本料、個室病室等において徴収されている室料差額、あるいは(自治体病院の場合)資本費にかかわる自治体からの補助金収入等にどのように対応させるのか。・診療上の理由で室料差額を徴収できない場合の個室費用をどのように取り扱うのかといった指摘がなされた。

24時間対応体制で救急特化病院で機能強化か
 次に付帯意見では、「救急医療機関の勤務医の負担を軽減する観点から、保険者や地方公共団体をはじめとする各関係者は、医療機関の適正受診に関する啓発を行うこと。また、その効果が現れない場合には、更なる取組について検討を行うこと」とされたところ。3月2日の中医協総会で、嘉山孝正委員(国立がんセンター中央病院院長)は勤務医のバーンアウトの一例として、患者の対応をあげた。軽症で高齢者に多い理不尽型発言の方。これにまいってしまうケースが多いという。保険者や自治体が率先して救急医療のかかり方を啓蒙すべきとされたが、救命救急医療の状況、軽症による救急車の呼び出しは依然多い。次期改定では軽症で救急医療を利用する患者には負担が重くなるといったメリハリをつけた配分の可能性も考えられる。
 また、北村光一委員は「全国に、「完全24時間対応体制病院」を設置して、小児科や産婦人科や、救急等に特化させ、そのかわり、他の診療科の患者や通常の外来患者はその病院ではなく、他の医療機関を受診する、というようなシステム」を提案した。
 付帯意見では慢性期入院医療の在り方や新生児集中治療の評価や小児救急医療の評価、有床診療所・療養病床の後方病床機能の評価、チーム医療に関する評価、診療報酬と介護報酬の同時改定に向けた訪問看護の評価の在り方、10年度に改定したリハビリテーションや精神医療の影響を検証する件等が検討課題になる。(バックナンバーをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください→http://www.medical-news.jp/archives.html

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 7月29日、日本病院協議会(西澤寛俊議長=全日本病院協会会長)は厚生労働省外口崇保険局長に対し、診療報酬改定の要望書第三弾を提出した。診療報酬算定方式の創設、同一日の複数科受診での初診料・再診料の算定、看護基準制度の変更、チーム医療の評価等10項目にわたる要望となった。要望した項目は社会保障制度改革と同路線では評価されようが、8月末に発表される次年度予算シーリングと年末にかけて始まる次年度予算を巡る財政当局との綱引きに当落はかかっている。
 前回改定から持ち越しになっている「入院基本料」については、厚労省はその内容が不明確として調査を行う予定だが、「入院基本料」には人件費、施設設備費、客観的評価に基づいた医師の技術料等が包含されなければならないとして、調査項目の明確化、結果から「入院基本料の再構築」、根拠に基づく診療報酬の算定方式の創設」を内容となった。
 「入院基本料」は、医師の基本的な診療行為、看護業務、入院環境(病室・寝具・浴室・食堂・冷暖房・光熱水道など)の提供の対価になっている。
 「入院基本料」は一般病棟、専門病棟など病棟の種類、看護配置、正看比率によって点数が区分され、さらに療養病棟では医療区分とADL区分によって点数が区分されている。
 入院基本料のコスト分析は、「医療機関のコスト調査分科会」(分科会長・田中滋慶応大学大学院教授)(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織)において議論が重ねられてきた項目。病棟の種別による差異、地域性、医療機関の設置市町村の住民税に関わる人件費の差等,分析を進めてスタンダードな項目がまとまったとしても全国標準にはなじまないという結果も予想される。11年度調査では入院基本料についてある前提をおいたものと仮定して調査分析を進める方向性を確認した。

チーム医療の評価も
 複数科受診の際の初診料・再診料の算定については、同一日の複数科診療は2つ目に限り所定点数の100分の50が算定できることとされているが、その他の初診料・再診料は算定できない。複数科受診の初・再診料算定については社会保障審議会医療部会において、高齢者の持つ疾病構造から複数科受診の需要は高く、北海道など地域によって割合は高まっていると西澤議長が、たびたび主張してきた。
 入院患者の他医療機関への受診の取り扱いについては、従来、70%減、10年度改定で出来高払い病棟30%減となっていた。これも高齢社会の進展とともに疾病の複合化、併発症の常態化といった現実に即した減算の廃止を要求した。
 患者の大病院志向を抑制するため、200床以上に適応されている外来診療料を他の再診料と同一とし、検査・処置等の包括化を出来高算定に変更する要求になった。

地域包括ケアの充実も
 新設項目に関する部分では、いわゆるメディカルクラーク、医師事務作業補助体制加算については08年度に新設した項目で、10年度改定で対象医療機関を拡大した。急性期以外にも対象を拡げたい意向。チーム医療の評価についてはチーム医療を行なう医療機関に対し適切な評価をするとともに、チーム医療に参加する薬剤師・リハスタッフ・管理栄養士・社会福祉士・臨床工学士・精神保健福祉士など病棟配置に加算評価を要求し、チーム医療の一員として専任配置とすることを求めた。
 地域包括ケアの方針が進む中、在宅医療への充実も進められることが予想される。訪問看護・訪問リハ等については充実が求められている。日病協として訪問看護・訪問リハにおける医療と介護の区分明確化と医療保険適用の拡大を求めている。
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